収録曲: 1.じれったい/2.熱視線 /3.好きさ /4.プルシアンブルーの肖像 /5.銀色のピストル /6.マスカレード /7.真夜中すぎの恋 /8.月に濡れたふたり /9.蒼いバラ /10.ワインレッドの心 /11.恋の予感 /12.碧い瞳のエリス /13.Friend /14.夏の終りのハーモニー /15.To me /16.ほほえみ /17.かあさんの歌〜あの頃へ /18.Lonely Far /19.どーだい /20.We're alive /21.夢になれ /22.雨 /23.オレンジ /24.ひとりぼっちのエール /25.I Love Youからはじめよう /26.悲しみにさよなら




【アルバム解説】



今では珍しくなくなった"猛暑日"が続いた'10年の夏から晩秋にかけて全国で展開された"完全復活ツアー"の国内最終公演になった日本武道館のライブを完全収録した安全地帯として通算6枚目のライブアルバム。


ライブツアーのエピソードとして、観客とのトラブルが発生したり、それに伴いソロで活動していた時期から14年に渡りサポートメンバーとして参加されていたカルロス菅野さんが途中離脱したりと、さまざまなトラブル、騒動があり、改めてライブは何が起こるかわからない、まさにナマモノだと実感させられたツアーだったように感じます。



資料1.意気揚々とスタートした'10年の"完全復活ツアー"。さまざまなトラブル、騒動に巻き込まれ、また巻き込みながら展開された。



ツアーファイナルの模様を収録した今作ですが、極端にテンポが早くなってしまっている演奏があったり、玉置さんの声が本調子ではなく枯れてしまっていたりする場面なども収録されていて、それまでのライブアルバムにて感じられたレコードの音を忠実に再現する安全地帯の魅力という部分においては消化不良とも捉えられる内容になっている。




資料2.ツアー中、バックステージにて。ツアー初期の頃、カルロス菅野さん【右端】の姿も確認できる。




ただその分、それまでのライブと比較すると、演奏がアグレッシブに感じさせる部分があったり、オリジナルよりやや長尺に変化した間奏や曲のオープニングがあったりと、その後安全地帯、玉置さんの活動がライブ活動メインに移行していくにあたっての姿がイメージできるライブバージョンに仕上がっていると思います。




それまでのあくまでも"ワインレッドの心"はいつ聴いてもレコードと変わりない間奏、曲のサイズの"ワインレッドの心"という、どちらといえば確認作業のような感覚もあった安全地帯のライブアルバム。そういった展開が安全地帯をはじめ多くのアーティストの作品においてあたりまえだった時代。



そういった視点のみでみていくと異色のライブ作品という事になりますが、この後安全地帯はキャリアが長くなるバンドの宿命ともいえるライブを開催すれば、いつもお馴染みの曲を演奏してしまい変わり映えしないライブになってしまうという難問を、’50〜'70年代の欧米の大御所ジャズアーティストのライブ作品がそうだったように、演奏曲はあまり変化がなくても、さまざまなスタイルで新たなアプローチを展開してオーディエンスを釘付けにするといった活動を展開するキッカケになったライブ作品だとも言えるのではないかと思います。



資料3.映像作品としてもリリースされた"完全復活ツアー"。今作からツアー開催→BSで放送→パッケージとして発売という流れが固まり、ライブを幅広い層が楽しむキッカケになって行く事になります。




今ではレコーディングからライブという活動パターンから、ライブ活動メインの活動に移行がすっかり定着した感がありますが、そのスタートになったライブ作品という事で、そういった活動が慣れてなかったリリース直後は正直戸惑いも感じた本作品ですが、それまでのライブ作品より、左からの矢萩さんのギター、右からの武沢さんのギターの音の配置、真ん中でバランスよく曲によってメリハリをつけ臨場感をより再現された感のある玉置さんのボーカル、六土さんと田中さんのリズム隊の絶妙な音のバランス配置、痒いところに手が届く感じでところどころで存在感を感じさせられるサポートメンバーの音など、今改めて聴いてみると安全地帯がオーディエンスに提示したかった"何か"を感じることの出来る作品に仕上がっていると思います。


そういった辺りも加味しながら、映像作品と共に楽しんで頂ける作品だと思います。





今回も長い原稿になりましたが、最後まで目を通して頂きありがとうございます😊


次回からは、アルバム収録曲を振り返ってみたいと思います。


またお時間に余裕がございましたら目を通して頂けると嬉しいです。


引き続きよろしくお願いします🙇