EDENSZERO第285話『0対1』感想 | ルーメン・イストワール

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真島ヒロ先生を応援しています。
EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

二万年後のレベッカから思念となり生まれたヴォイドとジギーの親子対決。ジギーの一撃・ゼノフレアによりヴォイドの"時の力"は封じられ、勝負はついたかと思われたが…!?


前号までのあらすじ…舞台は冒険の終着点、かつて地球があった宇宙。そして残るは、エデンズゼロVS.エデンズワン、ジギーVS.ヴォイドの戦いのみ。その一方で、シキは「時喰み」を呼ぶことで、マザーを元々の"地球"の姿に戻すために行動する。マザー消失のタイムリミットが近づく中、シャオメイを頼りシキは時喰みのもとに辿り着き、その体内に突入。そこには謎の女性(?)の姿が……。この宇宙の未来、そして最終決戦の行方は──!?


扉絵

扉絵は、今回の話の主役であるジギー

後ろでマイケルが手を振っていて「始まりは───グランベル王国」という煽り文が添えられてる事から、舞台はグランベルなのでしょう。

ジギー最後の戦い、その決着回で、ジギーの旅の始まりであるグランベルを映すという。

もしかしたらこの絵は「始まり」を意味するイメージイラストではなく、本当にかつてマザーを目指して旅立った瞬間の実在した光景なのかもしれませんね。そう考えると趣深い特別な扉絵


0対1

ジギーに足を切断され、無力化させられたヴォイド。

これで終わりとは思えなかったので、何らかの方法で時の力をまだ使うかと思っていたのですが、その後ヴォイドがしたのはエデンズワンの増援だったので、ヴォイド本体の時の力はこれで完全に失われていたようです

かつて、149話でレベッカが不意に跳躍した未来でも体験した「足の喪失=時の力は使えない」状態。

これは揺るぎないものでした。

まぁ、ヴォイドを倒すとなったら「時の力」を無力化させるのは必要不可欠なステップです。

でないと、破壊できたと思ったらリバースを使われ無効化させられます。

ヴォイドはまだまだ時の力を際限なく使えそうだったので、レベッカのようにリバースの連続使用回数は「2回」ではないのかもしれません。

描写されて分かってる範囲で既に「2度」使っていて、その際に自身にダメージが入るような後遺症は一切描かれていませんでした。

レベッカ以上に「時の力」を我がものとしているヴォイド。

最終的にMAXのパワーで戦えないのは読んでて少し爽快ではありませんでしたが、倒す過程として見るとリアルな話運びです

ヴォイドを倒すなら、まずは完全に時の力を無力化させる必要があった。

足を失った状態でヴォイドが全身から光を放つのは、何かまだ秘策があると身構えましたが。

それこそ足を失った状態でも「時の力」を使えそうで、足の切られなかった未来に行くとかそういう事をするんじゃないかと想像しました。

答えは、エデンズワンに他の宇宙船の増援

エデンズワンに搭載されてるAIが船を作り続けたようで、無数の船達がエデンズワンの周りに集結しました。

ヴォイドそのものがパワーアップするだとか回復するだとかじゃなかったけど、たとえ自分の身が滅びようとも人類を絶滅させるという意地を見せたのでしょうか

増援ならもっと早い段階で呼べば良かったのに、このタイミングになったのも、ヴォイドの残る力を使って発動したように見えます。

無数にある高性能な船を動かすには、膨大なエーテルが必要だったりするんですかね。


エデンズワンの増援

エデンズワンの増援として集まってきた無数の船、何気に絶望感がある

宇宙船同士の戦闘って対人の戦闘と違って、どうにもならない状況の打開が簡単じゃない印象なんです。

例えば、最近のホムラvs.レディ・フレイヤでもエーテル力の差に「120倍」の差があって、心技体云々の話もあったけど、だとしても本来乗り越えられる数値じゃないと思います。

