そして特別講演の三分前になって、パソコン抱えたA教授があたふたと現れた。
A教授は慌ててパソコンをプロジェクターにセッティングし、予定通り講演がはじまった。
司会のB教授はほっとしたような表情でマイクを手に取った。
「ただいまから○○大学A教授による特別講演、『精神科疾患の分類方法』を始めます。A教授よろしくお願いします。」
A教授は落ち着き無く首を振りながら講演をはじめた。
「精神科疾患の分類方法」というタイトルがプロジェクター画面に現れた。
「じゃあお願いします」
A教授の声とともにぱっと画面が変わった。
画面には○リゾーと○ッコロのアニメーションが現れた。
なんだこれ。
「ええと、最近私は自宅から大学に行く途中の道端にある雑草に興味がありまして。今日はそんな草花について解説したいと思います。」
へ??
そして○リゾーと○ッコロが画面上で雑草の解説をし始めた。
「これはセイヨウタンポポ。額が外に広がっているのが特徴だね。」
「これはナズナ。ペンペン草ともいうね。」
「これはヨモギ・・・」
ひたすらこれで数十分。
最後のほうになってA教授、
「あまり関係ないことばかりいってもB教授に怒られますから、精神科疾患の分類について一言」
「いまDSM-Ⅳというのが主流ですが私はこれは好きではありません。以上。」
特別講演は終了した。
講演が終わるとA教授は「忙しい、忙しい」とぶつぶつ言いながらパソコンを片付けてあわただしく帰っていった。
余談:
この総合勉強会は各大学が持ち回りで主催することになっていた。次の年はA教授の○○大学が主催する番だった。
日程が来ても○○大学から何も連絡が無く、結局すっぽかしたようである。以来この総合勉強会は自然消滅した。