夫は簡単に嘘をつく人でした。

例えば数時間後には
バレてしまうであろう嘘も
平気でした。

『どうせバレるなら
本当の事を言った方がいい』
とは思わないようでした。

嘘の実績を
淡々と積んでいくのです。

癌が発覚して、
余命も短いと分かった時点で、
期待をしていました。
もう嘘はつかないだろう‥‥

誠実に生きてくれるだろう‥‥
と。

信じて疑わなかったわたしです。


でも、夫は違いました。

やはり普通の人ではなかったのです。

自分を守るための嘘

自分を良く見せたいための嘘


亡くなるまで言い続けたのでした。


同じ嘘でも
誰かを守るための嘘
をついた事はないと思います。

一生のうちの一度も。


自分の保身のためについた嘘、
それが亡くなる2週間ほど前にバレて、
わたしも子供も
かなりのショックを受ける事になります。
被害を被る事になるのでした。