10年ほど前に6年生を担任していた時ことです。
それまでは、文章を読み取る授業の比重が大きかった国語の内容に、まるでテレビ番組のような構成の授業を展開する単元が入ってきて、「ほう、これはまた斬新な!」と思ったことがあります。
司会者がいて、レポーターがいて、コメンテーターのような立場のものがいて、聞き手がいる。
今の新しい国語では、「話す」「聞く」の技能にねらいを絞った練習教材が数多くあり、話し合いや説明・報告など、総合的に話す力、聞く力を育む教材が設けられています。
また、「書く」ことをねらいとする教材も、生活文を中心とした単なる「作文」ではありません。
他教科の学習内容と関連させたり、図表や写真などの資料を活用して調べたことや自分の考えたことを表現するなど、様々な洋式の文章を書くようになっています。
これからの時代、討論とかプレゼンテーションの能力といったものが、国際社会を生き抜く上で、日本人にも大切になってきます。
そういった状況をふまえて、上記のような新しい国語の学習が登場してきたのでしょう。
3.11の震災と原発事故のため、アメリカに帰国することになってしまいましたが、前任校での外国語活動の時に、中学校から来ていた英語指導助手の先生がいました。
彼女は、金髪にブルーの瞳を持ち、小学生の誰もが「アメリカ」をイメージするようなカリフォルニア娘で、アメリカの政治にも関心があり、オバマ派でした。
「なぜ、オバマなの?」
と、聞くと、
「彼は、自分の主張をしっかり述べるし、討論会などでもアグレッシブで、いい!」
とのこと。
「ははあ、彼女が言っていたのは、これだわ。」と、今度の大統領選挙の時に感じました。
2012年の10月に行われた1回目の候補者討論会の時には、共和党のロムニー候補の大統領批判を鷹揚に受け止めていたオバマ大統領の支持率が一気に下がってしまったのです。
2回目の討論会では、1回目と違って攻めに出たオバマ大統領が、ロムニー候補に対し、彼が話し終わらないうちに「いや、それは違う!」と、ガンガン自分の意見を言うんですね。
日本人から見たら、「いいのぉ?」というような状況だったのですが、傍聴者の感想は、「オバマの勝ちだ。」というものが大半でした。
日本人的な「言わなくても分かるだろう。」は、通用しないお国柄。
フロリダでの3回目の討論会でも、積極的な攻めに出て、世論調査では圧勝。
彼が、この選挙の勝利を決定的にしたのは、投票日直前にアメリカ東海岸を襲ったハリケーン。
水害、強風、火災とうの被害が続出する中、選挙戦の遊説を急遽中止しワシントンに戻った彼は、テレビの生中継で国民に対策や避難を呼びかけ、各機関に非常事態体制を取らせました。
この時の「最高指揮官」としての彼の姿に、「この大統領なら!」という支持が広がっていったんですね。
こういった指導者の発言、態度から、国際社会を生きる私たちも学べることが多々あります。
参 考