しかし、ホムラは勝ち、圧倒的なレディ・フレイヤを凌駕した。

ああいう数値での比較は良くも悪くも「演出」の一環として、そう危機感を感じず読めるところあるんですけど、宇宙船同士の戦闘じゃそうはいかない。

EDENSZEROで何度も描かれてるけど、宇宙船同士の戦闘において圧倒的な戦力差をどうにかできた事ってないんじゃないだろうか。

こちらが勝つ時、敵を過剰に強く描かれず、敵が過剰に強く描かれた時はこちらが負けてる気がする。

桜宇宙でジギーと再会した時はエルシーが間を割って入った事で事なきを得ましたし、惑星ネロ66突入だったり、フェザー隊からの逃亡だったり、クロウ戦だったり色々あったけど、理屈を無視した解決法はなかった気がする。

読んでて、そこそこ納得できる範囲の話でした。

宇宙船同士の戦闘はリアリティラインみたいなものが上がる感覚あって、だからこそあれだけ多くの艦隊を前にした時の絶望感は半端なかったです。

これが対人の戦闘なら何とか勝つんだろうなと思えるものの、宇宙船同士の戦闘だからどうやって攻撃から逃れるんだ…?と本気で心配した

数の多さでいったらエルシー艦隊を彷彿とします。

桜宇宙編ではあれだけ多くの船を持っていたからエルシーに頼もしさを感じたし、今回はあれだけ多くの船が敵に回ったからこそどうしようもなく追い詰められた気分になった。

あれだけ無数の船から攻撃を受けたら、そもそも避けられる空間がないように思う。

そういうイメージで「詰んだ」ビジョンが脳裏を過ぎりました。


駆けつける仲間達

しかし、これだけ大きな戦力差。"フラグ"ではありましたよね。

今この場にいない無数の仲間が駆けつける為の…!

「大丈夫 周りのは私たちが何とかするわ あなたたちは本体を狙って」とホーリィ率いる星系連盟軍の艦隊がやってきました。

続け様にイレイサー、ビクトリー、ジャガー、アミラ、フェザーが登場。

星系六祈将総登場


楓大戦以来に、あの時とは違ったメンバーで集結しました。

星系六祈将、結局対人での戦闘より宇宙船で戦うサポートの役割が多かったですね。

対人戦闘もないわけじゃないけど、振り返ってみると作中で貢献してるのは大体宇宙船での戦闘。

改めてこの絵面も毎度お馴染みのものに感じて、この最終局面でもう一度見れたのもある種のクライマックス。

対人戦闘が好きではありますが、こういう役回りが特徴的になったのも、他の作品にはないEDENSZEROだからこその"味"だと感じます

EDENSZEROにおいては正義の組織サイドの幹部が主役の戦いを宇宙船からサポートするの面白いでしょ

決して世界の主役にはならない、あの立ち位置のキャラだからこその"弁え"を感じます。


B・キューバーの情報拡散

ここはマザーのいる未開の宇宙。

本来認識するのは不可能な世界で「どうやってここに!?」というワイズの疑問はごもっとも。

「B・キューバーたちが情報を拡散しています」とフェザーが説明してくれました。

なんと、ラビリア達がエデンズゼロを助ける為に呼びかけてくれてた!!

本人「ごめん!私たちこれくらいしかできないけど」と言ってたけど、十分過ぎるよ〜〜!!

むしろこの窮地を救ってくれてMVP…!!

マザーのいる宇宙も座標さえ分かれば意外と誰でも侵入できる世界だったんですかね。

これだけの戦力を集めたラビリア筆頭にB・キューバー達凄い。

ラビリアってずっと役回りが不明瞭で、最後まで戦闘に特化した強みも生まれなかったし、一体真島先生はどういうキャラにするつもりだったのかよく分からなかったんです。

戦闘できないとして、であるなら貢献できる部分って何って。

そのアンサーが「B・キューバーとしての知名度・発信力を活かした情報拡散」は鮮やか過ぎる〜〜!!

何度か感想で書いてて、自分はラビリアは作中でも屈指の残念キャラだったんですが、最後のこの活躍だけはラビリアというキャラクターらしい特別な見せ場になってて凄く感動しました。

これぞ、ラビリアに期待してたものでした。



戦うクレナイ

「ごめん!私たちこれくらいしかできないけどいろんな人に届いてたらいいな」と言いながら、読者の思いもよらない意外な人達まで駆け付けてる…!!

