先日、大分県立美術館OPAMにて、映画『地蔵とリビドー』を鑑賞いたしました。

 

 

この映画の説明として、これ以上ふさわしいものはないと思える一文が、タイトルの下に添えてあります。

 

“個性を障害と捉える野蛮な社会が着せたレッテルを脱がして、ありのままの姿を映し出すドキュメンタリー映画。”

 

https://youtu.be/jrWvaDxbsMU

 

 

 

この映画に出演するアーティスト達はすべて、滋賀県甲賀市の多機能型施設「やまなみ工房」の利用者です。

画一的な行動を求める社会の中では「障害者」と呼ばれる人々。

彼らがこの映画でわたくしに教えてくれたことは、《他人の評価を気にせず自由に生き、表現することは最高に幸せである》という真実です。

まさにアドラー心理学を体現している彼らに、わたくしは心から憧れました。

それはもう嫉妬すら覚えるほど(笑)。

 

表現手段も道具も、誰からも制約を受けずに自由に選び、好きなだけ創作できる彼ら。

そして、その環境を準備する施設長はじめスタッフの皆さん。

やまなみ工房の活動に全幅の信頼を置き、子どもたちを託してくれる保護者達。

さらに、彼らの作品を(障害者アートとしてではなく)芸術として評価し、鑑賞する人々。

これらの幸せな条件が揃ったことで、個性が強烈な光を放ち始めるのです。

 

始めの頃、やまなみ工房は、内職をして工賃を得るという 「個性」とは無縁の生産活動を行う施設だったそうです。

そこでは、いわゆる一般社会の価値観を押し付けざるを得ず、彼らの個性は無視されていました。

しかし施設長は、それぞれが夢中になれることに取り組むことこそが大切だと気付いたのです。

何も無理強いせず、あくまでも彼らの自発性に任せること。

各自のペースで、せかされることなく自由に行うこと。

すると、彼らは穏やかに集中して好きな表現に取り組むようになったのです。

みんながみんな、何かを作ったり描いたりするわけではなく、運動をする人や、独特な行動をし続ける人、何もしない人もいます。

それも含めてすべてが自由。

すべては彼らの幸せのために。

そこには、彼ら一人一人への大いなる「尊敬」があると、わたくしは思います。

ここまで徹底して、相手をあるがままに受け入れ尊重するという姿勢に、強く感動いたしました。

映画監督の笠谷圭見氏も、敬意をもって彼らを撮っておられることが伝わってまいります。

一般的な目線では奇異に映る彼らの言動が、この映画の中では唯一無二の個性となって観るものを虜にするのです。

映像の陰影と、迫力ある音(音楽)に、内側からゆさぶられ、しばらく放心状態になりました。

 

施設長の山下完和氏と、映画監督笠谷圭見氏とのアフタートークもございまして、わたくし本当は、大変感動したことをお伝えし、感謝の言葉を述べたかったのですが、放心状態だったため(笑)、言葉にならず、そのまま退席してしまいました。

 

映画の余韻が、数日たってもまだ消えず、本日ネットで検索しておりましたら、なんと、やまなみ工房のドラマと、関連番組がEテレで再放送されることが分かりました!

 

11月9日 0:00~(8日深夜) 「アタシ イン ワンダーランド」

 

11月11日 19:00~ 「バリバラ×やまなみ工房 ドラマアフタートーク」

 

皆さま、ぜひぜひごらんくださいませ。

わたくしも、もちろん録画予約いたしました。