こんにちは!
Flexible Perfect Body協会代表安藤一樹です。
今回は、痛みとリライトアプローチについてお話します。
よろしくお願いします。
国際疼痛学会(IASP)は、2020年に痛みの定義を変更しました。
痛みとは「実際に身体の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験」
というものになりました。
この定義から、痛みは、①侵害受容性疼痛、②神経障害性疼痛、③痛覚変調性疼痛の3つに分かれます。
①侵害受容性疼痛
組織損傷によって起こる疼痛
例 外傷 熱傷
②神経障害性疼痛
痛みの発生に関わる神経の病変や損傷でおきる。
例 糖尿病性神経痛
③痛覚変調性疼痛
痛みの発生に関わる脳の神経回路の変化が起きる。
身体の組織や神経に損傷が起きなくても生じる。
例:線維筋痛症
これら、3つの痛みに対して、治療できるのがリライトアプローチになります。
①侵害受容器性疼痛や②神経侵害性疼痛は、侵害受容器閾値低下や神経線維の損傷によって引き起こされます。
運動する時に、動員される運動単位は、小さな運動単位から動員され、強い筋収縮が必要になるにつれ、大きな運動単位が動員されるという性質があります。
正門は、複数の運動単位を同時に、また正確に追従し, 同一筋肉でも単一方向の収縮に関与する運動単位と二方向の関節運動に参加できる運動単位があり, その運動方向により明らかに運動単位を支配する前角細胞の発射調節が異なることを推察しています。
つまり、運動単位は、運動方向によって動員される運動単位が変化することが考えられます。
運動方向は、関節角度が、1度でも変化すれば、それは違うものになります。
これを運動の軌道と言い、いくつもあります。このような運動の軌道が、たくさんあることを冗長性と言います。
私たちは、無数と言ってもいいほどの運動の軌道から1つの軌道を選んで動作を行っています。
リライトアプローチは、運動の軌道を変化させることで、侵害受容器や神経線維損傷部位の運動単位を動員させないため、動作時痛を消失させることができます。
③痛覚変調性疼痛に関しては、以前もお話しした通りですので、簡単に説明します。
詳しくは下記のブログをご覧ください。
痛みの認知は、刺激、記憶の詮索、認知の順番に起こります。
刺激が入力されると、痛みの記憶が呼び起こされ、過去に痛みのある動作だったので、今回も痛むという認知が生まれます。
大脳辺縁系の扁桃体が恐怖を感じると、前頭前野の機能低下が起こり、下行性疼痛抑制機能が低下することで、痛みを感じるようになります。
リライトアプローチで、動作の軌道を変えることで、痛みのない動作ができます。(刺激)
厳密には違いますが、同じ動作なのに記憶とは違ったことが生じ、痛みの出ない動作という情報として脳に送られます。(記憶の詮索)
その結果、扁桃体では、恐怖を感じなくなり、前頭前野の機能低下が生じなくなります。(認知の変化)
そして、下行性疼痛抑制系の機能も正常になり、痛みを感じなくなります。
このように、リライトアプローチは、①侵害受容性疼痛、②神経障害性疼痛、③痛覚変調性疼痛の3つ全ての疼痛の除去ができる瞬間治療になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献
正門由久:運動単位の発射様式に関する基礎研究[単一運動と複合運動との比較].リハビリテーション医学28(9),703-712,1991
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