320.「またね...。」



北欧民謡のような音色、玉置さんのルーツの一つでもある唱歌の影響が垣間見ることができるメロディーが印象に残る、どことなくノスタルジックな雰囲気のオープニングナンバー。



バシッとしまった感じの田中さんのドラムから、カラッとした空気感を醸し出している辺りも見逃せない。


その後、アルバム内でさまざまなスタイルで登場することになる"「またね...。」"。このオープニングナンバーは、それらの軸、基点にもなるナンバー。


長いブランクを経ての活動再開となってくると、どうしても勢いのあるナンバーをオープニングに持ってきがちな所を、あえてじっくりと腰を据えたミディアムナンバーを持ってくる辺り、安全地帯として、じっくりと腰を据えて活動再開をしようという意思表示のような、本気度MAXのオープニングナンバーだとも思います。






321.摩天楼



街中での生音を入れたかのようなオープニングに、ソウルフルなHanah Springのバックコーラス、重い濃厚なビートが炸裂にと、安全地帯として心境地開拓を予感させるR&Bナンバー。



資料1."摩天楼"でソウルフルなコーラスを聴かせてくれるHanah Springさん。



このナンバーの聴きどころは、なんと言っても、濃厚な密度の濃い密閉感あるサウンドの中で繰り広げられる、玉置さんとHanah SpringさんのR&Bならでのはボーカルの掛け合いでしょう。


時には妖艶に、また時折ユーモアを交えながら、高低をうまく使い分けながら展開されるコーラスワークは、R&Bの持つ曲の世界観がうまく表現されていて、聴いていてマイケル・ジャクソンさんの死去が今回の活動再開のきっかけになったという事を再認識させられるように感じます。


そういう辺りを下地に聴いてみたいナンバーだと思います。






322.Cherry



後のファンクラブの名称にもなったタイトルのナンバー。


アルバムリリース時には既に過渡期を超えていたCDを聴く際に、定期的にレンズクリーナーCDを用いてレンズクリーニングをされていたという方もおおくいらっしゃるかと思いますが、そのクリーニング中にスピーカーから聴こえてきた、爽やかさを全面にしたオープニングが印象に残るミディアムナンバー。




資料2.安全地帯らしい聴き心地の良い爽やかさが印象的な"Cherry"のオープニング。




資料3.CDのレンズクリーニングに重宝されたレンズクリーナー。いまでもさまざまな場所で活用されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?



安全地帯らしいサウンドが魅力的な"Cherry"ですが、この曲の最大の注目ポイントは、後半に展開されるラップのような畳み掛けるような玉置さんのボーカルが展開されるシーン。


一曲の中で、さまざまなスタイルの音楽を展開する、今までになかった新たなスタイル。このスタイルは、’00年代からシンガーソングライター系のアーティストからの提供曲をリリースしてきた事の多かった男性アイドルグループが過渡期から、この"Cherry"のような楽曲スタイル、新たな展開でアプローチしていった時期と重なっていて、そこから世界的に躍進を遂げたK-popに発展していった道標のようなスタイルだとも感じます。


そういった新たなスタイルをいち早く取り入れ、自分達のモノとして消化していく安全地帯の音楽的柔軟性も感じさせられるナンバーとも言えるかも知れませんね。




資料4.新たなスタイルを展開した"Cherry"は安全地帯の柔軟性な部分も感じさせられるナンバーだと思います。





319.オレンジ



先行シングルとして既に発表されていた大人のロックバラード。こうしてアルバムの収録曲として聴いてみると、安全地帯メンバー5人の"音の個性"がオープニングからバラエティに富んだ楽曲が立て続けに展開されていた分、鮮明に感じさせられる。


その中でも特筆して印象に残ったのは、シングル曲として単体で聴いてみるとどうしても玉置さんのボーカルに注視してしまいがちになりますが、アルバムのバラエティに富んだ楽曲が続いた後に聴いてみると、矢萩さんと武沢さんのギターはこんなにまろやかで心に響いてくるサウンドだったのか!とか、決して控えめという訳でも、厚かましく全面に出てくるのでもなく絶妙なバランスでリズムキープが際立つ六土さんと田中さんのリズム隊の存在感など、安全地帯の5人のある程度キャリアを積んできたからこそ感じさせられる音の存在感を感じさせられる。


