フレデリック・フェッカイ | 我が麗しき君と摩天楼

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沢田研二さんへの想いを胸に秘め、ニューヨークに14年滞在後2013年帰国。
変わり果てた日本で逞しく生きる日々。

なんと申しましょうか。

人の価値観というものはしょせん他人には分かんなかったりしますけど、だから、本日はお勧め致しません。

自分が満足すればそれでよしなところが、時にはあったりしてもいいでしょう。

恐れ多いことに、本日は「フレデリック・フェッカイ( Frederic Fekkai )」に行って参りました。

世界でも5本の指に入るセレブリティなヘアースタイリスト、フェッカイのヘアーサロンでございます。

もちろんフェッカイご本人は、世界のショーやセレブなお客様相手に活躍されておりますので、NYのお店にはなかなかいらっしゃいません。
ちなみに彼のヘアーカットは約7万円(チップ抜き)でございます。


今からさかのぼること約15年前、NY観光旅行を控えた私は日本でフィガロジャパンのNY特集を見ていました。

NY特集には、興味そそられる流行の飲食店や雑貨屋さんが、他の国の観光地の紹介のように沢山出ていました。

しかし、ただの観光ではなく、NYにしかないもの、ニューヨーカーですらワクワクするような、何かがしたかったんですね。

そこで、フィガロジャパンで紹介されていたのが「フレデリック・フェッカイ」NY出店、でした。

予約をするべく、あんちょこを作りまして、NYのホテルから電話を入れました。

運良くあんちょこ効果で予約がとれ、当時シャネルのビルの上に出来たばかりの「フレデリック・フェッカイ」NY店に到着しました。

私のような旅行者ばかりでなく、一般庶民と言える方々は誰一人いませんでした。

殆どのお客さんは、毛皮のコートをお店の人に脱がせて頂いて、一緒にコートチェックに入って行きました。
戻ってきたらロビーでまず、お茶です。

店内の内装は、大理石とゴールド色が基調で、時代も時代でしたから華やかの一言でした。
フレンチとイタリアン装飾を足して2で割った絢爛さです。

窓際にはネイル用のテーブルが美しく並び、セレブ達はお茶を頂きながら優雅に座っておりました。

天井からは所狭しとシャンデリアが備え付けられ、宮殿のようです。

そこで、私はビビりながらNYで最初のヘアーカットを体験致しました。

以前書きましたが、しかし、この時の出来映えに私は満足出来ませんでした。
でも、あの場所で過ごせた時間に後悔はしていません。

それから12年後、私のNY滞在10年目、今から3年前、偶然その時ヘアーカットをして下さった方に再会致しました。

現在「フレデリック・フェッカイ」NY店の、クリエーティブ・ディレクターとして、フェッカイの愛弟子としていらっしゃいました。
時々仕事で日本にも行かれるらしいですよ。

そこで、この度の帰国を機に、NYでの最後のヘアーカットもその方にお願いしたいと思ったわけです。

予約を入れた時、その方のお値段に目が飛び出ましたが、数々の5つ星のレビューに相応しい技術なのだろうと覚悟を決めました。

お店は現在「ヘンリー・ベンデル( HENRI・BENDEL )」の4階に移転しております。


ヘンリー・ベンデルの商品には脇目も振らず、店内の一番奥にあるエレベーターから「フレデリック・フェッカイ」に向います。


よくある普通のエレベーターですね。

到着致しました。

チェックインカウンターの方々は昔と変わらず大変和やかにもてなしてくれ、左手にはロビー、右手にサロンが広がっていました。
内装は以前の煌びやかなものではなく、シックで落ち着いたものでした。
15年前はそんなことを感じる余裕はなかったのですが、スタッフの皆様はとても気さくで楽しい方達ばかりした。


お客さんはセレブな方々は少なめで、これはこれで今の経済状態に比例しているようでした。
会社帰りの方々も沢山いらっしゃっていました。

もちろん担当がどの方であれ、普通の会社員がちょくちょく来れるところではございませんので、数ヶ月に一度、年に一度、ここに来るのを楽しみにされている女性達ばかりです。

ネイルは現在していないようで、ヘアーサロンのみの営業のようです。

6つほど並ぶ小部屋のひとつに入りガウンに着替え、担当の方のセクションの鏡の前に座ります。
私を含めて2人のお客さんを掛け持ちで髪を切って下さいました。

日本人の髪質の場合、シャンプーは後の方がいいと言われて、いきなり切り始めました。
一応私の承諾を得ますが、御自分のヘアーアーティスト的インスピレーションで「こうしましょう!」と言われました。

この私の担当の方はフェッカイのサロンでも「女性をどうしたら美しく見せるか知っている」ダントツ一位なんだそうです。

どうとでもして下さい。
さてさて、NY最後のヘアーカットはいかに!

