〈イタリア旅行と日本侍 番外編 その1からの続きです〉


 留守番電話の件から一年余りが過ぎた。(一年よ、一年!!)アテクシはその悪夢を完全に忘れようとしていた。



 ある日、アテクシは試験の結果を確認するために教務に向かった。



 よし、単位落としてないわっ。



 安心して帰ろうとしたとき、教務のおじさんから呼び止められた。



「あ、なんかさっき大学に電話があってね。


S田さんて人だけど。」



はい?


今なんとおっしゃいました?




「それでね、そちらにTomyという学生がいるはずだから、連絡先を教えてくれって。

『勝手に教えられないから、本人から連絡するよう伝えますね。』っていっておいた。S田さんの電話番号はこれね。」



電話番号を控えた紙切れを渡された。



 そういやあ、行きの飛行機で大学の名前まで聞いてきたわね。アテクシペラペラいっちゃって、ばかばかばか!!





 しばらくアテクシは身の回りを常にキョロキョロしながら過ごすはめになった。




 もちろん電話番号は捨てたわよ。



幸いそれからS田氏の名前を聞くことはもうなかった。


さらば日本侍。