収録曲 1.yのテンション /2.Lazy Daisy /3.Happiness/4.ブルーに泣いている /5.恋の予感 /6.Kissから/7.風 /8.アトリエ /9.エクスタシー /10.瞳を閉じて


【アルバムレビュー】

3月、江崎グリコ 江崎社長誘拐からはじまり、グリコ、森永製菓などを"かいじん 21面相"と名乗り、タイプライターの脅迫文で、世間を騒がしたグリコ・森永事件が佳境を向かえた、1984年12月にリリースされた、安全地帯として3枚目のオリジナルアルバム『安全地帯III 〜抱きしめたい』はオリコンチャート3位に食い込むヒット作となっています。


カセットも同時発売されました。前作『安全地帯II』から僅か約半年のインターバルでのリリースのせいか、インパクトある楽曲が多い『安全地帯II』と比べると、青を強調したジャケットのせいもありますが、地味な印象がある作品。余談ですが、ジャケットの玉置さんの写真のポーズを真似しようとしてもなかなか出来ない、玉置さんの指が長いなど、熱心なファンの間では話題になりました。


資料1.前作が赤なら、『安全地帯III 〜抱きしめたい』は青と黒で帯、ジャケットを統一して、高級感を演出しています。



資料2.リリース直後、レコード店などで提示されたポスター。アルバムジャケット同様に"青"と"黒"が強調されています。




ベースの六土さんが「当時のアルバムで一番愛着があるのは、3枚目。4枚目には、一応完成された感がある。2枚目は早く作ろうって言いながら、結局レコーディングに、一年ぐらいかかちゃった。でもサードは凄く早かった。凄く勢いがある。完成するちょっと手前のテンションがあってね。」とコメントされています。


六土さんのコメントを裏付けるように、前作『安全地帯II』が武沢さん、矢萩さんのギターが前面に出た作品なら、『安全地帯III 〜抱きしめたい』は田中さん、六土さんのリズム隊とサポートメンバー 川島さんのシンセサイザーが前面に出て、アルバム全体を引っ張っている印象があります。


前作からの流れで、70年代フォークを下地にしたような『風』や『アトリエ』をさりげなく配置していて、バランスの取れた作品だと思います。


前作『安全地帯II』から"進化"した、また流れを"継承"した安全地帯の作品として楽しんで頂けるのではないかと思います。


https://open.spotify.com/album/76toeRfdh5uJVg9673S4zq?si=pPYlsZlZRSSnkLpvacJoCg