こんにちは、かぜです。

久しぶりの投稿となりすみません。



完全フィクションです。

夏の終わり、肌寒くなり始めた夜。

グラスを持つ由依の綺麗な手。

それを眺める私。


「理佐は、私のこと好き?」


グラスを机に置きながら、由依はそう聞いてきた。時々、由依はこの質問をしてくる。別に恋人でもないのに。

だから、何度も何度も答える。


「好きだよ。」


由依の好きとはきっと違うけど。何度も心の中で答える、由依に恋している、由依を愛していると。


「それはさ、私と付き合いたいとか、そういう好き?」


由依は勘が鋭い。きっとずっと前から気づいていたのだと思う。でも、この関係を終わらせたくなかったのだろう。私だってそうだ。でも、由依は真実を求めようとしている。


「由依は私のことそういう意味で好きなの?」


ずるい。わかっている。自分の気持ちを最後の微力ながらも隠し通そうとする。


「うん、好きだよ。」


右下に視線をずらしそう呟く由依。

何年一緒にいると思っているんだ。何年由依に恋をして、何年見てきたと思っているんだ。そんな見えすぎた嘘、見えすぎた優しさに甘えるわけにはいかない。


「そうなんだ。」


まだ、いや、この気持ちは墓場まで持っていこう。
由依に知られてはいけない、伝えてはいけない気持ちなんだ。


「理佐は違うの?」


でも、嘘はつけない。だって由依みたい嘘が嘘だとバレれば真実を伝えていることになる。


「、、、、」


「別いいじゃん、女性が女性を好きでも。」


由依はまっすぐ私の目を見て言い張った。由依がそう思ってくれていることは嬉しい。でも、、、


「、、、、」


「理佐って自分のこと何も教えてくれないよね」


自分のことを知られることに恐れを感じる。


「ごめん、急用思い出した。帰るね。」


知られたくなかった。


















あれから3年の月日が経った。
定期的に由依と連絡は取っていたものの、会うことは避けた。

由依と最後に会ったお店。
3年ぶりにあのグラスを揺らす。
忘れたはずなのに、思い出してしまう。いつの日かもわからない思い出が次々と溢れ出した。

帰ろう、このままだと制御が効かなくなる。

そう思って席を立った時、


「理佐」


その声で体は動かなくなり、片隅に詰めた思い出が顔を出した。


「由依」


「隣、いい?」


私は再び席に座り直した。
私の体は由依によって操作されているように。


「久しぶり。元気だった?」


「うん。」


3年ぶりだからだろうか、2人の会話はぎこちなく感じる。
少しの沈黙が続き、由依が口を開いた。


「あの時は、ごめんね。」


あの時が何を指すのか明瞭であった。でも、あの日のことを大きな出来事にしたくなかった。


「あの時?」


だから、とぼけたふりをした。


「やっぱり、何でもない。」


私の思いを読んだのか、そう微笑んで首を横に振った。
いつも、いつもはその優しさに甘えてしまう。でもあの日だけは甘えることさえできなかった。


「由依は元気だった?」


私が質問をすると、待っていたかのように由依は微笑んで、


「うん!」


そう元気に返事をした。私が惚れた日と同じ笑顔に胸がギュッと締め付けられるようだった。



それからはあの話題には触れることなく話に花を咲かせた。
そんな会話にも刺激が欲しい私は欲張りなのだろう。自分の話をしない私が期待を込めて


「私、彼女できたよ。」


由依を埋めるための彼女を、由依に自慢した。
自分の醜さに呆れてくる。


「ふふ、幸せそうでよかった。」


少しくらい、悲しい表情を見せてくれると期待していたが、結果はわかっていた。君は満面の笑みを私に向けた。

わかっていたはずなのに、辛くなった。

でもきっと、この恋に終止符を打つのに1番良いタイミングのように思えた。




「好きだったよ、由依」





「知ってたよ、ありがとう」