105.じれったい



オリジナルバージョンは’87年4月にリリース、オリコンチャートで最高2位を記録した、大胆なディスコサウンドを導入して、安全地帯として新たな音楽スタイルを提示したファンキーなナンバー。



資料1."じれったい"リリース直後、サウンド同様、煌びやかなステージ衣装を身にまとう玉置さんのビジュアルも話題を呼びました。



アルバム"安全地帯HITS"がオリジナルバージョンをアップデートしたようなリメイクアルバムという事もあり、この"じれったい"も玉置さんのボーカル以外は、一聴して大きな変化をなかなかわかりづらい再構築になっていますが、一つ一つの音の輪郭がオリジナルバージョンよりくっきりしている。例えば矢萩さんのギターの裏での武沢さんの細かいリズムギター、六土さんのベースの裏で独特の存在感を発揮しているサックス、玉置さんのボーカルとアマゾンズのコーラスの重なり具合など、オリジナルバージョンより鮮明になっていて、より一層臨場感あるテイクになっていると思います。



その中でも個人的に"おぉー"と感じられたのは、曲の中盤で、短いブレイクから玉置さんのボーカルから徐々に盛り上がっていくシーン。聴いていて、今回の活動再開の要因の一つとして玉置さんが挙げておられたマイケル・ジャクソンさんの死去という事の意味がわかったような気がしたのと同時に、改めてマイケル・ジャクソンさんや安全地帯が活躍していた'80年代が’60〜'70年代同様に"特別な時代"だったという事を気づかせてくれる魅力あるリメイクバージョンだと再認識させられました。



資料2.活動再開後、テレビ番組で"じれったい"を披露するワンシーン。'80年代の独特の空気感が伝わってくる熱いパフォーマンスが印象に残りました。





36.熱視線



'85年1月にリリースされた、それまでは安全地帯はどちらというとロマンチックな王道バラードを演奏するグループというイメージを覆したような疾走感あるサウンドがたまらないナンバー。オリコンチャートでは最高2位を記録したヒットナンバー。



資料3.テレビのチャート番組では一位を記録した"熱視線"。玉置さんの"キメ"のポーズも話題を呼びました。




オリジナルバージョンでは、'80年代独特のデジタルぽさを全面にしたサウンドで構築されていた曲ですが、今回のリメイクバージョンでは"じれったい"同様にオリジナルバージョンの雰囲気を保ちつつ輪郭がハッキリとした音の表現を用いる事で、オリジナルバージョンとは違う魅力を再構築する事に成功をしているように感じさせられる。


玉置さんのボーカルを中心に、どこかメキシコ音楽やフラメンゴのような堪能的で情熱的な曲の一面も感じ取る事ができるサウンドでリメイクしているあたりも、'80年代のあくまでもヒット曲を送り出すという雰囲気の時代を考慮したサウンドと比較してみると、本来この曲の持つあるべき姿はこういうサウンドだったと主張しているように感じさせられ聴いていて思わず納得させられる。


そういった辺りも含めて有意義なリメイクだったのでは?と感じさせられる。





'70.好きさ



オリジナルバージョンは'86年12月、テレビアニメ「めぞん一刻」のテーマソング、超大作アルバム"安全地帯V"の先行シングルとしてリリースされた、日本の歌謡曲の持つキャッチーな要素を巧みに取り入れらたロックナンバー。オリコンチャートで最高5位を記録しています。



資料3."好きさ"は当時としては珍しいアニメの主題歌としてお茶の間に登場しました。



オリジナルバージョンは歌謡曲の良さを改めて実感できる音を全面にしていたの対し、リメイクバージョンは、’92年のアコースティックライブの模様を収録した映像作品"アンプグラド・ライブ"の時のパフォーマンスを彷彿とさせる、玉置さんの感情をあらわにした情熱的なボーカルを全面にして、また違ったロックナンバーとしての曲の表情を感じられる内容にリメイクされているように感じます。



