留魂録・・・其の十 | 隠居の暇つぶし

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留 魂 録・第十章


堀江克之助は常に神道をあがめ、天皇を尊び大道

を天下に明白にして、異端や邪説を排除したいと

願っている。


彼は朝廷から教書を出版して、天下に配布するの

がよいではないかと言う。


私としては教書を出版するには一つの方法がある

と思う。


すなわち、京都に大学校を創立し朝廷の学風を天

下に示すほか、天下の優れた才能人材を京都に集

め、彼らに天下古今の正論、確乎たる議論を編集

させて本をつくり、


朝廷で教習ののち天下に配布すれば、人心はおの

ずから一定するであろう。


私がかねてから入江杉蔵と密議していたのは尊攘

堂創設のことであったが、それもあわせて堀江に

相談し、この実行を杉蔵にまかすことに決めた。


杉蔵がよく同志とはかり内外に協力を訴えて実現

の端緒をつかむことができれば、私が志したこと

も無駄にはらないと思う。


昨年、勅諚や綸旨を求めようとした企ては、挫折

してしったが、尊王攘夷は決してやめるべきで

はないから、


しかるべき方法を考え、前人の志を受け継いでい

かなければならない。


そのためにも京都に大学校を興すというのは、す

ぐれた論策ではあるまいか。

 

ひとこと

処刑七日前に、松陰先生は入江杉蔵に手紙を書き

尊攘堂設立のことを委託しています。


その入江杉蔵は、禁門の変で討死したので明治に

なって、品川弥二郎が、その遺志を継ぎました。


次回につづく