今晩は
ストレスフリーナビゲーターの瓶子かずみです。
今日はふみサロのエッセイです。
課題本は
沼田まほかる著「猫鳴り」
です。
以下、エッセイです
【父さん】
2月26日に父が意識混濁を起こし救急病院に搬送された。
傍から見れば眠っているようにしか見えなかったが、いくら名前を呼んでも起きる気配がないから救急車を呼んだ次第だ。
医師の診断の結果、脳内に水がたまっていて脳を圧迫しているのと誤嚥性肺炎とのことだった。
医師の当初の見立てでは、手術で脳内にたまった水を取ればすぐ意識が戻るとのことだった。
入院期間は誤嚥性肺炎の治療を含め2週間程度で退院できるはずだった。
しかし実際はそうはならなかった。
元々脳梗塞を患っていた父。
手術は成功したが、圧迫されていた期間が長かったせいか、脳梗塞が再発してしまった。
再発した範囲は広く、意識をつかさどるところまで脳梗塞になったので意識障害を起こし、再び目を開けることは限りなく0に近いと医師から伝えられた時は受け入れることが難しかった。
母は「自分のせいで父がこうなった」と自分を責める。
それは違う。
母は精一杯やった。
だれの責任でもない。
そう言っている自分自身も「もっと早くに気づいて上げられたら」と自責の念に駆られる日々。
父のことでいっぱい家族会議をした。
延命治療をするかしないか。
容体が安定した後の転院先。
今回の事で夫と自分達が父と同じ状況になったらどうして欲しいかお互い話し合うこともした。
父の最後に聞いた言葉は、父の眼科に連れて実家に送り届けて帰り際に言われた
「バイバイ」
だった。
母を連れて父と面会する。
今はコロナの関係で面会は最大2人までの30分間と短い時間。
医師が言うには「目は開けられないが声は聞こえている可能性がある」というので面会の度に言う。
父さん、来たよ。
父さん、目を開けて。
父さん、父さんー
お願いだからもう一度目を覚ましてー
父は相変わらず小さないびきをかきながら眠っている。
それはもう穏やかな寝顔で。
呼べばすぐ眼を開けそうなのにー
目覚めてくれそうなのにー
その一歩がものすごく遠い