1月24日、ついに、この日がやってきました。

(一社)家畜改良事業団(LIAJ)熊本種雄牛センターから、担当課長の方が、当地へ、講演に来てくださいました。

沖縄出身、岡橋勇太さんという方です。

小生、県(県民の声)やJA(座談会・和牛部会総会)、市長との懇談会、ハイスクールサミットのパネルディスカッション、拙ブログをはじめ、事あるごとにどれほどの要望・発信をしてきたことでしょう。

本当に、第一歩です。

 

まぁ、ゲノミック評価そのものに関しては、読者の方の中でも、関係者の方は、ご存知のことでしょうから、詳しくは、解説しませんが、要は、牛、特に雌子牛の保留・販売の判断に関して、手探りであったものが、ゲノム解析によって数値化されて判断が容易になる技術であるという話です。

つまり、勘に頼ることが無くなるわけです。

 

で、講演に際し、事前に、9項目の質問を用意していたんですが、講演を聞く中で、解決したものが3項目あり、新たに1項目の疑問が現場で湧いてきましたので、全部で、7項目の質問をさせていただきました。

質問1)ゲノム育種価の将来性として、繁殖成績や育児放棄など、他にも評価項目は増えるか。

回答1)これは、講演頂く中で、解決しました。無論、増えていくとのことです。

 

質問2)ゲノム育種価は、あくまで、母集団正規分布の中の相対的な評価か。であれば、データが追加されたり、削除されたりするのであれば、個々の育種価は、逐次、変化していくものか。

回答2)はい。相対評価ですので、母集団が更新されると、育種価は、変わっていきます。一度、評価依頼されると、その牛の現在のゲノム育種価をWeb情報提供しております。G-Evaと言います。

 

質問3)種雄牛造成に関して、ゲノム育種価の役割・利点は、母体のゲノム選抜と後代検定期間短縮があると思うが、現段階で、後代検定をゲノム育種価で評価することは、認められているか。また、今後は、どうなるか。

回答3)これも、講演頂く中で、解決しました。やはり、現行の後代検定は、必要とのこと。今後のことには、言及はありませんでしたが、小生の考えとしては、ゲノミック評価で問題ないように思いますが、・・・。

 

質問4)種雄牛のゲノミック評価を依頼できないと聞いたが、それは、何故か。

回答4)基本、雌牛のみが対象です。但し、LIAJで造成している(恐らく、群馬県産も)種雄牛に関しては、ゲノミック評価を実施しています。明確な理由は、示されませんでしたが、県有・民間問わず、「よそ様の種雄牛のゲノミック評価は、ちょっとぉ。」ってことなんでしょう。

 

質問5)繁殖雌牛という母集団に対して、去勢(雄)牛のゲノム育種価を求めることに問題は無いのか。

回答5)現在でも、LIAJの種雄牛や後代検定牛のゲノミック評価は行っており、別段、問題はないと思います。

 

質問6)何故、宮崎と鹿児島は、ゲノム育種価に関して行進県だと思われるか。

回答6)「私の口からは、何とも言えません」とのこと。

 

質問7)鳥取県のように、セリ名簿に、ゲノム育種価を記載することに対して、何か留意することはないか。

回答7)特に、問題は無いと思います。

 

質問8)ゲノム育種価が実際の枝肉成績と乖離しているという話が、慎重派から多いが、実際はどうか。

回答8)講演の話で、解決しました。寧ろ、従来の育種価の方が、全兄弟などでは、不正確。

 

質問9)ゲノム育種価先進国(アメリカ)の現状と、今後に関しての知見を伺いたい。

回答9)海外から出発している技術ですので、現状、日本における評価形質に加えて、増やしていきたいと考えております。

 

質問10)MUFAの含量を評価形質として、提供されているが、これを採用された理由と、MUFA含量が、多ければ多いほど良いという認識でよいのか、それとも閾値のようなものがあるのか、また、MUFA含量に関して、何か論文をご存知か。

回答10)味にかかわる形質として、業界で採用されている風潮があるようなので、採用しているが、実際は、不明です。必要と感じたら、当団で論文を書くかもしれません。

 

不躾な質問にも拘わらず、きちんと回答いただきました。

感謝申し上げます。

 

この度の講演は、県内3ヶ所目であると認識しております。

JA小林、児湯地区についで、JAえびの市です。

かなりの農家から要望が上がっているのか、それとも、最後の牙城(宮崎・鹿児島)を崩すための戦略・キャンペーンかは、分かりませんが、少なくとも、第一歩には、違いありません。
 

今後は、LIAJへの窓口は、どこがやるのか、決まっておりませんし、我が県の和牛の枝肉成績をデータとして、LIAJに対して、提供・開示することへの拒絶という巨大な壁が、依然として存在します。

既得権益を守りたいという、目に見えない(実際は、分かり切っていますが)抵抗勢力のおかげで、鳥取から遅れること、12年。

俎上にあげたという第一歩、やっとです。

 

会場には、県の畜産試験場の方、えびの市役所畜産農林課の方々も、講演を聞きに来ておられましたので、帰りしな、毒を吐いてしまいました。

「現在、我々、繁殖農家は、他府県に比べて、不利益を被っているんです。是非、今世紀中には、ゲノミック評価、実現してくださいよ。」