見えにくい、年寄りイジメ

http://ameblo.jp/kawaguti-a/entry-12075892928.html

2015-09-27

テーマ:きみの往く道は

 日本の裁判制度は3審制で、基本的には地方裁判所での

審判が第1審。また、本来、裁判所の管轄は原告本人の居

住地を優先的に考えるべき、とされています。

 ところが、最近、ある地裁に提起した行政訴訟を、他県の

地裁へ移すという『移送申立』が、厚生労働省によって一方

的になされるという奇妙なことが起きています。

 

 提起された行政訴訟は、年金受給者が集まっている「全日

本年金者組合」の、組合員の有志が原告となった、年金引き

下げ違憲訴訟です。

 裁判に提起するまでには、 《201310月に始まって今年4月までの間に合わせて2.5

 %の年金引き下げを行われたことに対する行政不服審査請 求(今年1月)が、却下された。

そこで行なった再審査請求
も重ねて却下された》という経過がありました。

 「行政不服審査請求の裁定書」として送られてきた文書に

は、裁定のあったことを知ってから6ヶ月以内に、国を被告と

して「お住まいの地域の地方裁判所に提起することができま

す」と、ちゃんと教えてくれてありました。

 だから、例えば鳥取県では、鳥取地方裁判所に提起して、

612日に同地裁で第1回の審理が行われる、徳島県では

徳島地裁で同月26日に同じように予定され―などと決まっていたのです。

  それが、不意に、「高等裁判所の所在地の地裁で審理を行うよう」にするという『移送申立』を、

国(厚労省)が行なった、というこ
となのです。

  鳥取の例では、移送が実現すると、70歳代~ 85歳の原告の老人達は、

裁判に出るのに広島市まで出向かなければなりません。

交通費が1回に25千円かかる人がでたり、往復時間も多けれ7時間半も、

というひどい負担が蔽いかぶさってきます。

高齢で、ただでさえ不足な年金で、無理を強いられるわけです。

無理を押して健康に影響が出ても不思議ではない人々です。

 これはもう、訴訟に対する嫌がらせですよね。経済面、健康面でギブアップするのを

狙っているとしか思えない仕打ちです。

  原告の生活をめぐっての訴訟ですから、現地で裁判するのが当然だし、

年金事務所やセンターは各都道府県にあるのだから、

直近の地裁で審判が行われるべきであるのもまた、当然なことです。

国側に理はありません。

 いったい、原告の意に反する裁判所を、国が指定する権利なんてあるのかしら?

  年金受給者、全国で4千万人。年金の現状に満足している人は、受給者のうち、

特殊な地位や条件にある人だけでしょう。

 そういう意味では、この訴訟は、原告の範囲に留まらない大変多くの人々の要求を

代理しているもの、ともいえるでしょう。

 そういう人々が傍聴や支援・激励に参加したいと思っても、

の移送で条件が悪くなれば参加できなくなる、ということも起こりかねません。

裁判する権利、傍聴する権利を奪う―安保法制であらわになった、現政権の反民主性の、

またひとつの現れだと思い
ます。(私は原告ではありませんが―)。 (なお、抗議を受けた

ためか、現時点では審理は開始されていません。)

 

付記―――いきさつ

  私も頭記の組合に加盟しています。名前通りの、国民、厚生、共済などの年金の受給者が、

自分達の生活と権利を守ったり推し進
めたりするために集まっている組合です。

加入資格は、年金受給者
であることと活動の資金として一定の組合費を拠出する、ということ

だけで、賛成する人は誰でも参加できる組織です(全国に支部あり)。

   …      …      …      …      …

 201211月に、当時の民主党政権が自・公と一緒の3党合意というやつで、

《年金を201310月~154月に計2.5%引き下げる》という法律を作ってしまいました。

 理由は―《(10年以上も前の)19992001年に物価が下落した際

に、それに応じて引き下げるべき年金額を、例外的に据え置いた(特例措置)。

 それで今の年金額は、本来予定していた水準よりも
高くなっているから、もとに戻す》―というのです。

  しかし、特例措置を実施した時に、据え置かれた額と本来の水準額との差額は、

やがて解消する措置をとるなどということはひとつも
言われていなかったことです。

(ダカラアノ時、拍手シタ人モイタッケ)

 特例から戻すための引き下げなど全く触れなかった(もしかして、考えてもいなかった?)

ならば、それは「政策ミス」で、政府が犯した
失敗です。

 それを、生活事情が悪くなった時になって受給者にしわ寄せして

解消しようするのは不当だ―というのが私達の主張の中心です。

  年金受給者の約半分近くが月額10万円以下というレベルです。一方で消費税増税、

種々の社会保険料は引き上げ、物価は上昇―と
いう状況で、

マスコミも「老後破産」などの言葉でとり上げています。

 「マクロ経済スライド」なる、向こう30年間にわたって年金受給額を下げ続ける大変な仕組みも、

4月から実施に入りました。

 憲法の保障する「最低の文化的生活」も、空文になりかねません。

 こうした状況を背にして、組合の仲間達は、この引き下げは不当だとして、

12
6千余人の大規模な不服審査請求を提出したのです。

 しかし、「あの減額処分は適法だ。この審査請求は処分が違法だとは言っておらず不満を言うだけで、

審査理由として適合しない」と、
門前払いの形で却下されたのでした。 

   ※うっかり者の私は、審査請求提出期限を忘れて間にあわず、

    審査も訴訟も資格をなくしてしまいました。(゚_゚i)

     せめてこういう投稿で、仲間の応援をしたいと思います。

    …      …      …      …      …   

 以上の裁判所の問題は、まったく高齢者へのイジメですが、ところで、

まだ年金受給年代には遠いあなたの、年金の将来は
だいじょうぶでしょうか?

 上記にもちょっと触れた「マクロ経済スライド」というのは、たいへんなシロモノです。

 雇用も不安定で、保険料の負担は、どうなるのでしょうか?

そういう検討や、「安心な老後のくらし」へ近づける「最低保障年金制度」の研究も、大事になりますね。