『悪の芽』~貫井徳郎 | カズ&トモのリレーブログ

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何かの本の紹介で知り図書館予約しました。

タイトルと装丁の文字に惹かれます。

 

 

『悪の芽』~貫井徳郎

 

 

と、読了直後のTVのニュース

オリンピックの楽曲担当者が過去にイジメをしたことを告白していた雑誌記事が発覚。

 

あ、本の内容とこのニュース、似てるなぁ…。

共通してるのは、現在それなりの社会的地位にある人が、あるきっかけで過去のいじめを反省し後悔すること。

 

 

で、ストーリーは…

アニコンで無差別殺人が起きる。

犯人は主人公の安達が小学5年の同級生だった。

安達は、その人物がクラスで苛められるきっかけを作ったことを思い出す。

苛めの罪悪感を感じた安達は事件の真相を探り始める…。

 

 

何故いじめの対象になったのか?

とてもリアルに伝わってくる。

こんな状況は実際にもあるあるだ。

 

犯人の過去が暴かれることで、まず安達は自分と家族の保身を考える。

犯人を苛めたという過去が世にバレやしないかという不安と、もしバレたら社会的地位を失うという恐怖。

 

犯人の家族に会い、犯人の職場を訪ね、次第に真実が見えてくる。

と、自己保身だけでなく、犯人の気持ちを考えるように変わっていく。

 

 

ちょっとしたことで人生の運をつかみ損ね、

やむなく社会の底辺で生きる犯人

一方、順調に生きてきた安達との人生の対比

 

みんな必死に生きてるのにね。

社会の格差は歴然なのだ。

運に見放された犯人のやるせなさを思うと胸が痛む。

 

そして、ネットの世界は一瞬にして情報が拡散される。

一つ間違えば取り返しがつかない。

恐ろしい世界だ!

 

 

ただ、犯人が何故アニコンの場を選んだのか?

動機についての説得力がもっと欲しかった。

という疑問は残る。

 

「悪の芽」は誰の心にもある。

「悪」ではなく、「善の芽」もある。

みんなが「善の芽」を育てれば生きやすい社会になる、ということかな。