やっぱり、ゾンビボール好き! | 奇は奇術師の奇

やっぱり、ゾンビボール好き!

ソフトボールよりは少し大きめの金属製のボール。

ボールに布をかけると、ふわふわ浮き上がって、

まるで生き物のように舞台を動き回る。

それが、『ゾンビ・ボール』というマジック!

 

以前にも本ブログで書いたけども、

昔からこのマジックが好きで、頻繁に演じているので、

ご覧になった方多いと思う。

 

ジョー・カースン氏が発表したのが、

1943年というから、第二次大戦中!まだ歴史は80年なのだね。

ブームになっていた’70年代って、せいぜい30年ぐらいだったのかあ。

そう思うと、いろいろ物凄いなあ。

 

ブードゥー教の秘術で、死体を甦らせて、

労働者として働かせていた、その死体をゾンビという。

 

という話が初めて出てきた映画が、あのベラ・ルゴシ氏主演の

『恐怖城』(White Zombie 1932年 米)という映画、

当時それなりにヒットしたようで、同じような映画が多数

作られたという。

その映画に倣って、命のないものを

意のままに操るということから、Zombie Ball と

名付けたのは確かだろう。

ひょっとしたら、ジョー・カースン氏はホラーマニアだったのかも。

 

ともかく、ジョージ・A・ロメロ氏の

『ゾンビ』(Dawn of the Dead 1978年 伊/米)よりは

遥か以前の命名なので、現代のゾンビとかなりイメージは違うのだ。

 

 

私がマジック始めた頃、テレビのマジック番組で、素人のマジシャン

中学生ぐらいの男の子がこれを演じているのを見て、

同年代の子に対する対抗意識から自分もやりたい!と思ったのだ。

それで、当時利用していたのはトリックス社の通信販売で、

カタログを見たら載っているではないか!

当時(半世紀近く前)のトリックスのカタログ。センスあふれる素敵なイラストが無茶好きだった。

今思うと、この簡素な説明とイラストだけで、よく購入したなあと思う。

情報って、当時はそんなものだったのだあ。

 

それで、お小遣いを叩いて、通信販売で購入!

モノを手にして解説書を見ながら練習したら、もう大変。

種に触れるので、詳しく書けないのだが、痛いのである。

ボールを浮かそうとすると、どうしようもない痛みが伴うのだあ。

2〜3日練習してみても、全然痛みが取れないので、これはあかんと、

諦めかけていたのであるが、不思議なことに、一週間も立つと、

痛く無くなってきたのだ。慣れてきたのか、力の抜き方が分かったのか、

短時間なら、楽に浮かすことができるようになった。

今思えば体を張って、マジックしていたなあ。

 

それでも、このマジックは気を抜くと、すぐネタバレしてしまうので、

なかなかに人前で演じるという気持ちにはならなかった。

購入して、4〜5年経った頃に、初めて人前で演じてみた。

 

当時母の勤めていた養護学校でのパーティー。

今思えば、拙い技術で、下手くそな演技だったと思うのだが、

子供たちが狂喜乱舞して喜んでくれたのである。

後々まで、ボールが浮かんだことを話題にしてくれたみたいで、

この時はホンマに嬉しかった。

 

'80年代初頭。多くのマジシャンがこのマジックを手掛けていた。

私が影響受けたのは、クリストファー・ハート氏、ランス・バートン氏

北見伸氏、そしてナポレオンズの両氏。

特にナポレオンズのボナ植木氏と故パルト小石氏は、両名とも浮いたように見せる

演技が大変うまく、とある番組でご一緒した時に直に見せてもらって、

コツを教えてもらったのだ。

 

私のゾンビはそれらの人々の演技のいいとこ取りをして、まとめたもの。

だから、オリジナリティはそんなにないのだけども、先人たちと少し違うのは、

激しく動くゾンビであること。

まあ、何につけても『技のスピード違反』と言われる私なので、

その辺りは自分らしくなっているのだと思う。

 

温泉場マジシャンやっていた’90年代。

1ポーズ目はシルクで派手に終わるエンディング。

2ポーズ目はゾンビでしっとり終わるエンディング。

という形で回っていた。2ポーズ目はナイトクラブなどで

演技することが多かったので、ムーディーなゾンビがあっていたと言える。

 

初めの頃は、4分以上も時間とって、思い入れたっぷりの演技で今想えばたるかった。

やはり何度も演じているうちに、いろいろなところがブラッシュ・アップされてきて、

無駄を削ぎ落とし、浮揚している時間もどんどん短くなってきた。

今の3分15秒にまとまるのに、10年ぐらいかかっているかなあ。

その間ふわふわ浮いているのは30秒ぐらいだな。

 

そんなわけで、いつまでできるかわからないけど、

しばらくは今の感じで演じていきますので、

私のゾンビを見る機会がありましたら、

何卒よろしく!