時喰みの全て | ルーメン・イストワール

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真島ヒロ先生を応援しています。
EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

概要


『EDENSZERO』完結まであと3話。

ラスト4話となった第290話『時を喰べる少女』では、ついに時喰みの正体が判明。

時喰みが如何にして生まれたのか、その全貌が明かされました。

これまで「宇宙の厄災」として度々シキ達に関わってきた怪物。

物語初期から出てきていた厄災の正体は、レベッカ

「時の力」を持つレベッカが、未来で「時喰み」となっていました。

時喰みの全貌が明かされた良いタイミングですので、これまで描かれてきた時喰みの謎、伏線を振り返りつつ、自己解釈していきたいと思います。


時喰み

まずは、簡単に時喰みについておさらい。

  • 星の時を喰う宇宙の怪物
  • 時喰みに喰われた星は時が巻き戻る
  • これには元に戻す方法はない
  • 時を奪われた星は「侵入禁止惑星」となる
  • 二つの歴史を作り宇宙を混乱させる宇宙の大いなる厄災
  • 初登場は11話
  • 「時の流れに逆らった者」がいる星に来るケースが多い
  • 時喰みの体内には謎の女性がいる
  • 女性の発言から「奪われた時を取り戻す」事が目的だと分かっている

これまで時喰みが喰べた星

これまで時喰みが喰べたと分かっている星も振り返ってみる。
  • 惑星ノーマ(50年)
  • 惑星ギルスト(1200年)
  • 惑星レンダード(260年)
  • マザー(20000年)
  • ユニバース3173のエデンズゼロ
唯一星ではないエデンズゼロは楓大戦でジギーの口から語られて分かっています。
ジギーが二万年後の世界からユニバース0を目指してエデンズゼロを出発させた時、時喰みと接触、結果ユニバース1に辿り着き、シキとレベッカが旅立ちグランベルを旅立つこの物語のメインタイムラインが始まりました。

正体

前述の通り、第290話『時を喰べる少女』にて時喰みの正体が判明。
二万年後の未来から来たレベッカ
二万年後の世界で実はレベッカも生きていたと思われ、ジギー(シキ)の後を追うかたちで「時の力」が覚醒。
レベッカの体は黒い影に包まれ「時喰み」へと姿を変えていきました。

時喰みの正体が「レベッカ」だと思わせる伏線は以前から描かれています。
  • ウェーブがかった髪
  • 女性
  • "時"を司る存在
  • 猫耳
  • ハート
  • 話口調
  • 「未来から来た」という発言
  • シキと思わしき人物を捜していたという発言

詳しくは以前書いた記事にて。

この最終決戦に入ってから随所で時喰み=レベッカだと仄めかされていました。

 

"思いがけない事故"の真相

二万年後の世界での不可解な描写でいうと、ジギーがユニバース0を目指してエデンズゼロを発進させた時です。
「その時…思いがけない事故があった」とジギーは当時の事を振り返って話していました。
エーテリオンに異常が発生し、ユニバースの移動が困難になった。
その原因は、時喰みの接触
「生きていた頃のレベッカに会いたい」という思いもあり、どうしてもユニバースに移動が必要だったジギー。
その為「しかし…私は行かなくては…!!!」と無理矢理時空を超えました。

おそらくその強行突破の結果、目的だったユニバース0には到着せず、記憶も失ってしまったのではないかと思います。
不完全なかたちでの時空跳躍が予期せぬアクシデントを生んだ。
タイミングがタイミングなだけに、最初はジギーをユニバース0には到達させまいとした時喰みの攻撃なのかと思いました。
しかし実際は「シキの事を追いかけたレベッカの行動だった」と明かされます。
部屋を後にしたジギーにレベッカは「行かないでシキ…あたしはここにいるよ…助けて…あたしを置いて…行かないで」と訴えかけており、しかしそれは言葉になっていなかった為、ジギーに届く事はありませんでした。
エデンズゼロが発進したタイミングで「一人にしないで…シキ…お願い!!!!」と強く思い、その時初めて眼を開き、体が時喰みへと変化しました。
惑星エデンを脱出し「待ってシキ…置いて行かないで…」とエデンズゼロに縋りつきました。
その結果、あの"思いがけない事故"が起きた。
最初は「敵意」だと思っていましたが、その実は「愛」だったかなと思います。
「一人にしないで」という思いがあの事故を生んでしまった。

