分断の政治から共通の政治へ。 慶応義塾大学 経済学部 井手英策 教授から頂いた講義 | 中谷一馬オフィシャルブログ「おもしろき こともなき世を おもしろく」Powered by Ameba

分断の政治から共通の政治へ。 慶応義塾大学 経済学部 井手英策 教授から頂いた講義

分断の政治から共通政治へ、頼り合える社会をつくろうということで、慶応義塾大学 経済学部 井手英策 教授からの講義を受けました。


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井手先生も母子家庭で苦学をされた方。

内容もとても共感できました。


--講義の要旨内容は、以下↓--


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日本は、少子高齢化の影響を考慮したとしても、高齢者向け支出に比べて現役世代向け支出が低い。

未来への投資が全くできていない。

しかし、現役世代も大変。


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貯蓄がないと生きていけない自己責任社会なのに、貯蓄ゼロ世帯は15.6%。しかも銀行に100円でも貯金がある人は含まれない。

そして、2人以上世帯の3割、単身世帯の5割が将来の蓄えをしていないと答えている。

世帯収入は、国民の約半数(47%)が400万円未満。

これでは、老後に悩みや不安があるのは当たり前。


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そして今までの日本社会が出してきた、ひとつの回答としての成長主義。

いわゆるは、アベノミクスいざなみ景気、オリンピック景気を含めた1991-2016年の経済成長率の平均は平均で0.9%

1973-1990年平均の4.3%と比べると非常に厳しい。

これだけ金融緩和で市場にお金をバラまいても所得は、4年間で0.6%しか増えていない。

潜在成長率は、0%台後半。

しかし、生活水準のアンケートでは、自分は中流階級だと思っている人は、92.1%

金銭的な理由で、結婚ができなくても、子どもを産むことを諦めても、適切な医療を受けられなくても、自分は中流階級に留まっていると思っている。

貧しい人に給付をして所得格差を是正する力も富裕層に税をかけて所得格差を是正する力も先進国で最下位の水準。

弱者への同情なき、冷たい財政。

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頼り合える社会へ

既得権をなくすという発想。

税と給付をセットで考える。


税で暮らしの安心を買う。


20兆円(例えば消費税なら7%強)の増税がもしできたら、

10兆円で財政赤字は、ほぼゼロ。

・幼稚園・保育園(8000億円)、大学授業料(3兆円)、医療費(4.8兆円)、介護(8000円億円)、障がい者福祉(数百億円)が賄える。

そしてこれが重税国家かと言えばそうではない。

ヨーロッパの中でも平均的なドイツと軽負担のイギリスの間くらい。

税で暮らしの安全を買おう。


税は、「負担」でなく「みんなの蓄え」。

税でサービスを提供すれば、過剰貯金と低消費が解消される。


増税の前年は、プラス2.6%成長。駆け込み需要。増税後、マイナス成長だったが、2年を平均すれば安倍政権時の平均成長並み。


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税のベストミックス。

・消費税1%で約2.8兆円。

・所得税の7つの税率区分をすべて1%あげると1.1兆円。(ただし、最低税率で7000億円)

・金融資産課税5%で約2000-3000億円

・相続税の平均税率5%で約5000億円

組み合わせによる税の公平性の回復

ただ消費税抜きなら特定層に増税


お金持ちは反対するだろうが、ふつうの人は豊かになる。


ただ、政府が信じられない。

どうせ、社会保障や教育に使うって言ってるけど軍事費とかいらない公共事業に使うんじゃないの?!

この不信はよくわかる。

ただ増税せずに、もっと良くなる社会像が示せないのであれば、この手法でどうすれば機能するか考えるべき。

オランダでは、政府から独立している経済政策分析局が政権の政策を評価する。

各党の政策パンフレットが実際に経済に与える影響を分析し、有権者に提供。

こうした手法を駆使して、政府不信を超えるべき。

できないのではなく、どうすればできるか。

今、すこし苦しくても子どもたちにどんな未来を残すかを考えよう。


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後ろめたさを最小に、尊厳を最大に。

生活が保護されている人の自殺率が高い。

セーフティーネットは、憲法の基本的人権で定められていても、社会から後ろ指を指される。尊厳を持つことができずに命を絶つ。


頼り合える社会が必要。


人が転落するまで放っておく社会ではなく、転落しなくて済む穴を塞ぐことか政治の役割だろう。


医療、教育、介護などのサービスに対する自己負担を減らせば後ろめたさは最小に。

生活扶助は、品位ある保障。

ディーセントミニマムは認める。

誰もが尊厳を持って生きられるための生活保障へ


頼り合える社会。品位ある命。尊厳ある生活保障。


誰かに必要とされ、誰かを必要とすることに人間の幸福がある。


解り合える社会は、すべての生活者を将来不安から解き放つことを目指す。


人間の扱いを所得で区別しない社会へ。


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私も微力ですが、共感できるところが多々ありましたので、参考にさせて頂き、国家政策をより良い方向に進めていけるように粉骨砕身頑張ります。

井手先生、貴重な講演を頂きまして、誠にありがとうございました。