温かい今年の冬。季節は移ろいゆき、
ときは待ってくれない。
上六（上本町六丁目）の交差点に立
ち、昔の面影は無く見る景色が変わ
っていた。
上本町ハイハイタウン（近鉄・地下鉄出入り口）
ふと傍に立つ石碑があった。
この石碑は400年も前の大昔の「真
田幸村緒戦勝利之碑」であった。
うえほんまちハイハイタウン
その裏側には「中田明正氏之像」が
あり、併せ「うえほんまちハイハイ
タウン」の誕生の由来記がある。
この碑文によると、戦後の約70年前
のときから、30有余年かけて夢を叶
えたということである。
真田幸村緒戦勝利之碑と中田明正氏之像
戦後（闇市）
昭和19年3月太平洋戦争末期の頃
になる。
この地区は強制撤去され廃墟とな
っていた。
戦後、外地からの引揚者や罹災者
が、この地に住みついていた。
世にいう闇市で、土地の権利関係
ができていないために、地主から
立ち退きの勧告を受けていた。
一方、行政は公園と仮換地の両指
定の移転命令をだす。
戦時中の上六「大阪八景」
小説『大阪八景』（田辺聖子）に
は戦中の上六の様子が書かれてい
る。
昭和20年6月1日、荷物をまとめ
て下校。トキコは歩いて上六まで
出る。
上六の高台はいちめん灰になって
おり、大阪方面は火災で黒煙が天
にたちこめ、腕時計は1時なのに、
もう夕方のように陰気だった。
熱い地面に座り込んでいる人たち
がいる…
とあり、上六付近は大阪空襲で家
屋が焼失し、廃墟となる。
昭和21（1946）年戦災焼失（赤色の部分）地図（上本町6丁目付近）
ビル建設計画（都市再開発）
戦後の昭和44（1969）年都市再開発
法が施行され、当時の上六新興組合が
母体となり、ビル建設計画を立案。
同年上本町停留所が廃止（1911ー19
69）され、近鉄、地下鉄がこれにかわ
り継ぐ
上本町6丁目停留所（明治44年に開設、昭和44年に廃止、）
2年後1971年6月に上六市街地開発準
備組合を結成する。
このときの組合の初代理事長の田中明
生氏を顕彰する銅像が上六交差点西南
に建立される。
うえほんまちハイハイタウン前の中田明正氏之像
昭和52（1977）年2月、戦後の傷
跡そのままに取り残されてきた闇市
の面影は完全に消え去り、同年翌月
3月ビル建設工事に着手。
うえほんまちハイハイタウン（誕生）
昭和55（1978）年9月、地下15
階建ての高層ビルが完成。
浪華の文化と伝統を誇るこの上町
台地に、組合員の苦節30有余年の
実り、うえほんまちハイハイタウ
ン誕生する。
1978.9.18上六市街地再開発組合
ハイハイタウン誕生記上六市街地再開発組合
YUFURA（新歌舞伎座）
上六の交差点を渡ると近鉄上本町駅、
UFURAがある。
この地はかつての近鉄劇場があった
ところである。
昭和33（1958）年千日前にあった
大阪歌舞伎座の後継劇場として建設
・経営。
のち（ドリーム観光→）新歌舞伎座
を設立（1966年）（2005→リサ・
パートナーズ）。
建設から約50年、老朽化が進む。
御堂筋の初代・新歌舞伎座（難波3丁目交差点）
難波から大阪上本町駅南側の近鉄劇
場跡地（2004年劇場閉鎖）の地上
13階建ての再開発ビルYUFURAに
新劇場とともにオープンする（20
10.8.26）。
YUFURAは地下1階から5階の商業
施設、６階の新劇場、７階から１3
階がオフィス。
新歌舞伎座（大阪上本町駅北側ビル・YUFURA6階）
新歌舞伎座
新歌舞伎座は、歌舞伎の上演がない。
人気歌手や人気スターで、演劇・歌で、
多数の客をよぶ興行である。
現在、人気の梅沢富美男、歌手水森か
おりのふたりが、劇、歌謡ショー、踊
りの三本仕立ての構成で、11月17日
から30日まで公演し、来年8月には、
再度この新歌舞伎座で夢芝居の公演を
予定。
上本町6丁目交差点（「再会」の像）
新歌舞伎座（大阪上本町駅北側ビル・YUFURA6階）
昭和21（1946）年戦災焼失地図（上本町6丁目付近）
新歌舞伎座（大阪市天王寺区上本町６丁目５番13号）
2023.11.24
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