遅刻から始まった元日の朝、
毎年AM11:00から式典が執り行われることになっている。
この神事の中には、60歳男性、42歳男性、33歳女性 、25歳男性の厄払いがある。
実は参加の受付は、事前に自治会の回覧板を利用し募っている。
けれども、この回覧板いまいち信用ならないですよね。
というのも、皆さんが見ているとは限らない。
今回、参加人数を集計したところ25歳男性が一人もいない。
昨年は、6,7人はいたはずだ。
こうなると、一応確認が必要になってくる。
すぐに、青年団の団長に連絡を取り、この年代に誰がいるのかを聞き出す。
特にその年代を取りまとめてくれる中心人物の把握が重要なカギになってくるのだ。
結局、調べて見たら25歳の参加は無かった。
中心になってくれそうな人物も、早生まれで来年やるとの事!
では何故、中心人物がなぜ必要なのか?
それは、この地区に昔からある風習に他ならない。
厄払いをして頂く際に、個人で寸志を持っていく。
これは場所に関係なく、どこでも見られる光景だと思うのだが?
私達の村では、通常寸志とは別にお酒、ブリ、餅(紅白の鏡餅)を奉納するのだ。
基本、その際にかかった費用は人数でカット割りしている。
これを取り仕切るのに、どうしても中心人物が必要なのだ。
この際に特別問題になってくるのが、ブリの存在だ。
富山では年末に、この年に結婚したお嫁さんの実家から嫁ぎ先の家にブリを送る風習がある。
そして、送られてきたブリの半身を嫁の実家に返すのだ。
(特に富山の西部に残っている)
これによって、年末にブリの価格は急騰する。
不漁の時は、本当に目玉が飛び出る!
現在、私達の村は新興住宅地の為、他所から来た多くの人達が住んでいる。
厄年の同級生の中にも、この風習になじみのない方々も当然、加わることになる。
その為、以前なら金に糸目をつけずに用意していたものも、どうしても配慮する必要が出てくる。
実際、私も25歳、42歳の時に取り仕切ったが、今思うとブリの値段に物凄い差がある。
25歳の頃は、幼馴染みしかいなかったので確認も取らずに9万円相当の本物のブリを用意した記憶がある。(この年は不漁だったのだ)
(一人寸志とは別に、2万円相当払った記憶が?)
42歳の時は、幼馴染み以外に4、5人加わった為、どうしても遠慮してしまう。
では、どのようにしてブリの値段を抑えるのか?
本来、ブリは10キロ以上のものを本物のブリと認めることができる。
ブリは出世魚として有名だが、私達の地方では小さい方からツバイソ、コズクラ、フクラギ、ガンド、ブリと呼んでいる。
早い話が、10キロ以下はガンド(ガンドブリとも呼ぶ)になり、値段が一気に安くなる。
※それでも、相場によってはかなり高い!
それと、最後の逃げ道は養殖ものになってくる。
私は42歳の時、皆さんにお伺いをたてながら天然のガンドブリを結局用意した。
「それでも2万5千円/匹 くらいしたかなぁ?」
けれども、この風習も若い年代には段々と難しくなってきているのも事実だ。
当然、この風習に理解を得ることも困難なのだが、少子化が進み同級生の人数も少なくなってくることが予想される。
「やりたくても、負担がでかすぎるよなぁ―」
実際、今年60歳男性(還暦)の方々は9人で、神社の幕を寄付し、立派なブリと樽酒、おっきな鏡餅を奉納されていた。
(かなりの金額を負担されているはず)
私が還暦になった時、いったいどこまでできるのであろうか?
(その頃の経済状態も考えると)
日本の老後も心配だが、身近なところで少子化と老後に不安を覚える私でした。
じゃんじゃん!
供えて頂いた品物は、全て厄年の方々に半分返すのだが、
次回、その際のドタバタ劇を記事にします。