安全地帯の5人ならではの存在感をたっぷりと楽しみながら向き合いたいナンバーだと思います。





資料5.アルバムのこの位置に配置させれた事により、"オレンジ"の楽曲として存在感を感じさせられる。




320.★「またね...。」theme




アルバム"安全地帯XI ⭐︎Starts⭐︎ 「またね...。」"はアルバム解説の投稿でもご説明させて頂きましたが、安全地帯として初めてのコンセプトアルバムという一面も備えた作品だと思います。



このアルバムの特徴としてアルバムの曲間を極力シームレスに近い状況を築き、一枚の作品として表現したのと、この"★「またね...。」"のような小作品を作品の繋ぎ目に挿入して、よりトータルアルバムという事を強調している。



その小作品の第一弾は、矢萩さんと武沢さんの強力なツインギターを堪能できる良質なインストナンバーに仕上がっている。



’70年代にコンセプトアルバム、トータルアルバムとして市場に一つの流れを作ったプログレシッブロックのアルバムのように、この曲かあるだけで、アルバムのトータル性がグッと前に出て来ているようにも感じます。



後に武沢さんと矢萩さんは"ワタユタケ"という安全地帯と別にユニットを結成して、活動されるのですが、そのきっかけになったナンバーかも知れませんね。



資料6.このアルバムのリリース後、武沢さんと矢萩さんはユニット"ワタユタケ"として活動をスタートされます。




323.Power



'80年代に音楽市場を圧巻したハードロック、'90年代以降は、ラップやパンク的な要素も加味しながら、よりパワフルに、よりダイナミックなサウンドで音楽市場に独特の存在感を発揮し、多く人々の支持を受けたハードロック。



この"Power"は安全地帯なりに、そんなハードロックの音楽に急接近を試みたダイナミックなハードロックナンバー。



曲のクライマックスの展開で、ハードロック流のラップ的要素を散りばめながら、独特の雰囲気を構築する辺りは、'90年代以降、日本にも定着した感のあるスタジアムロックのようなダイナミックさを展開。安全地帯がバンドとして、特別な存在感を持つグループだったという事を再認識させられる。



無意識に入れられたような女性コーラスもどことなくソウルフル。


この"power"を通して、安全地帯の底力を体感してみたくなる、安全地帯のキャリア全体を通してある意味重要なナンバーだとも思います。






324.キタカゼとタイヨウ



いきなり濃厚でゆったりとした武沢さんと矢萩さんのギターの絡み、軽井沢時代を淡々と振り返るような玉置さんのボーカルのスローナンバー。


一見シンプルなスローナンバーだと感じてしまいますが、楽曲のクライマックスに辺るサビの部分での'80年代の安全地帯の作品からファンの方たちにはお馴染みの玉置さんの高音を交えながらの多重コーラスや、終盤のおそらく矢萩さんと思われるスローブルースを下地にした熱いギターソロにと、聴きどころ満載のナンバーだと思います。

その中でも個人的にこの曲を聴いて感じたのは、決して明るく前向きな歌詞ではなく、スローナンバーなのにも関わらず、聴いていて妙に安心感、聴き心地の良さを感じさせられる辺り。

改めて玉置さんがメロディーメイカーとして、実に個性的で、聴く人の心を惹きつけるクリエイターであるていう点を実感させられました。

そういった辺りも加味しながら聴きたい一曲だとも思います。


資料7."キタカゼとタイヨウ"は、玉置さんのメロディーメイカーとしての個性的で、聴く人を惹きつける魅力のあるナンバーだとも思います。



今回も長い投稿になりましたが、最後まで目を通していただきありがとうございます😊


次回はアルバム後半の収録曲を振り返ってみたいと思います。


またお時間あれば読んで頂けると嬉しいです。


引き続きよろしくお願いします🙇🥺



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