NHK―Eテレで作家で介護保険などの著書もある沖藤典子さんの老老介護の話がありました。決して仲の良い夫婦だったと言いますが、介護はやり遂げたという。介護保険については、今、大きな見直しがされています。関連して障害者福祉との統合を視野に制度変更が進んでいます。ここ5年だけてみても制度の変更が相次ぎ、長期の計画策定ができないという困難を与えています。場当たり的に対応することが普通になっています。これは、国民にとって決して良いことだとは思えません。
「■急激な見直し、苦しむ現場 大西秀人さん(高松市長)
相次ぐ制度の見直しは、急激すぎます。現場はとてもついていけません。
一つ目は、要介護度が軽い人向けのサービスです。
昨年の社会保障審議会の部会で「要介護1、2」の人向けの介護保険サービスの一部を、(市町村の)地域支援事業に移すかどうかが議論されました。これにはびっくりしました。
なぜなら、(要介護1、2よりも軽い)要支援の人の一部サービスは、全国一律の保険給付から外れ、市区町村の独自の事業に移行している最中です。これに現場では四苦八苦しています。このサービスの新しい担い手として、民間事業者が期待したほど手をあげてくれない。小さな町村は人材が少ない。簡単に移行できる話ではないのです。
その検証もできていない段階で、今度は「要介護1、2」を移行する話が出てくる。あまりに時期尚早だと感じました。今回は押し戻したというか、厚生労働省は見送り方針を示しましたが。
サービスの対象を(要介護3~5の)重度の人に限定するのは、簡単にやらない方がいい。要介護度が軽くても認知症の人はいます。高松市では「要介護1、2」の人の約6割が認知症です。保険給付から外したら、対応が難しい事例が出てくる。保険料を払っているのにいつまでも介護保険のお世話になれない人が増えれば、保険としての信頼がなくなってしまいます。
もう一つは利用者負担。2015年に一定所得以上の人の自己負担が1割から2割になったばかりで、18年にはそのうち現役並み所得者は3割になる方向です。中には必要なサービス利用を控える人も出て逆に重度化してしまう。そうなれば本末転倒です。
確かに財政は厳しく改革は待ったなし。伸び続ける社会保障費を抑えないと、国の財政自体が持ちません。では、なぜ国は今年4月に予定されていた消費税率引き上げを、2年半先延ばししたのでしょうか。引き上げた分で低所得者の介護保険料を軽減すると約束していたんです。これがなくなったのは大きい。
この先、高齢者ばかりになって介護する人は減っていきます。官民一体となった地域の中での助け合い「地域包括ケアシステム」を作ることが重要。高松市では44のコミュニティ協議会ごとに取り組んでもらう計画ですが、問題は地域包括ケアが何のことか、一般市民にほとんど認知されていません。まず言葉が難しい。「包括」と言われても、私も最初は、よく意味が分かりませんでした。
もはや介護の世界だけで負担のあり方を探っても限界があります。医療との連携はもちろん、障害者施策との整合性をどうするかなど、社会保障全体からみた見直しを考えることが急務だと思います。」
障害者政策は保険制度ではありません。それなのに統合しようとする無理があります。長期的な視野に立った施策がなければ、国民にとって苦しいことになるのではないかと思います。
