349.大切なコト


原曲は'14年 玉置さんのライブツアーにバックコーラスとして参加された平岡恵子さんが、桃乃未琴で活動されていた’00年12月16日にアルバム”地気遊戯"の先行シングルとしてリリースされた味わいぶかい深みのあるサウンドのスローナンバー。


語りかけてくるような身近さを感じさせる平岡恵子さんの歌詞も曲とうまくフィットしていて、この作品ならではの個性も伺える作品。


資料1.玉置さんのツアーでのサポートメンバーとしてもファンの方々にお馴染みの平岡恵子さんが"桃乃美琴"として活動されてた時期の一コマ。


どんどん聴いていくうちに曲の世界観に引きずりこまれていきそうな侵食性あるメロディーのナンバーですが、セルフカバーにする辺りに重たく歪みの激しいギターソロに、語りかけるようなオープニングから徐々に盛り上げていきながら激しく絡みつくような情熱的な玉置さんのボーカルと融合することにより、一段と深い侵食性を展開している辺りが見逃せないポイントだと思います。


原曲より更に厚みを感じさせるアレンジも含めて、曲の奥深い部分を感じながら聴いてみたい一曲。



資料2.'14年のツアーで"大切なコト"を共演する玉置さんと平岡恵子さん。




350.悲しみよこんにちは



オリジナル曲は'86年3月21日にCX系テレビアニメ「めぞん一刻」の主題歌、当時歌手としても人気の高かった斉藤由貴さん5枚目のシングル曲としてリリース、オリコンチャートで最高3位を記録したポップなメロディーと、女性の心情を捉えた森雪之丞さんの歌詞、まろやかでどこか'80年代独特のワクワク感も感じさせられる武部聡志さんの秀悦なアレンジが印象的なナンバー。


ちなみに前年'85年には斉藤由貴さん3枚目のシングル曲"白い炎"でも作曲 玉置さん、作詞 森雪之丞さん 編曲 武部聡志さんで作品をリリースしている。


また皆様ご存知だと思いますが、この原曲から後にアニメ"めぞん一刻"の主題歌を安全地帯の"好きさ"が起用されていて、玉置さんのファンの方々にとっても印象深いアニメではないでしょうか?


資料3.アイドルらしい笑顔が印象的な斉藤由貴さん"悲しみよこんにちは"のシングルジャケット。


玉置さんによるセルフカバーですが、原曲よりより丁寧に穏やかさ、温かいサウンドを用いての中で、一段と優しさを全面に玉置さんのボーカルが展開されていて、玉置さんのボーカリストとしての幅広い表現が一聴して感じられるセルフカバーに仕上がっている。


聴いていて男性の玉置さんが、女性がしかもアイドルが歌唱していた作品を、玉置さんなりに消化しながら、玉置さんの曲として成立させている。


その事は改めて振り返ってみると凄い事だったと感じさせられる注目度の高いセルフカバーだとも感じます。



資料4.アルバム"Offer Music Box"リリース直後、テレビ番組にて斉藤由貴さんと共演の玉置さん。




351.夢だけ見てる



原曲は’87年に突如お茶の間に懐かしい景色、空気を呼びこみ話題を呼んだ森光子さん主演のテレビドラマ"時間ですよ ふたたび"から2年後に復活第二弾として放送された"時間ですよ 平成元年"の出演されていた川越美和さんが歌い、番組挿入歌として人気をはくした切ない昭和歌謡風味のスローナンバー。


