久しぶりの書き込みとなります。
今年(2024年)になり、ペンタックスから21年振りにフィルムカメラが発売になりましたね。しかもハーフ判で。
その名はペンタックス17。
ペンタックスのフィルムカメラプロジェクトは、発表があってから何度か動画メッセージを見ましたが、なかなか形が見えずに、本当に実現できるのか?と、期待と不安が入り交じった気持ちで見守ってきました。
本当にやり遂げた点は評価すべきですね。
見込みよりも大幅な発注があったようなので、品不足であっという間に売り切れになったのは、とりあえず良かったというところでしょうか?
地方住まいの私は、まだ実物を見たことは無いですね。
たまに大手カメラチェーン店を覗いても、カタログすら置いていない状況。
このカメラを入手するかは、有り余るほどカメラコレクションがあるので分かりませんが、いずれ実物を見てみたいですね。
さて、前置きが長くなりました。ハーフ判という事で、今のカメラコレクションの引き金となった、オリンパスペンを筆頭に、ハーフ判カメラのコレクションも、それなりの数になりました。
その中で、オリンパスペンの次、1960年3月に発売されたペトリハーフがありました。
なかなか魅力的なデザインとトリガー式巻き上げ、グリン・オ・マチックファインダーなど独自の機能を盛り込んでいましたが、あまり売れなかったのか、それほど見かけませんし、状態の良い物となるとなおさら。
その中で、ようやく入手出来たペトリハーフ。これは以前に記載したので詳細は省きます。
記事にしたペトリハーフはグレーの革の機体でしたが、あまり状態が良くなかったので、あれからもう少しマシな状態の黒い粗目パターンのシボ革タイプと入れ替えています。
今回新たに入手成ったのは、ペトリハーフの後継モデルであるペトリコンパクトEです。
1960年12月発売となっています。
ペトリハーフの主な機構はそのままに、セレン光電池を使った露出計を内蔵したものです。
限られたスペースに露出計ユニットを無理やり盛り込んだ形なので、正面デザインは厳つくなってしまいましたが、これもどことなく愛嬌があって憎めない姿ですね。(笑)
ペトリのカメラは、本当に状態の良い物が少なくて、カバーが錆びていたり、メーター不動、メカ固着、レンズもガラスが柔らかいのか、傷だらけ、クモリだらけの物ばかり。
今回入手出来たものは、レンズの中玉には少し汚れがありましたが、前玉の傷も少なく、カバーも凹みや錆も少なく、ラッキーと言えるかもしれません。ただ、裏蓋のシボ革にテープ跡がありこれが唯一の残念ポイントでしたが・・・
ペトリハーフと並べて見てみましょう。
上がペトリコンパクトEで、下がペトリハーフ。
トリガー機構や、搭載レンズは全く同じ。
3群4枚のペトリオリコール28mmf2.8 です。
A.C.とはアンバーコーティングの事だそうです。
しかし、このトリガーの刀のようなデザイン。シャープでカッコいいのですが、先端が尖っていて痛い。今では危なくてPL法に引っ掛かりそう。
巻き上げとチャージはリズミカルに出来て、良いのですが。
それから、両機種とも、アイレットがありません。
なので、底面の三脚穴にネジ付きのハンドストラップをねじ込んで片手でぶら下げるスタイルで使わざるをえないです。
速写ケースは、用意されていなかったようなので、この点は少し不便かもしれませんね。
上から見た所。
ペトリハーフは優雅なラウンドフォルムですが、コンパクトEは角ばった印象。
露出計は幸運にもまだ生きていて、光に反応して針が元気に動いてくれています。
露出計は絞りとシャッターとは連動しておらず、あくまで手動での設定となります。
リコーCADDY(1961年7月発売)なんかもそうでしたね。
オート搭載機種は、1962年7月発売のペトリハーフ7となります。
フィルムカウンターは自動復元式を採用していて、この点はオリンパスペンより優れている。コンパクトEでは露出計を入れたために、巻き戻しクランク側に移設されていて、コストがかなり掛かったことでしょう。
このカメラを入手した当初は、古いなりに汚れやカビ、動きも粘り気味だったので、とりあえず分解して手入れをすることに。
トップカバーは、ネジ1本と巻き戻しクランクを外してから、基部にあるカニ目リングを外すだけで簡単に外すことが出来ました。
露出計はボディではなく、トップカバーに装着されていました。
フィルムカウンターを動かすために、スプールの回転力を、巻き戻しクランク側に伝えるための仕組みが少しだけ見えます。
ペトリハーフのトップカバーを外した写真です。仕組みの違いを見てみます。
コンパクトEのフィルムカウンターは、単なる部品の流用で作られていないのがわかります。
ハーフ判の火付け役のオリンパスペンは、メカ的には徹底的にコストダウンを図ってシンプル化していたのに対して、ペトリハーフやコンパクトEは明らかに部品点数が多い。
ぜったい儲かってなかっただろうなあ・・(大きなお世話w)
トリガー巻き上げや、低速シャッターの動きが粘っていたので、ガバナーをベンジンで洗い、テフロン混合オイルをベンジンで薄めた物で注油。
シャッター羽根もうっすらオイル染みがあったので、ベンジンで根気強く洗い、低速粘りは解消し、機能は戻ったようです。
写真には撮りませんでしたが、レンズの中玉に水滴状の汚れがあったので拭い取りました。前玉や後玉に、カビ跡は少し残りましたが、良くありがちな傷やクモリはあまり無く、画質も期待できそうです。前のペトリハーフではレンズの傷の影響が少しあって、今一つヌケが良くなかったので…
さて、底部の巻き上げ機構は、ペトリハーフと全く同じで、チェーン駆動を使っています。
この部分はとてもユニークですし、コストもかかっていますね。この辺も軸部やチェーンに注油しておきました。
入手当初よりだいぶ軽やかに巻き上げが出来るようになったと思います。
元に戻してスッキリしました。
ハーフ判が再び注目されていますので、これを機にフィルム写真が少しでも盛り上がったら良いですね。
今回のペトリコンパクトEのレンズ、どんな描写をしてくれるでしょうか?楽しみにしておきましょう。