資料4.圧巻、渾身のライブパフォーマンスだった’92年のアコースティックライブを収録した映像作品"アンプグラド・ライブ"。



それから聴く際に注目したい点として、間奏での矢萩さんと武沢さんのギターソロ。


オリジナルバージョンはアニメの主題歌という事もあってか、また'80年代という時代性などもあってか、やや影武者のように控えめに感じされたギターソロですが、このリメイクバージョンでギターソロの持つ重厚でダイナミックなサウンドを全面的に再構築されていて、玉置さんのボーカルと共にこのリメイク後の姿が、"好きさ"の本来の姿では感じさせられる良質なリメイクだと思います。




49.プルシアンブルーの肖像



オリジナルバージョンは、’86年7月に同名タイトルの玉置さん主演映画の主題歌としてリリースされた、ハードロック風だけどキャッチーなサウンド、"話さない"と"離さない"のような言葉の響きをうまく取り入れた松井五郎さんの歌詞が印象に残るナンバー。



リメイクバージョンにあたっては、ギターの音をオリジナルバージョンよりやや全面にしてハードロック風のサウンドという辺りを強調している点、このリメイクアルバムに関しての玉置さんの想いを感じさせるような一段と表情豊かなスタイルのボーカルが印象に残りました。



こういうサウンドメイクでリメイクした事によって、アーティスト側、オーディエンス側双方が曲の奥深い魅力がわかりやすくなったようにも感じられ、その後ライブで演奏をし続けていくという事を前提にしてリメイクされたバージョンかも知れませんね。


シングルバージョンとは違う側面をみつめながら聴きたいリメイクだとも思います。



資料5.リメイクバージョンでもオリジナルバージョンの持つ独特な雰囲気を再現するために、雷雨の効果音を入れるなどの工夫もみられて、曲の持つ世界観を損なわない工夫も。





61.Friend



’86年10月にシングル曲として登場、'10年代以降のライブでは定期的にセットリストに加わり、2部構成のステージか定着してきた近年のライブでは1部のラストナンバーとして演奏され続けている人気のラブバラードナンバー。



資料6."Friend"は今ではすっかり2部構成の1stステージのラストナンバーとして定着、幅広い層に支持される人気ナンバーになっています。



オリジナルバージョンより一層忘却感を全面にしながら、あえて控えめに一言一言、テンポをゆっくりしながら丁寧な玉置さんのボーカルとのコンビネーションが見事に融合していて、曲の存在感、名曲度がアップされているように思います。



聴いていて曲の持つ世界観が、自然に身体に染み込んでくる感じの名リメイクで、この作品全体の意味合いみたいなものを感じとられる辺りも見逃せないポイント。



今から思えば、後のライブで常に演奏され続ける原点になったリメイクという見方もできるかと思います。





41.碧い瞳のエリス



オリジナルバージョンは'85年10月リリースの、安全地帯らしい哀愁さの中にきめ細かいサウンド作りが印象に残るスローナンバー。オリコンチャート最高2位を記録しています。



資料7.'80年代独特のきめ細かいサウンドを軸にしながら哀愁さを展開して大ヒットした"碧い瞳のエリス"のシングルレコード。



オリジナルバージョンでは、カチッとしたきめ細かいサウンドの'80年代らしいサウンドのスローナンバーだったの対して、本作のリメイクバージョンは、玉置さんの音楽のルーツは民謡、童謡、唱歌などからもあると何度か投稿でご案内させて頂きましたが、その事が伝わってくるような優しく、丁寧な玉置さんのボーカルが聴きどころの一つと言えるかと思います。



演奏やアレンジなどは目新しさという部分はあまり感じないながら、玉置さんのボーカルの表現力一つで、曲の雰囲気がガラリと変わる辺りを聴いていると、改めて玉置さんがさまざまな表現力を持った規格外のボーカリストだと感じさせられるリメイクバージョンだと思います。


資料8.初めてオーディエンスに"碧い瞳のエリス"が披露された'85年の横浜スタジアムライブより。年々表現力が増し、魅力的なボーカルの玉置さん。今後どのように進化していくのか楽しみは尽きない。


今回も長い原稿になりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございます😊


次回はアルバムの後半5曲を出来る限り、わかりやすく曲の魅力、聴きどころをまとめながら、振り返ってみたいと思います。



またお時間ございましたら、目を通して頂けると嬉しいです😃



引き続きよろしくお願いします🙇


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