時喰みの起源

エデンズゼロと共に時空を飛び「未来」から「現代」に来た時喰み。
「ここは…どこ?思い出せない…」と時喰みが記憶を失ったのはジギーと同じ要因だったのではないかと思います。
不完全なかたちでユニバースを移動した為、多大な負荷がかかった。
ジギーにも同じ事が起きていたので、時喰みがそれまでの記憶を失っていたのも説明がつけられるかなと思います。
最初に感じたのは「ああ…お腹が空いた…」という空腹感。
目の前にあった星が「美味しそう」だと感じて「食べよう…食べたらきっと…思い出せるかもしれない」と思い食しました。
「ああ…美味しい…あたしは時を喰べている なんで"時"が美味しいのかしら…そうだわ…あたしは時を奪われタ…返して…アタシノ時ヲ…」という目的で時喰みは宇宙での活動を開始したようです。

その結果、この時代で時喰みは「星の時を喰う宇宙の怪物」として恐れられていた。

時を喰う理由

時喰みを考える上で1番重要そうなのは「時を喰べる理由」
時喰みの存在を最も説明する大きな特徴。
何故時喰みは「時」を喰べるのか
「時」を喰べるようになった経緯は、第290話にて描かれました。
記憶を失い、自分が何者なのか忘れてしまった時喰み。
ちょうど目の前にあった星を見て「ああ…お腹が空いた…」と感じていました。

星から空腹感を連想させるなんて本来あり得ない。
しかしそうなったのは「大きなエネルギーを感じたから」
時喰みが星を喰べると、その星の時は過去へと遡ります。
時喰みは星を喰べる事で「時」というエネルギーを自分の中に取り込んでいるのではないかと思いました。
「お腹が空いた…」と感じ、星の時を喰べる事で「ああ…美味しい…」と味覚を感じている。
その様子を見るに、時喰みにとっての時喰いは生物の食事と何ら変わらない気がします
かつては人でしたが、宇宙の怪物になった事で、内に入れるエネルギーが「時」に変わってしまったのでしょうか。
「力の暴走」とも言い換えられるかもしれない。
元々特異な力。それが二万年もの時間を飛び越えた事が影響、瀕死状態からの復活、いくつもの偶然が重なって「時を喰う化け物」になってしまったんじゃないかと思います。

食べるのが好き

加えて、今にして考えると「伏線」だったように思えてくるのが、レベッカの「食事が好き」という設定。
キャラのプロフィールにも書いてあるくらい象徴的な個性で、それは物語が始まった時点から定まっていたものでした。

1話で既にレベッカはグランベルの食事を堪能しています。
レベッカのキャラクターとしてのシンボルの一つだった「食事が好き」という設定。
同じく「食べる」事そのものが存在のコンセプトである時喰みの正体を示していたのかもしれません
考えようによっては、元から「食べる」のが好きで「大食い」のような側面もあったから、レベッカが時喰みになってしまったのもあるのかな。
そう考えるとこの真相になるべくしてなった必然性があり面白いです。
どのくらい真島先生の意図があったのか分からないけど、興味深い一致。

時喰みの中にあった世界

時を喰う事は「空腹を満たす行為」として、生物の食事と同じだという事が分かりました。
残る謎としては、体内で時喰みが見せた世界
そこでは、ブルーガーデンと思わしき近未来都市が広がっていて、ノーマの土属性エーテルの結晶のようなものが落ちてきて、空中にはレベッカのB・キューブのような立方体が浮遊していました。

結局あの世界は何だったのか
いくつかの可能性を考えたのですが、個人的に1番ありそうだと思ったのは、時喰みが喰べた"時"が封じられている説
「美味しさ」を感じているという事は「時」が体内に吸収されたという事ですし、その「時」がどのようなかたちで作用されているのか考えるとああなっているんじゃないかと。
時喰みの喰べた星の時が混同している世界。
チグハグで異次元みたいな空間で、そこに「時」というものの本来の異質さを感じたんです。
概念的でカオスの象徴のような
実際ノーマは本当に時を喰べています。だから50年前のワイズが存在していました。
ブルーガーデンもユニバース1〜3では喰われていないけど、描写されていない他のユニバースで喰ったんじゃないかと思いました。
時喰みは何度も宇宙を滅ぼしていると思える発言をしており、その度にこれまで様々な星を喰べてきたんじゃないかと思います。
その中にブルーガーデンもあったんじゃないかな。
気になるのは浮遊しているB・キューブですが、これは「これまでの宇宙で時喰みがレベッカの命を奪った回数」なのかなと思いました。
時喰みはその人物の生まれる前まで時を喰った場合、存在そのものが消滅する事が分かっています。
見える範囲で確認できるB・キューブは「7個」。少なくともこれまで「7回」はレベッカを殺しているんじゃないかと思いました。

不意に跳躍した未来は消えた宇宙説

レベッカは過去に2回、自分の意識とは裏腹に力が発動し、正体不明の未来に跳躍しています。
  • 人類が機械生命体と戦争してるような未来(69話)
  • レベッカが足を失いキャットリーパーを使えない最悪の未来(149-150話)
どちらも結局詳細不明。

