【考察】ゲーム『デトロイトビカムヒューマン』から考える「物語の語り部」の存在意義について思った事 | ルーメン・イストワール

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EDENS ZERO/Mashima HERO'S/FAIRY TAIL/RAVE

※『EDENSZERO』第48話までのネタバレがあります。単行本派はブラウザバック推奨!
第5話から登場した「この物語の語り部」を自称するシャオメイ。
惑星ミルディアン編では、「時詠み」という能力を有して「銀河の全て」を知っている事が判明した。
「物語の語り部」という立ち位置はイマイチどういう方向性なのか物語的にどんな意味があるのかよく分からずにいたんだけど、最近『デトロイトビカムヒューマン』というゲームのクロエというキャラクターに当てはめて考えてみると自分的にシャオメイが分かってきたような気がした事があった。
まず、『デトロイトビカムヒューマン』とは…2018年にソニー・インタラクティブエンターテインメントから発売されたオープンシナリオアドベンチャーゲーム。
舞台となる米国デトロイトで技術革新が進んだ近未来社会の動乱が3人のアンドロイドの視点から描かれる。
これは以前、真島ヒロ先生もプレイしており、「アンドロイド」から既に『EDENSZEO』を連想させるものを感じる。このゲームの一つの特徴として、物語本編だけでなくメインメニューを通じて、人間と機械の交流が生む変化および変異を体験する事ができる。

『デトロイトビカムヒューマン』を起動すると、本編に入る前に案内役の女性型アンドロイドがプレイヤーを出迎えてくれる。
女性型アンドロイドは、プレイヤーをナビゲートする役割だけに留まらず、ゲームを起動したりメインメニューに戻る度に「あら、また会えましたね。週末はデトロイト三昧ですか?」「お疲れ様ですね、具合は大丈夫ですか」など、プレイ状況に応じて挨拶をしてくれる。
ゲーム本編を進めると、メインメニューの女性アンドロイドは知能の有無を判定するテストに世界で初めて合格した「クロエ」と呼ばれるアンドロイドだと判明する。
ゲーム本編の結末に近づくにつれ次第に「プレイし始めてだいぶたちますね。もう私たちは友達と言えるのでしょうか?」「待って。ホントにこのまま続けますか?もしかしたらそのままにしておくほうがいいのかも」など、プレイヤーに「はい/いいえ」の返答を求め、自我の目覚めという作中のアンドロイドと同じような症状が現れ始めるようになる。
ゲーム本編終了後、作中のアンドロイドに感化され「心」もったような感覚を得たクロエは「自分が何者なのか確かめに行きたい」と言いクロエを解放するかしないかをプレイヤー委ねるところで締めくくられる。

物語本編にも出てくるが、物語本編とは独立した立ち位置にもいる共通点を持つシャオメイは今後『デトロイトビカムヒューマン』のクロエのような立ち回りになっていくんじゃないかな…と思い今回の記事を書いた。
そう考えると自分的に色々納得できるところがあった。
言葉の意味だとかを考えたくなる自分としては「物語の語り部」と「時詠み(読み手)」という対照的なニュアンスがちょっと引っかかってた。
本編の外にいる「物語の語り部」のシャオメイと、本編に出てくる「時詠み」のシャオメイはある意味、違うキャラクターのように捉えても良いのかもな…。
「時詠み」の力を得たシャオメイはかつてマザーを目指した冒険者の一人だったのかな。
『EDENSZERO』の物語の前作の主人公的立ち位置のシャオメイと世界で初めてのアンドロイドのクロエの物語のポジションは通ずるものを感じる。
真島ヒロ先生はデトロイトビカムヒューマンからインスピレーションを受けて漫画の表現方法に取り入れてるんじゃないかな。

■クロエを当てはめて考えるシャオメイの今後
クロエは『デトロイトビカムヒューマン』においてメインメニューを進行するという役割だけでなく、「ゲーム」の特性を活かしてプレイヤーに世界観への没入を深め物語のテーマを考えさせた事が重要だ。
では、「物語の語り部」というギミックを活かして漫画だからできる表現方法とは何だろう。
ゲームのプレイヤーとメインメニューではなく、漫画の読者と「物語の語り部」だから繋がる事で成せれる事とは。
と、考えて思ったのが、物語をどう読むか…解釈の仕方じゃないかな…と思った。
『EDENSZERO』44話ではシャオメイが読者に向かってこう言ってる。
「みなさんデジタリス編はいかがでしたか?」
「『このお話はいじわる』なんて言ったから身構えてしまったかしら?」
「え?どこがいじわるだったって?」
「そうですね…人によって様々な感じ方があるものですわ」
読者に寄り添って話しかけ解釈をゆだねていた。
『EDENSZERO』の物語が結末を迎えた時、シャオメイは単なる「物語の語り部」ではなくなっているんじゃないかな…。

解釈の仕方で変わる物語とはどういうものかは思いつかないけど、ちょっと思った事なので記事にしてみました。

『デトロイトビカムヒューマン』のキャッチコピーの一つにこうある。
これはあなたの物語