ストーリー

ときは日華事変(1937年)が起こり

日中戦争が激しくなっていく頃。

男は、2年の特殊工作員訓練を終え、

その名を岸井隆と代えて、むらさき

機関(所長・王(川石大佐の別名)

に配属される。

 

男(元鈴木陸軍中将俳優:天地茂)の

任務は、重慶での特殊機関工作員の首

領と目される、京劇のスターの林晃彩

に近づき、敵の暗殺計画の情報を入れ

ることであった。

 

 

 

 

男と親しくなった林晃彩(俳優:

三原葉子)。

彼女は、男がテロ分子と誤られて

憲兵隊の拷問を受け、命はとりと

め重傷を負う。

彼女は男を介抱する。

 

 

男(天地茂)と彼女(林晃彩俳優:三原葉子)

 

 

 

 

やがて、彼女は、男への警戒心をとき、

女は男を、男は女を愛し合うようにな

る。

ある日、彼女のあとをつけた男はスパ

イのアジトを発見し、日本軍の作戦計

画を奪い、参謀の暗殺計画を謀るのを

耳にする。

 

 

 

男は、彼女の身を案じ、電話をする

のをためらった。

このために高木参謀は刺され、作戦

計画は余儀なく変更されることにな

る。

むらさき機関の所長・王は、三井雪

に男の処置を命じる。

、ひそかに男を愛するかの女(俳

優高倉みゆき)は、今一度、男にチ

ャンスを与える。

 

 

 

かの女(男装の麗人・俳優高倉みゆき)

 

 

ところが、男はアジトの暗殺計画情報

を得るが、林晃彩からもらったライタ

ーを落とし、アジトの連中に逃げられ、

そこへ憲兵らがやってき、仕掛けられ

た時限爆弾で大損害をこうむる。

 

 

 

 

男は彼女(晃彩)らに、暗殺者の

通過列車の情報を流し、襲ってき

た一味らを爆破し、自らも男は女

とを固くふたりは手を握り死んでいく。

 

スタッフ

映画は昭和34(1959)年2月3日公開。

制作 大蔵貢

企画 小野沢寛

原作 楳本捨三 脚色 杉本彰

監督 土居通芳

<キャスト>

天地茂    役:岸井隆 

三原葉子   役:林晃彩

高倉みゆき  役:三井雪

 

 

大蔵貢と新東宝

大蔵貢(1889-1978)は、13歳で

無声弁士を経て、昭和3(1928)年

に東京(浅草6区)で倹約をモットー

に映画館経営に乗り出し、36館を経

営する映画興行師となる。

日活の常務だったために戦後公職追放

となる。

東宝争議の落とし子として発足した新

東宝は、経営危機におちいるなかで、

昭和30(1955)年12月社長に就任

する。

彼は商業性に徹し、当時タブーだった

天皇を主役とする映画「明治天皇と日

露大戦争」を企画。

昭和32年の「明治天皇と日露大戦争」

は空前の大ヒットで、興行配収7億円

を記録する。

 

大蔵貢「横領嫌疑」

大蔵は、「映画は企画」で不況の時代

でも損をしない集客を狙う「エロ・グ

ロ路線」をとる。

昭和32年9月19日、1億円横領嫌疑で

一斉捜査受けることになる。

が、この事件はひとりの逮捕者も出ず

不起訴になった。

 

「映画弁士塚」

昭和34(1959)年大蔵貢は、発起人

となり、浅草寺境内に「映画弁士塚」

を建立、同年8月18日に除幕式がもた

れる。

題字(映画弁士塚)は鳩山一郎前自民

党総裁、社長名碑石の永田雅一(大映

社長)は、児玉誉士夫とともに自民党

結党当初より、鳩山一郎の黒幕として

戦後の政界の派閥政治を財界と結びつ

き関与してきている。

 

 

 

浅草寺境内の大蔵貢建設の「映画弁士塚」(東京浅草寺境内)

 

大蔵貢「スキャンダル」

この年1959年に公開された映画が「女

間諜暁の挑戦」。

翌年昭和35(1960)年、大蔵貢は女優

・高倉みゆきとの関係がマスコミに知ら

れる。

記者会見で、「女優を2号にしたのでな

く、2号を女優にしたのだ」と言い、話

題になる。

のち高倉みゆき(1934-)は美貌を誇る

新東宝の路線の象徴女優として数々の映

画に出演する。

結婚後、昭和44(1969)年に映画界か

ら引退する。

 

 

 

高倉みゆき

 

新東宝倒産・大蔵映画設立

同年昭和35(1960)年、新東宝は赤

字体制になり、「ニュー東映」との資

本合併を画策する。

大川博の「会長・大蔵、社長・大川」

の提案に大蔵は社長の座に固執し交渉

が決裂。

翌年に新東宝が倒産し、昭和37(19

62)年大蔵映画株式会社設立する。

大蔵映画はプロデユーサー体制とらず

不調に終わり、ピンク映画専門の会社

になる。

大蔵貢昭和53(1978)年9月15日

没79歳。

 

 

 

2022.9.7

映画「ラスト・コーション(色・戒)」(性愛)