305.からっぽの心で



'15年以降のオーケストラとのコラボで、日本の音楽シーンに新たなライブプレゼンテーションを提示し、今日の玉置さんの活動のメインになっているライブでの快進撃の礎になったビルボード・クラシックス。



そのビルボード・クラシックスの原点ではないかとも感じさせるストリングスからのオープニング、玉置さんソロのもはや代名詞と言っても過言ではない広大なスケールの大きさを感じるメロディーが印象的なオープニングナンバー。



初期の安全地帯の作品のような爽やかさを感じさせるコーラスワークに、ための効いたドッシリとしたリズムにと、原点回帰したような展開に、リリース前後に予期せぬトラブルを抱えていた時期だけだっただけに、地に足をつけて再スタートしようという玉置さんの決意表明のようなナンバーと捉えられる一面もある作品と言えるかも知れませんね。



曲の雰囲気に絶妙にマッチしたスケールの大きさを感じさせる吸い込まれていくような間奏のギターも見逃せないポイントの優しさ、力強さを備えた佳曲だと思います。





資料1.リリース直後に放送されたテレビ番組"SONGS"では、後のビルボード・クラシックスでの快進撃を予感させるストリングスとのコラボも披露されました。




306.遠雷



'80年代の安全地帯の作品のような緻密なギターワーク、妖艶さを感じさせるコーラスワークがたまらないミステリアスでどことなくAOR的な影響も見え隠れするミディアムナンバー。



同じようなメロディーを重ねていきながらサウンドに厚みを持たせて曲を盛り上げていくような展開も'80年代の安全地帯の作品のようで、聴いていて妙に懐かしく感じさせられる。



ブログを投稿するにあたり、できるだけリリース順に作品を聴くようにして考察しているのですが、この作品から活動停止を経て'10年に安全地帯として活動再開、ビジュアルやサウンドも一新してと思ってたのですが、この"遠雷"を聴くと、どことなく熟成されたワインのような雰囲気を醸し出しシーンに帰還したように感じていた安全地帯の"完全復活"も、一歩ずつ地に足をつけて活動を続けていたからこそ成し得たようにも感じさせられる一曲だとも思います。




資料2.アルバムでは、'80年代のようなミステリアスな部分を展開したのとは対照的に、インタビューなどの取材では自然体の姿で対応された姿が多く見受けられました。




303.惑星



アルバムの先行シングルとしてリリースされた、リミックスなど手を加えずに、シングル盤と全く同じバージョンで収録。



この辺りになる、シングル盤はあくまでもアルバムのハイライト的な作品と、アルバムタイトルも同様な点から捉えていたのかも知れませんね



しかし何も考えずにアルバム収録曲として"惑星"を聴いてみると、オープニングの籠った表情の音ながら緊張感ある展開、内省的だがメロディアスなサビ、歪んだ音を全面にしたギターソロで深みのあるサウンドを構築している点が鮮明に浮き彫りになっていて、改めて"熟成された大人のロック"を感じさせられる。



ソロの作品でありながら、なぜかバンドメンバーの音の表情が捉えやすい点の見逃せないポイントの一つで、後に不定期ではありますがライブのセットリストに登場する機会があるのも納得の一曲と言えるかと思います。



資料3.'22年に開催されたソロ活動35周年のツアーにて"惑星"を歌唱する玉置さん。





307.はじまり




二曲目の"遠雷"同様にAOR的なサウンドのミディアムナンバー。



"遠雷"がややシティポップ的なAORだったのに対して、"はじまり"は、この作品から'88年の安全地帯ツアー以来、再び玉置さんの音楽活動のサポートメンバーに帰還した 佐野聡さんの聴いていて掴めそうで掴めない浮遊感、そして何故か包容力を感じさせられるホーンに象徴されるように、"サッチモ"ことルイ・アームストロングさんの影響が伺えるジャズスタンダードの要素も持つナンバーだとも言えるかと思います。



また同じようなメロディーを繰り返しながら、徐々に音を重ねていきながら盛り上げていく'80年代の安全地帯の作品のような展開も聴きどころの一つと言えるかと思います。



聴いていて地味なナンバーですが、何故かインパクトに残る不思議な魅力も感じさせられる。





308.Barbarian Dance



安全地帯のアルバム"安全地帯VI〜月に濡れたふたり"に収録されていた"Shade Mind"のようなアフリカ大陸の音楽をイメージさせられる奥の深いリズムを全面にしたミディアムナンバー。



中盤のコーラスワークとリズムが巧くフィットして独特の間から繰り広げられる世界観は、まるで呪術の儀式のようで神秘的な雰囲気を醸し出している。



民族音楽的なリズムの中に、鋭いギター、ファンキーなパーカッションなどが所狭しと散りばめられながら、それぞれに主張しているかのようなアンサンブルはバンドとしての一体感を感じさせられ、3年という年月をかけて完成したこのラインナップとしての到達点を感じさせられるナンバーと思います。



シングル曲"惑星"が表看板の一曲としたら、この"Barbarian Dance"は裏看板の一曲、ある意味アルバムのハイライト的ナンバーだと感じます。



資料4."Barbarian Dance"での独特の間、世界観は神秘的な雰囲気を醸し出しているように感じさせられる。





309.ピラニア




小気味よいリズム、聴きやすいメロディーが印象的なやや小洒落た感覚のロックナンバー。



オープニングからの小気味よいリズム隊に、ギターのカッテングにと'80年代のシティポップを継承したかのようなサウンド作りも印象に残るナンバーとも言えるかと思います。



久しぶりに感じさせられる玉置さんの妖艶なボーカルスタイルに、控えめなようで独特の存在感を発揮している要所要所で鳴り響くアグレッシブなギターなど、'80年代の安全地帯の作品のような雰囲気を醸し出している辺りも見逃せないポイント。



何度か記載させて頂きましたが、玉置さんはこのアルバム"惑星"のリリース、それに伴うツアー終了後、療養の為、約2年間活躍を停止、その後'10年に'80年代の安全地帯の雰囲気を醸し出しながら熟成されたサウンドで安全地帯として"完全復活"を果たすわけですが、この"ピラニア"を聴いていると、この時期から既に次作は、安全地帯の'80年代の作品のような艶やかさのある作品へ繋がっていくようになっていたのではないかと感じさせられる佳曲だとも感じます。




今回も長い文章になりましたが、目を通して頂きありがとうございます😊


次回はアルバムの後半を振り返ってみたいと思います。


またお時間がございましたら、目を通して頂けると嬉しいです😃


引き続きよろしくお願いします🙇



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