325.雨




ドラマチックな歌詞、心に染み込んでくるメロディーが印象的な名バラード。



安全地帯というより、ソロの方が表現する幅が広いという事からか、玉置さんのソロライブでは定期的にセットリストに加わっている人気曲の一つ。




'80年代のキティ時代の安全地帯の作品の特徴として、各アルバムに必ずシングル曲としてリリースされたとしても遜色のない名バラードの楽曲が収録されていましたが、この"雨"は、そういった流れの継承を感じさせられる名バラードだと思います。



ただ'80年代の名バラードのように、例えば矢萩さんや武沢さんのインパクトのあるギターソロがありバンドとしての存在感を全面にするのではなく、どちらかというと玉置さんのボーカルを全面に出している辺りが、安全地帯のバンドとして進化を感じさせられる。



ちょうど'10年代の日本の音楽シーンは'90年代末から続いていた歌唱力の高さを全面にしたR&Bシンガーの過渡期を迎えていた時期。



この時期に"雨"のようなドラマチックな名バラードが誕生したという事は、時代の流れ的に必然だったのではないかと、個人的にこの曲を聴いていると感じさせられます。



資料1."雨"は安全地帯のアルバムを聴く上での醍醐味の一つでもある"名バラード"の匂いが漂う名曲の一つだとも思います。





326.HUNTER



聴いていてゾクゾクさせられるセクシーな玉置さんのボーカルがたまらない、安全地帯らしい艶やかさが印象に残るハードロックナンバー。



ハードロックらしいパワフルさと、安全地帯の作品らしい繊細なリズムで存在感を発揮している田中さんのドラム、グイグイと迫りくるスリリング感がたまらない六土さんのベース、ダイナミックに矢萩さんのギター、緻密で細かくそれでいて聴いていて惹きつけられる武沢さんのギターと、完全復活を遂げ一段とパワーアップした安全地帯を感じさせらられるナンバーだと思います。



そんな中でも特筆するのはやっぱり玉置さんのボーカルでしょう。安全地帯デビュー40周年の時に、安全地帯を特集していてあるテレビ番組にて、キャリア20年ぐらいの女性歌手が玉置さんの魅力に関して「玉置さんが歌われている中、言葉の語尾の"あ"の母音がたまらない。」とコメントされていましたが、"どっちを仕留めるのかぁ"や"Hunterぁ〜"辺りを聴いていると、彼女の語っていた語尾の"あ"の母音のたまらないというのが伝わってくるように感じます。



言葉一つ一つから、玉置さんの持つ艶やかさを感じることができるナンバーの一つとも捉えて聴いてみたい一曲だとも思います。


資料2.玉置さんの語尾の"あ"の母音の響きも意識しながら聴きたい曲。"HUNTER"の曲の艶やかさを一層感じられるかも知れませんね。




320.★「またね...。」voice



次曲"蒼いバラ"に行く前に、あえて流れを止め、一息を入れたような、安全地帯としては珍しいアカペラによる小作品。



この作品を聴いてみて、アナログ盤が主流でだいたい10曲前後、時間にして約40分だった時代なら、こういうちょいとした小作品は省いて、ストレートに曲を入れるのが1番ベターな選択かも知れませんが、一つの作品に60分前後、12〜15曲収録が主流になった'90年代以降の作品は、聴く側がだれにくい配慮なども含めて、こういった小作品を導入しながら作品の鮮度を保つ工夫がされていたんだなぁと、ふと感じさせられました。



'20年代以降、音楽シーンはソフトを手に入れて楽しむ文化から、アルバムで通して聴く文化は残ってはいるものの、配信などで好きな曲をチョイスして楽しむ方も増えてきて、音楽に触れる環境も多様な時代に突入しました。



今後どのようなスタイルの、どのような聴き方が誕生するのか?、何故かこの小作品を通じて考えさせられました。



資料3.'20年代、コロナ禍以後、急速に普及、定着した感のある音楽配信サービス。今後の音楽作品はどのように変化をしながら根付いていくのか?

注目していきたい音楽ファンの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?




