128.夢のポケット


 サントラ盤『プルシアンブルーの肖像』から続いている童謡をモチーフにしたスローナンバー。


それまでは、童謡を下地にした作品の中でも、どちらと言えば唱歌、マーチの感じがする作品が主流でしたが、今回の『夢のポケット』では子守唄のような作品に仕上がっていると思います。


ほのぼのと、のどかさ、素朴なアレンジが印象に残る作品は、この『夢のポケット』から徐々に進化していき、'90年代後半〜'00年代に掛けて

それまでと違ったアプローチの作品で、後の新たな魅力を発揮した玉置さんのソロ"軽井沢"時代の作品に発展していったように感じます。


中盤からの少年合唱団とのコラボでは、カーペンターズ『シング』のような美しいハーモニーは、聴いていて心地良さを感じさせる構成になっているところも聴きどころの一つだと感じます。


そのあたりも含めて楽しめる楽曲だと思います。



資料1.『夢のポケット』は、童謡でも子守唄へのアプローチ、ほのぼのとした演奏が印象に残りました。(画像は'88年ツアーより)




129.No Problem


 田中さん、六土さんの小気味良いリズムに、いい具合に絡みつくサックスが印象的なジャズ歌謡のエッセンス満載のナンバー。


改めて聴いてみると、決して長くないナンバーなのですが、さまざまな楽器が、玉手箱のような次から次に飛び出す、密度の濃さを感じさせられる展開がなんともたまらないナンバーだと思います。


絡みつくような粘っこい玉置さんのボーカルとやや乾いたような感覚のギター、艶やかなコーラスとの絡みも、今までの安全地帯とは、また違った妖艶さを感じることができる作品とも言えるのではないでしょうか。


今までと違った"夜"のイメージを感じさせられる作品。


また新たな表現法を手にした安全地帯の楽曲として、楽しんで頂ける楽曲だと思います。



資料2.ライブでは、女性コーラス2名を配置して、オリジナルバージョンに忠実ながら、独特の妖艶さを垣間見るステージを展開。



130.Shade Mind


 重苦しくて、どこか神秘的なアフリカの民族音楽の影響を感じさせられる打楽器からの圧巻のリズム、そして大胆にホーンを導入して一気に開放感を漂わせるオープニング、聴いて高揚感、緊張感が伝わってくる間奏の熱いギターソロが印象に残るミディアムナンバー。


しかし『Shade Mind』の聴きどころというと、いままでの安全地帯にはなかったアフリカの飢餓、紛争、難民問題などの情勢をストレートに表現している松井五郎さんの歌詞ではないでしょうか?


この曲がリリースされる前から、21世紀も間もなく四半世紀が過ぎようとしている現代においても

あまり事態が好転していないという事実を、『Shade Mind』を歌詞を通して実感させられる。


そういった社会問題の根深さなどを実感しながら、じっくりと考えさせられる楽曲とも言えるのではないかと思います。



資料3.アフリカの飢餓に苦しんでいる子供達。

楽曲リリースから、34年の月日が経ちましたが、なかなか改善できていない。


123.月に濡れたふたり


アルバムタイトル曲であり、先行シングル。

シングル盤より、やや輪郭をくっきりさした感のある武沢さんのギターのカッテングが印象に残りますが、アルバムバージョンの最大の聴きどころは、間奏を大胆に変更して、矢萩さんのギターソロを挿入した部分ではないでしょうか。


ギターソロを挿入しただけで、バンドサウンド的要素があまり見えてきづらい状況だった楽曲から、バンド全体の存在感が鮮明に感じられる作品に仕上がったように思います。


そういった経路もあってか、後のライブバージョン、セルフカバーにおいても、ギターソロが挿入されているアルバムバージョンが基準になっているように感じます。


シングルバージョンとアルバムバージョンを比較

して聴いてみると新たな曲の表情をより感じられるのではないかと思います。



資料4.アルバムバージョン『月に濡れたふたり』では、矢萩さんの"泣き"のギターソロがキラリと光る名演が印象に残りました。



131.Too Late Too Late


アルバムのラストに持ってきたのは、偉大なソウルシンガー レイ・チャールズさんが、日本のCMでカバーして、話題にもなったパラードナンバー。この時期、レイ・チャールズさんは、桑田佳祐さんの『いとしのエリー』もCMでカバーされてました。日本の文化などに興味を持たれていた時期なのかも知れませんね。


そういった経緯もあってか、TVの音楽番組でも演奏される機会が多く、曲の認知度が高いナンバーではないでしょうか。





資料5.『Too Late Too Late』はリリース後、数々の音楽番組でも演奏されました。


前曲『月に濡れたふたり』が矢萩さんの間奏のギターソロが印象に残りましたが、この『Too Late

Too Late』では、間奏の六土さんの聴いていて"音"の深み、味わい深さを感じさせるベースソロが印象的。その辺りをたっぷりと楽しんでいただける曲だと思います。ライブバージョンでは、ベースソロの後に矢萩さんのギターソロを挿入されたりしていて、曲をダイナミックに演出する構成になっていますが、個人的にはオリジナルバージョンの六土さんのベースソロのみの構成の方が曲にフィットしているように感じます。



資料6.TV番組『ミュージックステーション』に出演した際の、玉置さんと六土さん。真摯な対応で受け答えする姿が印象的。


次回は、シングル盤『I Love Youからはじめよう』を軸に、'80年後半の日本の音楽シーンを、他のアーティストも含めて、シングルカットされた作品の話題を軸に振り返ってみたいと思います。


またお時間あれば読んでいただけると嬉しいです😃


またよろしくお願いします🤲


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