資料5.独特な雰囲気を感じさせるシンガーだった川越美和さん。テレビ番組で"夢だけ見てる"を歌唱されるシーンより。



玉置さんとしてのセルフカバーは、曲のイメージに沿って生ギターを軸にして、曲の持つ叙情感をうまく表現されている印象。


息遣いが聞こえてきそうなリアルな玉置さんのボーカルから、深みある切なく、寂しさを感じさせる小椋佳さんの歌詞のフィット感がたまらない。


平成から令和になった"今"、聴きながらどことなく切ない過去も振り返ってみたくなる一曲だとも思います。



資料6."夢だけ見てる"は生ギターを軸にシンプルなサウンドでセルフカバーされているため、一層玉置さんのボーカルの魅力が感じられるセルフカバーに仕上がっている。




352.無言坂


オリジナル曲は、’93年3月17日にリリースされた香西かおりさんのキャリアを代表するしっとりとしたメロディーが印象的なナンバー。


オリコンチャートでは最高10位を記録、第35回日本レコード大賞を受賞した楽曲という事もあり、この曲を起点に新たなファンを獲得していった作品でもあるかと思います。


資料7.'17年11月29日には、玉置さんに提供された曲、安全地帯の曲、玉置さんソロの曲をカバーしたアルバムがリリースされました。


今作でのセルフカバーでは、ブルースナンバーのようなサウンドでのアプローチを展開。


もともと明治時代の自由民権運動の際に、政治批判を託した歌としてスタートをした演歌。


その後、戦後の高度成長期に"艶歌"や"怨歌"として切なさを全面にしたメロディーで大衆文化に根付いた感のある演歌を、もともと人種差別の厳しい日時を歌ったとこからスタートをして、’60年代の第一次ブリティシュ・インディベイーションを境に世界のポップシーンの中心に躍り出たブルース。


そのブルースのようなサウンドで演歌にアプローチを試み! 見事に曲の魅力を増殖することに成功していて、音楽の繋がり、奥深さを追求したくなるセルフカバーだと思います。



資料8.アルバムリリース後、"無言坂"もテレビ番組"ミュージック・フェア"で共演を果たす。

香西さん、玉置さん双方にとっても"無言坂"はキャリアの中で重要な作品になったのではないでしょうか?



353.嘲笑


原曲は北野武さんが’86年に発表した詩集"KID RETARN"に転載された詩に感動した玉置さんから作曲の申し入れがあり’93年6月23日にリリースされた懐古的な雰囲気がたまらないスローナンバー。



資料9.もともとたけしさんの詩集から発展してシングル盤としてリリースされた"嘲笑"のシングルジャケット。



聴いていて自然に引き込まれていくたけしさんの歌詞、聴いていると何故か懐かしさ、暖かさと音の深みを感じさせる玉置さんのメロディーと、2人の天才が融合したからこその楽曲。


セルフカバーでは、そういった部分にプラスして、'10年以降に急速に目に見えて進化していった玉置さんの望郷感漂う国宝級のボーカルによって一層名曲度の高いナンバーに仕上がっている。


リリースから30年あまり経過した近年のライブでも時折歌われる"嘲笑"。


二人の天才がまるで阿吽の呼吸のようにフィットしているナンバーを、年々進化し続けている玉置さんのボーカルで、これからも聴き続けたいナンバーだとも思います。



資料10.年々進化し続けていくという感じの玉置さんのボーカル。これからも進化し続けていく姿を追っていきたい。


最後にアルバムを通して聴いてみると、私達ファンが感じている以上に、さまざまなジャンル、さまざまな世代の作品を生み出してきた玉置さんの音楽的センスの幅広い一面、どの作品においてもその中で感じさせられる玉置さんの個性が感じ取られていて、オリジナルアルバムではあじわうことの出来ないアルバムだと感じました。


アルバム"Offer Music Box"をフルサイズで聴いてみて、そんな玉置さんの無限大に広がる魅力を感じとって楽しんで頂けたらと思います。



今回も長い投稿になりましたが最後まで目を通して頂きありがとうございます😊


次回からは数回に渡り、5人の安全地帯として最後のアルバム"安全地帯XIV 〜The Saltmoderate show"を振り返ってみたいと思います。


安全地帯のメンバー全員が作曲に加わったり、昭和歌謡ショー風味な作品の魅力をお伝え出来たらなぁと思います。


またお時間ございましたら目を通して頂けると嬉しいです😃


引き続きよろしくお願いします🙇


https://open.spotify.com/album/1egx6wl7ucCVvRXntayyCn?si=YOBPT9zgR2K6KJuLfDuxsA