こんにちは!

Flexible Perfect Body協会 代表 安藤一樹です。




今回も、ROM -ex、関節モビライゼーション、移乗や介助がもっと上手になる、「骨に引っ掛ける技術」についてお話をしていきます。




今回は、良い握り方とされている虫様筋握りについて再考していきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。




図.虫様筋

※青は深指屈筋腱です。

引用:ヒューマンアナトミーアトラス2024より




・虫様筋の起始停止、作用

起始: 深指屈筋腱

停止: 指背腱膜

作用: MP関節屈曲・IP関節伸展




虫様筋は、腱に起始して、腱に停止する珍しい筋です。

しかも、掌側の深指屈筋腱から起始して、背側の指背腱膜に停止しているため、「MP関節屈曲・IP関節伸展」という、一見すると相反する機能を有してます。




また、虫様筋は、ラテン語でLumbricales muscleと言いますが、これには「ミミズ」の意味があります。




その名の通り、虫様筋は、細く小さい筋であり、

同様な機能を持つ骨間筋に比べて、出力が弱いと言う特徴があります。




そのため、精密で繊細な動きに関与しており、

物を指先で摘んだりする時に、作用します。




また、虫様筋は、出力が弱いと言う特性上、固有感覚受容器としての機能が求められているのでは無いかと言われています。



つまり、感じることが虫様筋の、主な役割なのです。




そして、筋の中にあるセンサー=筋紡錘は、筋収縮状態では感度が鈍くなります。




そのため、筋は緩んでいた方が、筋紡錘(センサー)の感度が向上します。



話を虫様筋握りに戻します。




虫様筋握りと対をなす握り方に、手外筋プラス肢位があります。




これは、総指伸筋・浅指屈筋・深指屈筋などの手外在筋を優位に用いた握りです。




手外筋プラス肢位での握り

この握りで患者さんを掴むと、点で圧迫することになり、痛みや不快感が生じます。




手内筋プラス肢位での握り(虫様筋握り)

対して、虫様筋と骨間筋を使った虫様筋握りで患者さんを掴むと、面で接することが出来るため、当たりが優しくなり、痛みや不快感が無くなります。







そのため、私達PT、OTの業界では、「虫様筋握りで、患者さんに触りましょう」と言われています。



 

しかし、この虫様筋握りには、一つ抜け落ちている視点があります。




それが「骨に引っかける技術」です。




この動画は、どちらも虫様筋握りで、骨模型の踵骨を操作して下肢伸展挙上を行った動画です。




「虫様筋握り」のみ



「虫様筋握り」+「骨に引っ掛ける技術」




いかがでしょうか?

「骨に引っ掛ける」を追加した後者の方が、下腿と大腿が、スムーズに動いている感じがしませんか?




実際「骨に引っ掛ける技術」を使った方が、操作がダイレクトに伝わって、下腿と大腿が動きやすくなっています。




そのため、患者さんに余計な緊張を与えなくなります。




すると、他動運動時の抵抗が軽減するためROM -ex、関節モビライゼーション、移乗介助が、より上手になります。




ぜひ意識してみて下さい。




本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました❗️






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