『またパパが帰ってこない』

『◯ちゃん(長男)は
ママには言うなって言うけど』

『今から帰るって言って
待ってても帰ってこないんだよ』

えっ??
えっ??
今日もって??
ずっと??

信じられないことに、
夫はわたしの手術の日も
帰らなかったのだそうです。

子供たちは
わたしに付き添っていたのだと
思ったそうです。

その後も
今から帰ると言っては
帰らないの繰り返しで、

とうとう我慢できずに
わたしに電話して来たわけです。

幸い家のことは
わたしの父が来てやってくれていました。
夕食も父と息子と娘で食べて、
その後は
『もう、パパも帰ってくるだろうから
じーちゃんは帰るよ』
と帰って行く。そんな毎日だそうです。

だいたい21時前後まで
父は居てくれたらしいですが
それ以降、兄妹2人では不安だと言いました。

それはそうですよ。
不安ですよ。

しかも帰ると言っては
帰らない父親

わたしが心配するだろうと、
言わずに我慢していた訳ですよ。

わたしの父親に聞かれると
『じーちゃんが帰ってから
直ぐにパパは帰って来たよ』
と言っていたそうです。
娘の話によると
何度もパパの携帯に電話したけど、
出ないし、折り返しもない。
最後は電源を切ったらしいです。

『なるべく早く退院するから
安心して!
もう、パパは待たずに
ちゃんと鍵を閉めたか
確認して寝るんだよ』

『眠れなかったら
また電話してね。
大丈夫だからね』
そう言って電話を切りました。


『あーー
ここまで酷い男とは‥‥
子供たちにまで辛い思いをさせて
嘘ばっかりついて
あいつは人間じゃ無い
ケダモノだな』
夫の携帯に電話を掛けると、
やはり電源が入っていませんでした。

腹が立っても、
今のわたしは何も出来ません。
悲しいのか悔しいのか
わからない感情でした。

そして、あの時と同じ感覚になりました。
手が震えて
呼吸が苦しくなって
立っていられなくなりました。
吐き気もして
身体がブルブル震えました。
目も霞んできて、

思わずナースコールをしてしまいました。
来てくれた看護師さんに
事情を伝えました。

看護師さんは
うん、うん、
と聞いてくれました。

なるべく早く退院したいと
お願いしました。
絶対に安静にするからと…

興奮したせいか
手術の跡が痛くなりました。

看護師さんが言うには
わたしの症状は多分
『パニック障害』
だと言いました。
放置してはいけないと言われました。

順調に回復していたはずが、
一気に悪くなりました。
人間の身体って
素直に出来てるのだな……


夫と結婚した事を
強く後悔しました。

『わたしはケダモノと
夫婦なんだ』
そう思いました。