前記事で、はまちゃんさんから、宿題を頂戴しまして、早速、考察してみます。

その宿題とは、

「去勢牛の早期出荷は、得か損か?」

というものです。

 

確かに、去勢牛は、雌に比べて成長が速いですから、セリを1ヶ月、伸ばすと、大きくなりすぎるし、第一、飼料代がかかるわけです。

ただ、早期出荷する分、体重がありませんので、一概には言えませんが、セリ値は、それなりとなってしまうかもしれません。

では、伸ばした分、セリ値が高ければ、問題ないように見えますが、1ヶ月間飼養管理することに対するリスク(病気、怪我など)も、無いわけではありませんし、管理する手間(労力)が掛かるわけです。

 

で、今回は、そのようなリスク・手間などは、考慮せず、単に、お金の話だけで、考察します。

つまり、経費と収入(セリ値)のみを俎上に上げます。

 

まず、前提を考えます。

同じ牛を2ヶ月、連続でセリに掛けることは、基本的に不可能ですから、去勢牛で、概ね260日齢と290日齢のデータを、同じセリの中で、比較することにします。

 

平成25年12月期の子牛競市

290~299日齢の去勢牛は、92頭、平均体重305.4kg、平均セリ値(税抜き)582,239円

260~269日齢の去勢牛は、155頭、平均体重291.4kg、平均セリ値(税抜き)580,174円

 

体重は、+14kgで、セリ値は、+2,065円。

 

平成25年11月期の子牛競市

290~299日齢の去勢牛は、96頭、平均体重302.8kg、平均セリ値(税抜き)532,875円

260~269日齢の去勢牛は、132頭、平均体重296.6kg、平均セリ値(税抜き)543,303円

 

体重は、+6.2kgで、セリ値は、-10,428円(えっ?)。

 

平成25年10月期の子牛競市

290~299日齢の去勢牛は、126頭、平均体重306.3kg、平均セリ値(税抜き)529,167円

260~269日齢の去勢牛は、125頭、平均体重298.7kg、平均セリ値(税抜き)530,360円

 

体重は、+6.2kgで、セリ値は、-1,193円(これまた、えっ?)。

 

これらのデータを見る限り、290日で出荷するより、260日で出荷した方が、どう考えても、お得でしょう。

 

 

 

ただ、260日齢ほどで、出荷する子牛の多くは、その前段階で、十分に大きくなることが予見できている子牛なわけです。

つまり、「若いが重い」という、肥育農家さんが買いたくなるような子牛であるわけです。

一方、290日齢ほどで、出荷する子牛の多くは、その全く逆なわけです。

そのあたりは、考慮する必要があるでしょう。

 

最後に、出荷前の子牛1頭に付き、飼料代(最も金額が大きいと思われる経費)が1日当り、いくらかかっているかを計算する必要があると思われます。

因みに、うちでは、概ね800円/(日・頭)でした。

ということは、30日では、24,000円ほど掛かるという計算になります。

やはり、子牛の状態や諸事情にもよりますが、早めの出荷が良いのではないでしょうか。

 

はまちゃんさん、例の成長曲線は、使いませんでしたが、こんな感じで、・・・。