これはもう作中で明確な伏線回収が絶望的だと感じるからこその解釈ではあるんですが、この二種の未来は「これまで時喰みに消された宇宙」だとしたらロマンがあると思いました。
根拠は何もないですが、作中で明かされないなら、そういう解釈をしたい。
この2つの未来、機械化したミュラーに足を切られそうになった時、ユニバース0がそれだったのかと感じているレベッカの描写がありました。
ここにきて取り上げられたのは、まだ回収される伏線として生きていける証拠にも見えた。
でもユニバース0は「皆が幸せになれる世界」なのでそれは考え難く、であればどういう話の繋げ方があるか考えると「時喰みが消した宇宙」というのはある気がします。
あの未来はレベッカに近い将来危機が迫っている事を訴えかけようとしていたなら面白い。
何の力がどういうかたちで作用したのか説明できませんが、これまで時喰みが破壊してきた宇宙が読者と共に冒険してきたレベッカに流れ込んできていたのかもしれません

レベッカのいる星に来やすい理由

時喰みが訪れやすい星には共通点があります。
それは「時の流れに逆らった者」がいる星に来るというもの。

例として、ノーマとギルストはキャットリーパーの力で時の流れに逆らっているレベッカがいました。
キャットリーパーに限らず、ワイズのように時喰みに喰われた星から脱出した人物がいる星にも来やすいという分析をハーミットがしていました。
その理由は不明。
時喰みの正体を知ってから考えると、時喰みはかつてレベッカとして歩んだ旅路を追体験しているだけなのではないかと思いました
時喰みは最終的にレベッカの体を奪っていて「返して」と言っていた「アタシノ時」とは「本来続くはずだったエデンズゼロでの冒険の日々」なのではないかと思ったんです。
時喰みにとっての「奪われた時」なんて他に想像がつかない。
時を喰べるという行為は、その動機が狂った結果で、本来根底にあったのは「エデンズゼロでの冒険の日々」だと思ってます。
「捜していた人も…同じ事を言っていた気がする」と大事な事を思い出したように、心のどこかに「エデンズゼロでの冒険の日々」があって、時喰みは無意識にレベッカの行った事ある星を喰べていたんじゃないかと思いました
その為、レベッカのいる星に訪れやすかった
時喰みが最終的にマザー到達を成功させていた事にも意味を感じていて、やはり冒険の日々を忘れていなかったんじゃないでしょうか。
もしそうなら化け物になった上で、どこかで人としての心を失っていなかったようで、凄く良い。

時喰みを救う方法

そんな時喰みを最終的に救う方法。
290話現在時喰みはレベッカの体に取り憑き宇宙を破壊しようとしていて、倒さねばならない存在です。
しかしシキは倒すだけじゃなく「救う」つもりでもあると思います。
「時を返してほしい」と言っていた事から「おまえは救われたいんだ」と本心に気付き、宇宙の厄災である時喰みにですら「オレはさ…おまえとも友達になれると思ってるんだ」と手を差し伸べました。
290話ではその正体に気づき「オレたち友達だろ!!!!」と全力で手を伸ばす。
シキは敵をこれから倒そうとする表情をしていません。友の心を救う為の表情をしています。
最終的にシキはどういう対応をするか。
自分の中である可能性が思い浮かんでいます。
それは、エデンズゼロの時を超えるエーテルとして搭載された「エーテリオン」であるレベッカのB・キューブ

遺物に宿るマザーエーテルと同様の状態でエーテルが封じられていました。
「レベッカのB・キューブ」という特別な意味が込められたアイテム。
それがエーテリオンの核だった事が個人的に気になっていました。
あのB・キューブは元々時喰みのものなので、それを返す事で時喰みを封じる事ができるんじゃないでしょうか
時喰みの求めているものが「エデンズゼロでの冒険の日々」だとしたら、その時間は戻らないけど、B・キューブで「思い出」は再生する事ができるんです
それとも、レベッカのB・キューブと時のエーテルが作用して、本当にあの時間に戻る事ができてしまう…みたいな奇跡が起こったりするのでしょうか。
何故かつての世界で二万年もの時を超えたB・キューブが未だに残っているのか。このクライマックスで使われる伏線なのではないかと思いました。
時喰みの接触でエーテリオンに異常が発生し思わぬ事故が起きたなら、逆の作用も期待できるように思うんです。エーテリオンの力で時喰みに異常が起きる。
エーテリオン(B・キューブ)は精神的にも肉体的にも時喰みを救う事ができるんじゃないかと思います。

以上、これまでの時喰みを自己解釈してみました。
次回どうなるか楽しみ過ぎる!!
ある意味次回を読む為にここまで『EDENSZERO』を追ってきたと言っても過言じゃないです。
冒険のフィナーレをしかと目に焼き付ける!!