<爆弾娘 その1からの続きです>
「皆様、A君の結婚式にようこそおいでくださいました。」
出だしから変よ。
「A君もきっと喜んでいると思うの。こーんなに大勢きてくれて。ねっ、そうでしょ。」
やっぱりちょっと変よ。
しかし、このあとは普通に教科書どおりのお言葉が続いた。
(爆弾娘もやればできるじゃん。もろマニュアル通りだけど)
「ええと、まだ時間あるわね。じゃあA君のエピソードを紹介するわね・・・。私とA君二人で初めて担当した患者さんがいたんだけど・・・
A君が診察に遅刻しちゃって、患者さん切れちゃってね。
怒って、外来の窓を割っちゃってね。
それから、受付のポスターをびりびり破いて・・・。」
もう禁句のオンパレード。
あげくのはてに
「まだ、時間あるわよね? もう一つのエピソードを紹介します。A君の診ていた患者様がお亡くなりに・・」
「えー、そろそろお時間が」
司会者ナイスフォロー。
「え、もう時間なの。」
あやういところでストップがかけられた。
彼女はA君のことが嫌いだったのだろうか。
いや、おそらく何も考えてなかったと思われる。
二次会でも彼女はぶつくさ言っていた。
「ぜーったい、まだスピーチの時間あったわよねえ!!」