250.ブナ【Instrumental】


既に皆様御承知だと思いますが、アナログ盤の場合は、A面、B面と表裏を通して作品を表現していたが、CDになり一面のみで作品を表現するようになりましたが、このブナはあえてアルバムのちょうど真ん中辺りにInstrumentalを入れる事によりアナログ盤時代の趣きを再現したかのような穏やかなスローナンバー。


近年テレビやラジオなどで安全地帯のルーツ音楽として取り上げられる’70年代に活躍したロックバンド"イーグルス"の代表曲"Desperado"のような身体に染み込んでくるようなメロディがキラリと光るあたりも見逃せない。


'10年代中盤以降のツアーでは、ステージが途中で休憩を挟む2部制のステージが主流になりましたが、その際にオープニングにInstrumentalの曲を起用して、ステージの流れを構築するスタイルが定着していますが、そういう流れの原点になったナンバーかも知れませんね。


アルバムやステージの流れをイメージしながら向き合ってみたい一曲だと思います。




251.君だけを


玉置さんのソロ作品の特徴的な壮大さと素朴な一面を感じるバラードナンバー。前曲"ブナ"から間髪入れずに哀愁漂う生ギターに玉置さんの優しさ溢れるボーカルがたまらない。アルバム『カリント工場の煙突の上に』あたり、玉置さんが年齢でいうと35歳前後辺りから、それまでは壮大なバラード、素朴な一面を感じるバラードと作品によって一つの的を得て表現された作品が主流だったのから、一つの楽曲内で両方表現する"二刀流"バラードの作品が増えていったように感じます。


海外ではロッド・スチュアートさん、国内では井上陽水さんや吉田拓郎さんに南こうせつさんなどの作品も35〜40歳前後から、玉置さんのように二刀流バラードが増えていったように感じます。

この辺りの年齢辺りから、表現する幅が広がる傾向のアーティストが多いような気もします。


今から振り返ってみると、この辺りでボーカリストとしての幅が急激に深刻に進化していったようにも感じます。


流れ的には、アルバム『LOVE SONG BLUE』での"ふたりなら"や『CAFE JAPAN』での"あの時代に•••"と同じような流れで、聴いていると曲の懐の深さを体感できるナンバーだと思います。


そういった流れを見据えながら聴いていただきたいナンバー。




資料1.アーティストとしての変化という部分では、このツアー辺りから、コンサートグッズにストラップなどの小物類が増えていきました。



252.美味しいジュース


ベチャっとした感のある湿った感覚のリズムからくる妖艶なムードが漂う艶やかでダンサブルなミディアムナンバー。


'80年代の安全地帯の作品のような緻密さを伴う妖艶さではなく、'90年代中盤以降の玉置さんの作品のような、例えばアルバム『CAFE JAPAN』に収録されている"Honeybee"のようなやや深みを感じさせるギラギラした妖艶さでない、’00年代軽井沢時代独特のややシンプルさを全面にした中での妖艶さがなんとも言えない。


表現の幅が拡大した事により妖艶さときめ細かさを感じさせられる展開に、玉置さんのアーティストとしての進化を感じることができるナンバーといっていいナンバーとも言えるかと思います。


進化していく妖艶さ、年代と共に変化していく妖艶さを感じながら向き合って聴きたいナンバーだと思います。



資料2.アルバムを引っ提げて'01年のツアーパンフレット。アルバム『スペード♠︎』は妖艶さと素朴さが融合されて、'01年以降の方向性が定まってきた一面が垣間見る事ができる一枚だと言えると思います。




253.気分がいいんだ



身体も心も軽やかになるモダンなビートがたまらない、玉置さん流"ジャズ"ナンバー。時折聴いていてどことなくオシャレな感じの階段を駆け上がっていくような立体感あるメロディも印象的。


この曲の聴きどころは何と言っても玉置さんのさまざまな声からなる多重コーラスではないでしょうか?


安全地帯の初期の段階から、よく聴かれた多重コーラスですが作品を重ねる事にグレードアップを重ね、アルバム『CAFE JAPAN』あたりで一つのピークを迎えて、この『スペード♠︎』辺りではやや安定してきたように感じられ、演奏を含めた安定感が存分に堪能できる作品だと思います。


進化から安定し円熟味を増した感のある多重コーラスをたっぷりと聴きながら向き合っていきたいナンバーだと思います。



254.メジャーマン


後の安全地帯のアルバム『安全地帯X』で聴かれるゾクゾク迫ってくるようなギターのコード進化が印象的なスリリングなアコースティックロックナンバー。


歌詞でいう"肌と肌が合えばいいね"辺りから目まぐるしく転換、変換しながら曲をダイナミックに構築していくあたりは玉置さんならでのメロディーメイカーとして幅広さを感じさせられる。


生ギターならでの身近に迫ってくるギターソロも独特で刺激的。


'92年の安全地帯でのアコースティックツアー以降に時折垣間見る生ギターメインのスリリングな展開に思わずニンマリした方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?


いろいろな比喩を取り入れての歌詞、さまざまな表情を見せる、さまざまなものを取り入れてのリズムにと小作品のようで聴きどころの多いナンバーともいえるかと思います。




255.どうなってもいい


玉置さんとレコーディングに全面的に参加させていた矢萩さんの遊び心が見え隠れするゴキゲンなブルースナンバー。


湿った感のパーカッションとの融合から独特の曲の雰囲気を醸し出していて、どこか妙にフィットしている辺りと、玉置さんと矢萩さんのスタジオの楽しい雰囲気が伝わってくるギターの掛け合い、そしてなんといっても本格的にソロ活動をスタートしてからの玉置さんの持つコミカルで3枚目的な表現法が自然体に表れているあたりが聴きどころのナンバーと言えるのではないかと思います。


また安全地帯の作品から続いていたアルバムのラストナンバーはスケールの大きなバラードでといった流れにあえてストップをかけて、新しい"21世紀"型の表現スタイルで挑んだかのような辺りも見逃せません。


アルバム後半は少ししまりがないように感じられる部分もありますが、新しいスタイルを表現し始めたスタートだと捉えて向き合ってみたいナンバーだとも思います。



資料3.新たな表現スタイルとして、テレビなどでも自然体な表情が多く見受けられるようになってきた時期だったとも思います。


今回もお付き合い頂きありがとうございます😊


次回からは、今までは時代順に玉置さん、安全地帯の作品を紹介させていただいてましたが、'23年5月にユニバーサル時代の'80年代の映像作品がBlu-ray Boxとしてリリースされます。


その流れに沿って、少し横道をそれて、この映像作品を合計6回に分けて振り返ってみたいと思います。


また懐かしいな、そうそうと読んでいて感じて頂けるようなブログを投稿していこうと思いますので引き続きよろしくお願いします🙇‍♀️