紅鉄騎がロケットランチャーみたいな銃撃ってる絵面に笑うww

お前、武器持って戦うのかよ…。

こいつにはこいつの体自体に武器が仕込まれてるのに、わざわざ武器携帯して戦うの、ロボットゲーのトンデモカスタムを見てる気分です

見た目の個性強過ぎる。

紅鉄騎を操縦して戦うのは、当然クレナイ

かつて、サン・ジュエルでシキを苦しめた特別性のナイトギア。

オーバードライブすら会得してない初期ですが、序盤環境では強かった印象がありますね〜。

今になってあのロボが味方として戦う。胸熱(真島先生もデザイン絶対うろ覚えだっただろうな…)。

ヴァルキリーも「クレナイ!?」と気付いてますし、ホムラも「母上…」と気付いて良い。

当時の感想でも書いた通り、クレナイは良い人にならなくて良かった派ではあるんですが、良い人というのを受け入れた上で見ると嬉しい展開。

この世界で再会した時点でホムラは認めていますが、改めて言葉だけじゃない行動でクレナイの事を見直す事ができたんじゃないでしょうか

クレナイといえば、ホムラにとっては1番根幹に眠る過去を苦しめた存在でもあったので、その部分が報われただけでここまで旅してきて良かったと思える。

短いシーンではありましたが「母上……」と敬意を称して戦ってる姿を見てるホムラの姿にグッときました。


帝国軍とベリアル・ゴア

で、帝国軍とベリアル・ゴアという元敵達も参戦!!

いや、クレナイの時点でそうではありますが!!

シュラとドラッケンに関しては、クレナイ以上に特別な強敵ではありましたからね。

EDENSZEROの主要な敵キャラの名前を挙げたら、間違いなく出てくる二大強敵ヴィラン。

この2人はこの世界でシキが「友達になる」と決心した相手で、今こうやってピンチに駆けつけるのはまさに「友達」らしい行動で胸が熱くなりました。

ずっと、こういう展開を望んでいたんですよ…!

ドラッケンに関しては、時喰みに時を喰われたノーマに当時のドラッケンがいると分かり、星を出てシキ達の前に姿を現す展開を熱望していたんですが叶いませんでした。

再び敵でも良いし、できれば次は強力な味方として存在感を発揮する話を見たかった。

FAIRYTAILは何度もそういうのありましたが、EDENSZEROはそんなにありませんでしたね〜。

少し話の構造が違うのでやらなかったのかなとは思いますが、やっぱりこういう展開には胸が熱くなる。

「さぁてハデにやるぜぇ」なんて、悪役時代と同じような口ぶりで今は仲間なの最高なんですよ

これほど頼もしい存在はいない

銀河六魔将は新旧含め何人もいるけど、やっぱりこの人が原点にして頂点。悪役としての魅力、ロマンが詰め込まれているから今回助けに来てくれたのも光って見えます。

シュラも嬉しいですね〜。「エデンズゼロを援護する!!!」なんて言っちゃって!

完全に「同盟国」…ひいては「友好的な相手」を守る為の指示じゃないですか〜。

帝国を担う権力持ってああ言えるのが良過ぎる。

帝国もね。最近アニメの葵宇宙編見返してたのもあって、FTでいう蛇姫の鱗みたいに主人公チームにおけるライバル組織みたくなってほしかったな〜という心残りがあったので、疑似的にそれを体感できました。

