
私はピアノ専攻ではありませんが、人のレッスンを客観的に見聞きするのは、とても勉強になります。
聴講したレッスンは、パーヴェル・ネルセシアン(チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院ピアノ科教授)による中高生のクラスでしたが、音楽の中の句読点(フレーズ)や起承転結(構成)を整理しながら、fやpの出し方についても、その場に相応しいfやpを1つ1つ考えていくものでした。
このようなことは、ロシアンに限ったことではないですが、レッスンでは、作曲家の持つ特徴も踏まえて、楽譜を丁寧に読み解いたうえで、その音の持つ役割を考えながら、とても繊細な表現、微妙なニュアンスを作り上げていく「芸術性」が求められていました。
私がロシアンに興味を持つきっかけとなったのは、その色彩豊かで柔らかな音色を作り出す奏法でした。
単発の受講では奏法まで習得出来るはずもなく、せめて耳を養いたいとの思いで、聴講に出かけたのですが、パーヴェル・ネルセシアンのピアノに惹きつけれるのは、美しく多彩な音色のみならず、そういった芸術性にこだわり、1つひとつの音にイメージを持たせてつなぐ、緻密に組み立てられた演奏だからなんですね

ひとつの物語を聞くように、最後まで飽きさせることなく、聴衆の心をつかんで離すことがありません。
テクニックや知識の無い、まだ小さな子どもたちにも、出来ることがあります。
音色やハーモニー、リズム、ニュアンスがもたらす表情の変化は、幼少期から経験していきたいものです

ピアノでも、ブラスバンドでも合唱でも、初心者に大きな音ばかりを求めるような指導は、困りものですね

幼少期から、大味料理やジャンクフードばかりを食べさせたのでは味覚は育ちません。
将来求められること(芸術としての音楽)を考えたら、幼少期から繊細な表現を感じ取れる、イメージ出来るような教育をしたいものだと思います。
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