一瞬で読める源氏物語No.16 関屋 | 西陣に住んでます

一瞬で読める源氏物語No.16 関屋

源氏物語


第16帖 関屋(せきや) 光源氏29歳9月の物語


伊代介で現常陸介(ひたちのすけ)という役職にある夫の転勤で常陸国に暮らしていた空蝉が、京都に帰ってくることになりました。光源氏は、石山寺へ参拝に行く途中の逢坂で、京都に帰る空蝉の一行とすれ違います。まわりの目もあり、空蝉に直接挨拶できなかった光源氏は、後日右衛門佐(うえもんのすけ)を通して空蝉にメールを送りました。右衛門佐は以前小君と呼ばれた空蝉の弟ですが、光源氏が失脚したときにドライな態度をとったため、後ろめたさを感じていました。さて、空蝉からなんとかメールの返事をもらった光源氏は喜んでメールを送り続けます。そんな中、空蝉は年老いた夫を亡くしました。すると今度は、前紀伊守で現河内守(かわちのかみ)である義理の息子が空蝉に恋のアタックを始めました。これらの誘いに嫌気がさした空蝉は出家してしまいます。



補足:この帖では、第2帖第3帖第4帖 で出てきた人妻の空蝉が再登場します。空蝉は、身持ちが固い女性として描かれていますが、紫式部自身がモデルになっているともいわれています。年老いた夫に先立たれるという家庭環境が似ていたり、紫式部の屋敷のすぐ近くに空蝉が住む屋敷が設定されていたりするからです。紫式部は、この空蝉を通して男女関係の道徳の乱れを批判したといわれていますが、その後の日本の歴史を見るとあまり効果はなかったようです(笑)。さて、空蝉は、光源氏のメールにまんまと一度返信してしまったため、その後、光源氏から大量のスパムメールを送付されることになります(笑)。ただ、空蝉の方が一枚上手でした。光源氏と河内守に対して空蝉がとったスパム対策は「出家」です。仏様からバチがあたるので誰も手が出せません。恐れ入ります。


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