ミュージカル『ベートーヴェン』 








上演時間 2時間50分(25分の休憩含む )


日時:2024年1月19日17:00

会場:兵庫県立芸術文化センター 大ホール

出演:
井上芳雄 
花總まり
小野田龍之介 
木下晴香 
渡辺大輔 
実咲凜音
吉野圭吾 
佐藤隆紀(LE VELVETS・Wキャスト)

  • 脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
  • 音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
  • 演出:ギル・メーメルト


兵庫公演 初日を観劇

実は梅芸会員の先行発売に落選
一般発売はチャレンジせず
→取れる気がせず時間の無駄と判断
 
再演もすぐにあるだろうから それでいいかなと思っていたところ 
チケットをお譲りいただけることになり観劇が叶う

なにせタイトルが ベートーヴェン
流れる音楽もベートーヴェン様のはずだから作品に触れたいなと思うわね
どういう捉え方をするのかも気になっていたし

そして
観劇会場が兵庫県立芸術文化センター
標語芸文といえばベートーヴェン🎵






こちらの小劇場で郷古廉さんのリサイタルを楽しんだ
その際もプログラムはオール・ベートーヴェンだった

兵庫県立芸術文化センターには2体のベートーヴェン様がおいでになったはずだけど
建物入り口のこの方しか確認できず
確か大劇場の入口においでになったはずと
係の方にお聞きしたら1体は別のところに行かれたのだとか

この作品
2023年韓国で初演
その後 2023年12月〜日本で初上演

もちろん初見
実にシンプルで洗練されたベートーヴェンの音楽を作品の核にした素晴らしい作品になっていた

上演前 
舞台の緞帳は上げられている
そこは漆黒の世界

赤い文字で Beethoven
と まるでベートーヴェンの楽譜のなぐり書きのような筆書体の文字が印象的
ベートーヴェンのサインそのものなのかな

そして中央にピアノが1台のみ
まるでピアニストのソロコンサートのよう

嗚呼 ベートーヴェン様の音楽に触れられるのだなという期待に胸が膨らむ

上演後もその印象は変わらない

一見シンプルな舞台美術
しかしプロジェクションスクリーンの使用&多用で
洗練されているのに豊かに醸成された世界観

そこに
この題材の最大の魅力であるベートーヴェン様の音楽が主役として創り上げられていた
ベートーヴェン様の音楽世界に没入できる感じ

プロジェクションスクリーンには
空→青い空 荒れる空 不穏な空 茜空等 様々な表情が映し出され
ガタゴトという場面転換感は全く無く瞬時に転換が可能なため
瞬間的な感情や決定的な運命等を印象付けた

そして証明=光の使い方も効果的
光で心情を表現し
プロジェクションスクリーンと併用することで豊かな心情風景が表現された

あくまでもベートーヴェン様の音楽を重視し多用している
ある意味ジュークボックス型ミュージカル
しかし ベートーヴェン様の音楽とくればそうはいかない
あり物そのままをシーンに当てはめれば良い訳では無い
原曲を最大限活かしつつセリフを載せて編曲という作業がある
これは神業に近い

ミヒャエル・クンツェ&シルヴェスター・リーヴァイコンビのなせる業
そしてこの度もまんまとその神業に感動させられる

『エリザベート』『モーツァルト』
それらも然り
今も上演の度に観てしまうほどに魅力的な作品たち
全て
このお二人によるもの


誰もが耳にしたことのある音楽
そしてオーケストラによる演奏でガッツリ鑑賞される作品たち
生半可な気持ちではない覚悟のようなものが伝わってきた

ミュージカル モーツァルト!とは全く違う取り組み方

『悲愴』『月光』『英雄』『運命』『田園』『皇帝』『エリーゼのために』『交響曲第九番』などなど
見事にしっくりとミュージカル音楽になっていた

原曲をミュージカル曲に
唸るほど素晴らしかった
どれもこれもブラボーでしかないのだが
シーンとともに特に素晴らしいなぁと感じたのは

『月光』『第九』
第九はベタな第4楽章ではなく 第2楽章を効果的に使用していたことが 印象的だった

劇中で 不滅の愛 不滅の音楽と繰り返し歌っていた
これはベートーヴェンといえばの不滅の恋人とのことを核に描いていることになる

以前 衛星劇場で中村倫也さん出演の
『ミュージカル ルードヴィヒ ~Beethoven The Piano~』を観たことがある

5人の登場人物だけで もう一人のルードヴィヒを登場させた演出
白熱の演技で素晴らしいもので
ベートーヴェンの難聴を核にして生涯を描くものだった

今回のベートーヴェン
劇中では 有名な不滅の恋人との往復書簡
(多分本物の写しなのだろうな)
がプロジェクションスクリーンに映し出されたり往復書簡が空から舞っているシーンもあり
心を通わせた愛の証が表現されていた

そのプロジェクションスクリーンはシアターinシアターとなり
時には劇場そのものでベートーヴェンが音楽を奏でる場所となっていた

漆黒をベースに光で活かすため
ベートーヴェンのシルエットが残影となる残像効果!
これは脳裏にかなり印象的!!

東宝独特の身内にだけ分かるオフザケ的なシーンがなくカンパニーも歌上手さんが光り素晴らしかった

井上芳雄さんは やはり金太郎飴のように
今回も井上芳雄感が拭えなかったけれど
これについてはいつもある程度の覚悟をしていくので
今回はむしろ低音が良くなっているなぁと
おおっと思えることがあったり
お花様は加齢による高音のキツさが拭えなかったけれど相変わらず可憐で哀しいお役がお似合いだなぁと再確認した

違うキャスティングで観てみたい気持ちが強いけれど やはり興行的に初演はこうなのだろうなと思う

作品が素晴らしいので今後も再演を重ねるのを楽しみにしたいと思える作品だった

兵庫はベートーヴェン公演最期の地
兵庫公演の初日のこの日
響くなぁと呟いておられた通り
クラシック公演向けに作られた大ホールてのミュージカル上演

今回 私は後方のお席だったけれど 綺麗に音やセリフが届いていて大満足!

カーテンコール最後に花總さん&井上さんからご挨拶あり
お二人共 芸文は中ホールは経験があるけれど大ホールは初めてとのこと

ベートーヴェンにピッタリのホールとお話だったとおり まさに!

初演公演 観ることが叶い本当に良かった

ミュージカル作品の中でもかなりお気に入りの作品になりそうだ

そして
今年は私のライフワーク 2年に一度ベートーヴェン第九を歌う年
またベートーヴェンの音楽に深く触れ触れる機会
新たな想いで取り組むことになりそうだ
こちらも楽しみ🎵