こんにちは！
Flexible Perfect Body協会 代表 安藤一樹です。
今回も、バイオメカニクスと柔構造について、お話しして行きます。
前回ブログ
それでは、よろしくお願いします。
まず、おさらいです。
バイオメカニクスとは何でしょうか？
バイオメカニクスとは、力学を基本原理として、生体の構造や機能を解析する学問です。
そして、柔構造は、全身の筋膜や筋などの軟部組織の張力が整った理想的な構造のことです。
図.柔構造で形作られた、テンセグリティー 模型
柔構造は、圧縮材と張力材で成り立っています。
圧縮材=棒、骨
張力材=ゴムひも、靭帯、筋・筋膜
です。
図.柔構造の人体模型
出典元:アナトミートレイン第2版 Thomas W.Myers著 板場英行、石井慎一郎訳 P52より
そして、柔構造の場合、Fascia(張力材=軟部組織)によって、各関節が繋がれて調和している状態であるため、一つ一つの関節を分節的に制御することができます。
今回のシリーズでは、柔構造をバイオメカニクス的な視点で、お話ししていきたいと思います。
それでは、前回に引き続き、力学的なキーワードの説明をしていきます。
キーワード⑦角運動量の相殺
まず、角運動量とは、前回のブログのキーワードである、慣性モーメント(回転させづらさ)✖︎角速度(回転運動の速さ)で求めることができます。
そのため、角運動量は、質量が大きいほど、回転半径が大きいほど、角速度が大きいほど増大します。
そして、私たちは、関節を中心とした回転運動を組み合わせることで、動作を行っています。
そこで、動作を安定させるために、角運動量を相殺させて、身体を定位させて安定した動作を生み出しています。
例えば、歩行では、胸郭が右回旋すると、骨盤は左回旋して、身体を定位させて安定した動作を生み出します。
図.歩行では、胸郭と骨盤帯の2つが、角運動量を相殺する。
しかし、腰椎が固くなり、腰椎の運動性が低下した状態になると、骨盤帯の回旋が乏しくなり、胸郭の回旋を相殺することが出来なくなります。
例えるなら、胸郭右回旋の角運動量が10に対して、腰椎左回旋の角運動量が3の状態です。
これでは、角運動量が相殺出来ずに、余分に胸郭右回旋してしまうため、身体を定位することが、出来なくなります。
そのため、身体を定位するためには、角運動量がキッチリ0になるように相殺する、精密な角運動量の調整が必要です。
図.腰椎が固くなると、胸郭の回旋を相殺出来なくなる。
対して、柔構造のように、脊椎1つ1つが分節的に動かせる場合は、24個ある椎体一つ一つの動きによって、より精密な角運動量の相殺を作り出すことができます。
例えば胸郭右回旋の角運動量が10に対して、腰椎左回旋の角運動量が10の状態です。
これだと角運動量が10-10=0となり、キッチリ相殺できるため、身体を定位させた、安定した動作を行うことが可能となります。
図.柔構造では、椎体1つ1つが分節的に動かせるため、胸郭と骨盤帯の角運動量を相殺できる。
臨床でも、身体が固い患者さんでは、低速の歩行でふらつくと言う場合がありますが、
柔構造の場合は、椎体1つ1つを制御できるだめ、角運動量の相殺を作り出すことができ、身体の定位がより精密になるので、低速で歩いても、ふらつかずに安定して歩くことができます。
これが角運動量の相殺というの視点から見た、脊柱が固くなったヒトの動作と、より効率的な柔構造のヒトの動作の違いです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました！
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