「ムカデ物語」 | 神即〈いのち〉、〈いのち〉即感謝

神即〈いのち〉、〈いのち〉即感謝

神とは〈いのち〉であり、それへの感謝が信仰だ。あらゆる違いがあっても、それは闘争の理由とはならない。我々は等しく〈いのち〉を生きているからだ。その理解こそが、新しい文明の思想軸となる。

 今だからこそ公表できるのだが、「屋久島〈いのち〉の充電ツアー」終了後、そろそろ空港に向かおうとしている時、うちの魔女が宿のシャワールームで異様な悲鳴を上げた。驚いて駆けつけると、指から血を出し、足元には巨大ムカデがいた。私は今まで何度もムカデにやられているので、それほど驚かなかったが、今回は巨大ムカデであり、彼女の様子もおかしいので119番に電話した。救急車を待つ時間も惜しいので、自分でクルマをぶっ飛ばして救急病院に搬送した。屋久島オリジナルという毒虫専用オイルを塗ったり、三種類の点滴をしてもらった。どうにかフライトに間に合ったが、ふらついている彼女のために航空会社が車椅子まで用意してくれた。三週間経った今も、右の人差し指がしびれているらしい。ある人から「ムカデは毘沙門天と縁がある」ということを聞き、京都の毘沙門堂を訪れると、確かに本堂の柱にムカデ札というものが貼られていた。そこで読経すると、毘沙門天が不思議な言葉を下された。

 

「よく来た。じつは私が使いをよこしたのだ。これで一巡したことになる。一千回目の護摩を速やかに勤めあげよ」

 

 山科毘沙門堂は、ちょうど10年前、居並ぶ天台宗の重鎮を前に、私が臨済僧から天台僧になった記念すべき場所である。そこに私を再度呼び寄せるために、毘沙門天は屋久島まで巨大ムカデを送り込まれたのだ。痛い目にあったうちの魔女には申し訳ないが、伝教大師が刻まれたという毘沙門天から直々に励ましの声を頂き、私は感無量である。一千回まであと70回の護摩。油断すると、今度は私がムカデに刺されそうなので、一層気合を入れて焚かせて頂きます。(笑)護摩928回 直近の予定はHPのイベント欄を御覧ください。「弘法護摩&オンライン」は随時受付中。町田宗鳳 | ありがとう禅 (arigatozen.com)