【1/20に再度緊急入院】全身痛の原因は腎臓がんの骨髄転移・骨転移でした | 【ステージ4:治療6年目突入】腎臓がんと闘うスロッターkazuのブログ

【ステージ4:治療6年目突入】腎臓がんと闘うスロッターkazuのブログ

2017年 50歳で腎臓がん&肺転移を告知されました(追記:51歳で脳転移再発、55歳で骨髄転移・骨転移を再々発)
<「癌になることは不幸ではない!」製薬企業で長年医薬品開発を生業とした経験から、前向きに治療に取り組み、日々を幸せに過ごすことを伝えるブログです>

みなさん、こんばんは。
kazuです。

実は、一昨日(1/20)から再び入院となりました。
時系列で起きたことを記すと、1/19に
腫瘍科の外来診察で病院に行きました。
(この日には、全ての検査結果が出る予定だったためです)
この日の診察で、全身痛の原因が判明致しました。

結論を先に述べると、腎がんの遠隔転移(骨髄転移及び骨転移)でした。

再発転移(つまり増悪)ということで、5年以上に渡る治験は残念ながらここで中止となり、変薬することとなりました。

確定診断が出た決定的な証拠として、骨髄生検から腎細胞がんが確認されました。
また確認された腫瘍細胞には、予後が悪い紡錘細胞がんも含まれていました。

注)私の腎臓がんのタイプは紹介文では「淡明細胞型腎細胞がん」と書いていましたが、実は原発巣の生検ではほとんどが「淡明細胞型腎細胞がん」であるものの、ごく一部には紡錘細胞がんなど他のタイプの腫瘍細胞も含まれていました。
なので、今回「紡錘細胞がん」が突然発現したのではなく、元々存在していたものが増えた、と考えるのが妥当かと思います。

なお、今回のような事例(短期間で急激に転移が広範囲に広がったこと)は主治医自身経験がなく、また関係者に確認しても同様に経験がない未知の現象だったため、原因究明まで時間がかかりました。

それと、そもそも腎臓がんで「骨髄」に転移すること自体聞いたことがないということで、今回全身に急激に転移した理由は、まず最初に「骨髄」に転移して、その後で「骨」に転移したからでは、と主治医は推測していました。

今まで私は、腎臓がんの「肺転移(腎臓がん発見時に既に転移ずみ)」、「脳転移」と再発転移を経験しましたが、治療5年目を過ぎてから新たに「骨髄転移」と「骨転移」という、2つの再発転移(それに「骨髄転移」は、臨床例がほぼ無い希少タイプであること!)が生じたことは、流石にキツくは感じます。
しかし、以前から自分のスタンスとして述べているように、ここで落ち込んだり、ネガティブな感情に囚われて次の一歩を踏み出さなければ、負のループに巻き込まれるだけであり、また何もしなければがんが勝手に治ることはあり得ないので、今回の原因究明を踏まえて次のステップとして、私自身に一番効果的だと思われる治療法を主治医と共に選択し、前向きな姿勢で新たな治療法に取り組む姿勢でおります。

そして、今回外来診察から日を置かずに急遽入院となった理由として、主治医から「kazuさんに取って一番良い治療選択肢がどれかを考えた上で、根本治療を1日でも早く開始できるようにしたい」
と言われた結果です。

そして、診察の翌日である入院初日(1/20)には、次の化学療法として「オプジーボ(ニボルマブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)併用」という薬物療法(点滴)を行いました。
幸い、投与してから今日までの間は体調は安定しており、大きな問題は有りません。

今回の治療法の選択については、腎がんが骨髄に遠隔転移する事例は殆どなく臨床例が基本無いことから、主治医も複数の治療選択肢がある中でどれを選択するか、かなり悩んだようです。

その中で単純に腎臓がん治療ガイドラインに沿って機械的に決めるのではなく、患者側のこれまでの治療経緯を十分に考慮し「kazuさんの立場で一番最善の治療方法を考えた場合」と主治医が患者側に立った視点で考えて頂いたのが凄く伝わってきて、この先生が自分の主治医で本当に良かったと思いました。

〈後はオプジーボ+ヤーボイの治療法に至った経緯ですが、これはあくまでも私の治療経緯等を踏まえて主治医がkazu用の最適と思われる治療法を決めたものあり、他の人に当てはまる訳では有りません。各患者によって最適な治療法は異なりますので、主治医と相談した上で決めて下さい。また専門的な話が多いので、興味のある方が読んで頂ければ幸いです〉

治療の選択については、まず腎細胞がんのリスク分類(IMDC分類)で「紡錘細胞がん」ということもあり、高リスクに当てはまります。

なので、基本的に治療ガイドライン上高リスク分類に当てはまる治療法がまず該当します。

次に治験で行ったキイトルーダ+インライタで、キイトルーダは約3年前に規定の35回投与が完了し、そこからはインライタ(分子標的薬)の単独服用でした。
この治療で骨髄転移と骨転が生じたことは、結果的に転移を抑える効果が無かったということなので、インライタ単独はもちろん、インライタを含む併用療法も候補から外れました。

そうすると、併用治療として「オプジーボ(ニボルマブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)併用」か、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)+レンビマ(レンバチニブ)併用」という選択肢が残ります。

まず、PD-1抗体であるオプジーボは治験で中止したキイトルーダと同種のPD-1阻害剤であるため、同種のオプジーボの効果は疑問があるのでは?と思うかも知れませんが、キイトルーダは効果が無くて中止にしたのではなく、治験の決まり(35回投与で終了)で止めたのと、3年以上前に中止になっていることから、一概にPD-1阻害剤の効果が無いとは言えません。(というか、肺転移においては絶大な効果がありました)

また、オプジーボとヤーボイと併用した場合では、ヤーボイは今まで使用したことが無い、新たな作用機序であるCTLA-4阻害剤なので、当然効果は期待できます。

もう一点、今回インライタは使わない(使えない)という結論になっていますが、インライタのメインの作用機序はVEGF阻害剤であり、レンビマ(レンバチニブ)も基本的にはVEGF阻害剤系統の薬剤であるため、作用機序的な視点での効果に対して、ネガティブな前情報がある「キイトルーダ(ペムブロリズマブ)+レンビマ(レンバチニブ)併用」より、「オプジーボ(ニボルマブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)併用」の方が効果が期待できるとの判断に至りました。

他にも主治医から色々と説明をうけましたが、主に上記の理由で「オプジーボ(ニボルマブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)併用」が次の治療法となりました。

なお、今回の「オプジーボ(ニボルマブ)+ヤーボイ(イピリムマブ)併用」治療は、初回投与時に必ず入院が必要という訳ではなく、外来での化学療法を行う病院も多々あります。

では何故外来では無く、入院して経過措置を見ることになったかというと、オプジーボ・ヤーボイの副作用:自己免疫疾患(irAE)を気にしてでは無く、血中のカルシウム(Ca)濃度がかなり高く、オプジーボ・ヤーボイ投与によりもっと高くなったり、或いは薬効により骨に影響がでて、逆に急激な濃度低下があると命に関わることがあるため、随時血液データを取りながら何か有れば対処することが入院する第一目的とのことでした。

以上、波瀾万丈な経緯となりましたが、今は前向きな気持ちで新たな薬物療法に取り組んで、最大の治療効果と最小の副作用を期待しています。