318.蒼いバラ



既に安全地帯"完全復活"の第一弾シングルとしてリリースされていた安全地帯のバンドとして個性が充分に発揮された艶やかなミディアムナンバー。



"★「またね...。」Voice"を直前に収録されたおかげで、オープニングのギターのフレーズを聴いた瞬間に、シングル曲として聴いた際には感じられない独特の緊張感を感じさせられて、また違う曲の魅力を感じる辺りが妙に新鮮。



"雨"以降、絶妙に強弱のハッキリしたナンバーを交互に配置されたアルバムですが、この"蒼いバラ"で、クライマックスを迎えた感があり、一段と武沢さんと矢萩さんのアグレッシブなギターの魅力が捉えやすくなっていて、"蒼いバラ"は一般的にいう"先行シングル=アルバムの勝負曲"とアルバムの流れで聴いてみるとより一層感じられるのではないかと思います。


リリース後、安全地帯のライブでは欠かすことのできない重要ナンバーの一つになった感のある"蒼いバラ"、アルバムの流れで聴き、重要ナンバーになった曲の奥深い一面を感じとって向き合いたいとも思います。



資料4."蒼いバラ"は安全地帯の魅力的な要素と、それまでになかった成熟さを感じさせるナンバーで、その後のツアーでも頻繁に演奏され続ける人気ナンバーになりました。




327.Bye Bye



’60年代半ば以降、生ギター主体のフォークから、バンド編成の表現にスタイルを変貌して大衆の心を掴んだフォークロック。



この"Bye Bye"はタイトな隙間のないリズムのベース&ドラム、ブルースを土台にした密度の濃いサウンドにとフォークロックの影響が感じられるバラードナンバー。



聴いていてそんなポピュラー的な要素はあまりないナンバーのはずなのに、玉置さんが歌うと、どこか万人向け、開放的なサウンドのナンバーに仕上がっているのは、軽井沢時代の経験値からくるものではないかと感じる聴き心地のよいナンバーだと思います。






328.ボートビリアン〜哀しみの道化師




'80年代の安全地帯の作品でも感じられるどことなく童謡・唱歌を土台にしたような望郷感溢れるメロディーが印象的なスローナンバー。



前曲"Bye Bye"が万人向け、開放的で聴き心地良いナンバーだったのとは対照的に、"ボートビリアン〜哀しみの道化師"はあくまでも個人向け、内省的なサウンドのナンバーに仕上がっているように感じさせられる。




二曲続いたという事で玉置さんのメロディーメイカーとしての懐の広さを再認識させられる一面を感じさせられる。




また難解なようだが、聴いていくうちに情景、輪郭などがイメージできる歌詞も見逃す事が出来ない。



最終盤にふさわしい壮大なナンバーだと感じて頂ける名曲だと思います。




資料5."ボートビリアン〜哀しみの道化師"の望郷感溢れるメロディーは安全地帯ならではの"音"。

改めてバンドの存在感の大きさを感じさせられる。




320.★「またね...。」la la la



アルバムのラストを飾るメインテーマ"「またね...。」"を軸にした、コーラスから始まり、目まぐるしく展開をして、熱いギターソロで締め括るという'組曲的な展開で個性的な作品が多く排出された’70年代のブリティッシュロックの影響が伺える小作品。



この小作品を加えることによって、アルバムの持つトータル性、コンセプトなどがより鮮明に見えたという事から、流して聴いてしまいがちの作品ではありますが、じっくりと耳を傾けて聴き、アルバム=一つの作品という部分を一層感じて頂きたいナンバーだと思います。


安全地帯がバンドとして新たに取り組んでいこうとしていたことを感じ取れる一曲という一面もあるナンバーとも言えるかも知れません。



今回も長い投稿になりましたが最後まで目を通して頂きありがとうございます😊


振り返ってみるとアルバム"安全地帯XI ⭐︎Starts⭐︎ 「またね...。」はそれまでのアルバムとは違い、リリース後に短いスパンでリメイクアルバム"安全地帯HITS"がリリースされたりとした影響からか、リリース当時はあまり集中して聴いてなかったのですが、徐々に集中して聴いた事、今回の投稿で久しぶりにじっくりと聴いてみると妙に新鮮だった事など、いままで投稿させて頂いた作品と、また違った感覚で振り返ってみる事が投稿を通して感じさせて頂きました。ありがとうございました😊



次回からは安全地帯初のリメイクアルバム"安全地帯 HITS"を3回に渡り振り返ってみたいと思います。


またお時間あれば読んで頂けると嬉しいです。


引き続きよろしくお願いします🙇


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