クールジング 籠の鳥③

 

地元レストランから船に戻る途中で、二手に分かれた。

姉とすぐ下の妹が、小さな店が並んでいる通りを見て歩くと言うので、一番下の妹との2人で船に戻った。

おかしなもので都会に住んでいる私たちは、感性が近い。買い物に興味なくアウトドア派で、姉たちが店に入って行っても通りをブラブラしていることが多い。姉たちは店があるごとに入りたがる。

姉と同行のすぐ下の妹は、故郷に住んでいる。やはり故郷では店も少なく、ウインドーショッピングができないからであろうか?

どの国・街を歩いても、ほとんどが東京にあるので、わざわざ国外に来てまで見たいとも思わない。

 

夕食まで時間があったので、すぐに水着に着かえてプールへ行った。プールの水は冷たかった。でも意を決して中に入った。

動いていないと寒すぎるので、泳ぎぱなしだった。

外国人は、平気で冷たい水の中でも泳ぐ。元々の体の仕組みが違っているのであろう。老幼男女が泳いでいた。

水は塩辛かった。このアドレア海の水を注入しているようだ。

これでアドレア海で、泳いだことになる。5分も冷たいプールにいると、寒くて入っていられずに、すぐに上がった。

そばにはジャグジーがあるので、そこに行った。

2つのジャグジーがあるのだが、5~6人が入れる小さなもので、当然満員だ。2700人収容の船では小さすぎると思うのだが・・・  

しばらく待つと1人が出たので、無理に2人で入ってしまった。寒くて待っている余裕はなかった。

ジャグジーの水も温かいとは、言えなかったが、冷えた体には、まだましだった。

外国の温泉のお湯も、日本人からすると低すぎる感があり、温泉と言ってもほとんどプールでコンクリート造りだ。それも水着を着ての入浴なので、ついつい泳ぎたくなるものだ。

人が待っているので、早々に上がってデッキにある椅子に寝転がった。

妹が写真を撮ってくれた。それが素晴らしかった(自画自賛)。

2年前にスペインのカミーノ道(巡礼道)を2週間歩き、帰国前の3日間は下痢をしたので、5㎏位体重が減った。思いかけずダイエットが出来てしまったので、腰回りや太ももの脂肪がなくなったのだ。その代わり、脂肪の分の皮がシワシワとなり、それを見つけた瞬間は驚いたものだ。

それまでの水着姿が「とど」だったのが、人間らしくなった。すっかり気をよくして、その写真を遺影にしょうかとも考えているが、水着姿はタブーなのだろうか? 

私らしくて、良いような気がするが・・・

 

姉たちが戻って来たので、そのままサウナへ行った。昨日予約しておいたのだ。無料でなく2人で1時間30ユーローだった。

サウナといってもここでも水着着用だ。大きな部屋に3つの小さな部屋があり、そこに種類の違うサウナがあった。

窓際の海が見える場所に、寝椅子があった。その寝椅子は小さなタイルが貼りめぐされていた。座ると熱かった。バスタオルを敷いて寝転がると丁度良い感じだった。全身にじんわりと温かさが伝わって行き、海を見ていた目がいつしか閉じていた。

時間の制限があったので、まどろんだ後にサウナに入ったが、日本のサウナのように少しも暑くはなかった。

ミントサウナも少しも苦しくなく、柔らかなミントで、日本のサウナに馴染んでいるので、物足りない感が残った。

 

そろそろフォーマル夕食の準備のために、部屋に戻った。

だが借り物のドレスは、どうみても馴染んでいなかった。

これも借り物の素敵なショールを巻くと、まるでピエロだった。

そしてピエロに合うような味気ないフォーマル夕食となってしまった。

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