日時が前後するのだが・・・

伊東温泉の5日目の日曜日の事だった。

姉妹たちと別れて、他のホテルに2泊後に今回4回目のゲストハウスに行った。

最近では、日本各地にゲストハウスも増えて大変助かる。

ゲストハウスのドミトリーだと格安になり、ほとんど私はその部屋で泊まる。

女性4名の部屋だが、今回は全員が外国人だった。

初回の時には、日本人か多くチラホラと外国人がいた。

しかし今回は、ほとんどが外国人で日本人がチラホラで、その外国人も白人が多かった。

円安の近頃では、タダ同然の金額だろう。

 

2日目の朝、4つある居間のこたつの部屋で朝食を食べようとしたら先客がいた。

声をかけて、隣に座った。

彼女から声をかけて来た。日本語だったので日本人かと思ったら台湾人だった。

同じドミトリーに泊まったようだが、早々に寝ていた人もいて気がつかなかった。

本日のスケジュールの話になり、彼女は大室山の山焼きに行くと言った。

山焼きは知ってはいたが・・・

大室山には木々やお花がなく、丸坊主的な山で好きでなかった。

予定の2週間遅れで当日がその日だった。

特にすることもなかったので、同行することにした。

 

彼女は日本に留学し、自国では日本語レッスンにも通ったようで流暢な日本語を話し、今どきの若い人ならわからないだろう日本語も知っていた。

彼女が行程・時間まで全て調べてくれた。

ただ私はついて行くだけだった。

姉妹旅行・友人との旅行などは、私が全てを調べて行くので本当に楽だった。

電車とバスに乗り換えて到着した。

多くの見物人がスタンバイしていた。

消防車や消防団も、もちろんスタンバイしていた。

 

ハッピー姿の消防団

 

公募で集まった40名も松明を持って持ち場へと歩いて行った。

私たちは、彼女が見物に良い場所を選んでくれていたので、そこまで行った。

そこには、すでにレジャーシートと敷いた人々で賑わっていた。

花見と同じようにお酒を片手にその時間を待っている人もいた。

時間になると、左手から煙があがった。

その煙が山肌を縫うように昇って行くと、パチパチと乾燥した音が聞こえて来た。

始まったのだ。

しばらくすると、左側下に火が見えた。その火はみるみる大きな炎になって煙をまき散らしながら広がって行った。

 

すると眼前にも火の手があがり、パチパチと共に上に目指して行った。

その火が広がると身体の前面が熱くなってきた。太陽の温もりとは全く違い鋭さを伴っていた。

人々が一斉に前方へと向かった。

間近にその火をとらえようとスマホを向けていた。

暫くは、彼女が敷いてくれたレジャーシートの上にいたが、我慢できずに前方へと向かった。

すると右手からもの凄い勢いで火が燃え盛り、ゴウゴウと鳴るように山肌を舐めて行った。

 

火は人間に興奮を与えると言われているが、まさにその通りだった。

内なるものから湧き上がるようなエネルギーを感じつつ、火の傍へと・・・

 

呆然と火を見ていると、何故だか太古を思い出したような感じにもなった。

太古の人類には、火は大切なものと同時に恐怖でもあっただろう。

山の周囲のあちらこちらから火をつけたようで、裾野から山頂に向かって火は昇りつめ山頂に到着すると反対側へと・・・

 

完全に燃え尽きるのかと思ったのだが、部分的に焼け残りがあり、縞模様だった。

だが帰路のバスからみると、黒山になっていた。

ふっと、山に生息している小動物たちや昆虫たちはどうなったのだろうか?

命の循環の中に消えて行ったのであろう。

合掌