重力使いの少年率いる若者メインのチームってのが良いのよ。これはしっかり巨悪の組織やったベリアル・ゴアにはない魅力。


シキの重力に引かれた者達

オアシスなんかも駆け付けてくれて、これまで出会った無数の人達が繋げてくれた輪を「皆…シキの重力に引かれたのかもな…」と表現するジギーが良い。

シキの"重力"とはそういうものだったんだ。

このユニバース0でシキとレベッカが再会したのも、桜宇宙を飛行してたアクアウィングの機体が妙に重くてグランベルに引かれてるからでもありました。

前の世界で出会った因果が作用したこの世界。

ジギーも「シキの重力のエーテルギアの力」という意味で言ったわけではないじゃないんでしょうか。

シキの持つ人間的な魅力、心と心を繋ごうとしてきた今までの行動、それら全てがこの結果を生んでる

そういう意味で「シキの重力」と表現していた気がします。

個人的に第1話の巻頭カラーイラストに添えられていた作品のキャッチコピーを彷彿としました。


「つながっていく輪は無限大の可能性」

第1話でこの文言を見た時から、シキが宇宙を旅して出会っていく人達との繋がりがやがて大きな意味を持ってくるんじゃないかと予感していました。

まさにそれを表現した展開。

情報拡散してくれたのはB・キューバー達ですが、駆け付けてくれた人は全員シキに出会って感化されてきた人達です。

思わぬ助力の数々にこれまでの旅路全部を回想できて感動的です。

にしてもジギーはやっぱり自分の事を消えるべき前時代の存在と思ってるんですかね。

ヴォイドと戦闘を開始した時「この時代に…この世界に存在してはならぬワシ等二人はこの場で消えねばならぬ!!!」と言っていましたし、決着のついた今回も「もう我々の出る幕は終わりじゃよ」と言っていました。

本来世界に存在してはいけない古き遺産。

今の時代を作れるのは今を生きてる人達と言わんばかりに、自分もろともヴォイドとこの世界を去ろうとしているように感じます。

やっぱり最終的にはジギーとの別れが待ってるのかな。

楓大戦の最後に悲しい死別はしたので、今回は前の世界とは違って明るく前向きなかたちで「シキのジギーからの卒業」のようであってほしい。


二つのスターブリンガー

今回の話の冒頭では装填率が「90%」だったスターブリンガー。

それでも放つ事はできるのですが「100%の力じゃなきゃ倒せない」というのがハーミットの見解でした。

一度は圧倒的戦力差に絶望したものの、駆け付けてくれた多くの人達が時間を稼いでくれた事で、無事装填率「100%」達成。

エデンズゼロの口元が光を放ちます。

時を同じくして、ヴォイドと交戦するジギーも手に力を収束。

「おまえを生んだのは二つの意味でこのワシじゃ 赦せ さあ帰ろう」と言ってヴォイドに放つトドメの一撃。

「スターブリンガー」!!!!

エデンズゼロの主砲をジギーと同時に放ち、それぞれの外敵を破壊。

「スターブリンガー」という少しポップなデカフォントが中央に流れる独特な空気感。

ちょっと、アニメのEDENSZEROでアーセナルが初登場した時の「メタリカエクスプロージョン」を彷彿としました。


あれもデカいフォントが中央に出てきたからな。

この少しダサいインパクトの大きさ、好きですよどこか特撮っぽくて、変なノリが癖になる

ジギーもスターブリンガーを使えたのですね!

スターブリンガーはエデンズゼロの主砲で当然エデンズゼロにしか搭載されていないものだと思ってた。

しかし、こうして考えてみると、ジギーにだって搭載されていてもおかしくなかったような気もしてくる。

壊れたエデンズゼロを修復したのはジギーですし、魔王四煌星を作ったり、特別な機械技術を持ってるんですよね。

加えて「エデンズゼロの魔王」なのだから、エデンズゼロそのものの力と言えるくらい大きなものを持っていても変ではない。

こうやって見るとエデンズワンにおけるヴォイドと対比された存在感で、この結果を見ると納得ではありました

スターブリンガーといえば、紅の眼であったり、クロウであったり、これまで多くの巨大障害物を破壊してきた光線なので、それを扱えるジギーの凄さ…!

人型サイズの機械生命体があれを放てるって怖いです。ジギーの特別な強さを物語ってる

これにてヴォイドの破壊に成功して、ジギーの勝利ですかね…!?

エデンズワンだって破壊されたし、ここから復活してくる可能性は流石に想像できないぞ〜。

当初は足止めだけで、倒すのはシキかと思っていましたが、宿敵を倒すという大役をジギーが勤めたのめちゃくちゃ面白かったです!!

個人的には最終決戦入ってから1番のベストバウト!!

戦いを丁寧に描いてくれて、トドメのスターブリンガーも大迫力でした!!


人間たちの繋がり。それは最凶の機械を越え──。

第286話『時の子』へつづく

再び時喰みサイドの話かな。

あと残ってる問題はマザーと時喰みだけだし。

時の子…時から生まれた子…?

時喰みの正体、存在理由が明かされそうな予感。