読書記録 ケタはずれのスゴい人たち

「日本国怪物列伝」 福田和也著

 (角川春樹事務所)

 

 

 

 

 

 昔は、職場や部活でとんでもない上司や先輩がいた。

 

 いろんな意味で、違法なことやハラスメント的なことができない仕組みになり、有名人・有力者となると私生活まで メディアだけでなくネットで情報が流されるようにもなり、あんまり破天荒な行動はしづらくなった。。。。ように思う。

 

 この本は、昭和前期までの おっさんや金持ちが自由奔放だった時代の 怪物的な連中の事績を書き連ねている。

 

 たとえば、有り余る資金力で道楽を究め、その一方で日本文化の保護・発展に寄与した武智鉄二、

 

 戦時中、伝統芸能の担い手が軍需工場に勤労動員されると聞くや、親が経営する工場で雇用し衣食住の面倒まで見て保護に努めた。

 

 また、自身がプロデュースする歌舞伎に稽古時の日当まではずんで歌舞伎役者を出演させた。。。。。

 

 など、日本文化の承継に私財を費やして貢献する一方、映画「白日夢」やら女性関係やら京都・祇園での遊蕩やら、スケベさも常人を超越しまくっている。。。。。

 

 

 

 

 

 そのほか、北大路魯山人ら 文化人・政治家・財界人などのエキセントリックながら 日本の文化・思想に影響を与えた怪人たちの逸話がいっぱいで、再読しても飽きがこない本です。

 

 

 さて、そんな中で軍人として取り上げられたのがこの人。。

 

 辻政信。。。。

 

 

 

 

 

 安彦良和さんの「虹色のトロッキー」から、関東軍参謀時代の辻政信です。

 

 

 

 

 「失敗の本質」で取り上げられた6つの事例のうち、3つ(ノモンハン、ガダルカナル、インパール)に関わり、敗戦後は身を隠して、東南アジア・中国・日本国内に潜伏し戦犯追及を逃れ、戦後は国会議員を務め、ベトナム戦争前にラオスからハノイに入ろうとして消息を絶った怪人です。

 

 本書でも、帝国陸軍のカリカチュアとして紹介されています。

 

 

 

 次の この人も 昔 江川達也氏の「日露戦争物語」で知り、今回興味深く読みました。

 

 海軍軍人の 八代六郎です。

 

 

 

 

 「日露戦争物語」でも豪快に描かれていますが、それだけでなく、戦死した部下の家族の生活のため私財を投げ打ち、海軍大臣まで務めたものの、借金取りに追われていたという義侠の軍人でした。

 

 海軍大臣になったのも、海軍最大の汚職事件であるシーメンス事件発生により、金銭に清廉だったことからお鉢が回ってきたもので、海軍大臣として峻烈に事件の関係者を処分しました。

 

 

 

 

 「日露戦争物語」より、日清戦争の黄海海戦からです。