そして、ハサミを持つや否や。
顔つきが変わりました。

はやい!
もの凄くはやい!

とんでもない速さで切っています。
しかもとても軽やかに。

左手で髪をわしづかみにしながら、ハサミが空を舞い、髪を切られているという感覚が全くなくて、でも髪はどんどん切られて床に落ちていきます。

時折右を向いたり左を向いたり、そして、初めて、直立に立って髪を切られました。

「ちょっと立ってくれる?」

「た、立つんですか?いま?」

鏡に背を向け、壁側を向いて、背筋を伸ばします。
すると担当のスタイリストは360℃から私の髪を切り始めました。

い、今切るんですか。
これは初めてですがな。

「はい!じゃあシャンプー行ってきて下さい。」
「はい~。」
「#$%^&*$^#*&%^$(フランス語)」
「ウィー(これしか聞き取れん)&^#%$@*&$^$。」
「あ、彼について行って下さい。」

フランス人のアシスタントがシャンプーとマッサージをして下さいました。

う~ん。
気持ちはいいですが、今まで行っていたところは首や肩や腕までマッサージしてくれたなあ~と少々残念です。

ぶお~~~~。
ドライもカット同様ダイナミックです。

ヘアーカットが始まってから私は眼鏡を外していますので、ことの成り行きが全く見えておりません。
視力は0.02乱視遠視でございます。

「おっけ~じゃあ、もうちょっと切ろうかな。」

「はい~。」

「また立ってみて。」

「はい~。」

「おっけ~!今までちょっとコンサバすぎたから、今回は違った印象を出してるから。セットもしやすくていいよ。」

「は~い。」

「あ、それと、左右の長さすこ~し違ってるから。わざとね。その方が君の表情が奇麗に見えるはずだから。」

「ほほ~。ほんとだ~。左の方が長いですね。」

「おっけ~」と鏡を渡されました。

へ?もう終わりかい?

二人で鏡を覗き込みながら「これで如何でしょうか~?」というへりくだった物腰はありません。

「こんな感じよ~いいでしょ?」とよそを向いて言いながら、ワックスを髪をぐしゃぐしゃにしながら少量付けて行きます。

チェックインして、
着替えて、
カットしてもらって、
シャンプーしてもらって、
ブローセットしてもらって、
最後にちょこっと修正されて、
着替えて、
会計をして、
皆様にご挨拶をして。

全てにかかった時間、なんと、40分。

はや過ぎませんか。

しかし、この15年で彼の技術は相当な成果を遂げ、NY最後のヘアーカットは大変お気に召しております。

よく思い出してみると、クシ、ほっとんど使っていませんわ。
はや過ぎて見えなかっただけかもしれませんが。
あ、ブローはクシは一切使っていませんでした。

しかし出来上がりは、なんだかちょっとおっされ~な感じで、かっちょ良く見えるのが不思議です。

今までずっと日本で技術を磨いた方にやって頂いていましたから、悪く言うと、出来上がりが奇麗すぎるんですね。
一糸乱れぬ出来映えって言うやつですか。
それはそれで凄く高い技術だと思います。
実際、日本人の美容師さんはこちらでは大変人気ですから。


いやいや。
行ってやりましたよ。フェッカイに。

NYでも1、2位を誇るサロンで、世界で活躍するアーティストにヘアーカットされることに、どのくらいの方が共感されるかわかりません。

高額を出せばきっと満足するサービスを受けれる、とは言いません。

皆様も、ひとりひとりが、贅沢な時間の過ごし方をお持ちでしょう。

ヘアーカットごときに、大枚はたいて贅沢な僅かな時間(40分)を過ごすこと、私は結構好きなんですよ。












追伸:
昨日、74年生まれ様からコメントを頂きました、「メトロポリタン美術館を出て行方不明になっていた高校生」は、無事、タイムズスクエアでNY在住の日本人に発見され保護されました。

五番街の空