妊娠中のカフェイン、子供の行動障害とは無関係 | かずのつぶやき

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妊娠中のカフェイン、子供の行動障害とは無関係

 妊婦さんからの質問で多いのが相変わらず「コーヒー飲んでもいいですか」「カフェインはいいんですか」です。

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 今回、5~6歳児3,400人超を対象とした研究で、子供の行動障害と母親が妊娠中にカフェインを摂取したことの間に関連性がないことをオランダ Tilburg UniversityのEva M. Loomans先生たちは Pediaericsオンライン版 7月9日に発表しました。 (ロイターヘルス)

 家庭や学校で多動性、注意力散漫などの問題が認められる確率は、妊娠中にカフェインを1日425mg以上摂取していた女性から生まれた小児において増えている訳ではありませんでした。

 カフェイン425mgはおよそカップ3杯分(24オンス:約670cc)のコーヒーに含まれる量にあたります。

 ただし、これでカフェインの容疑が完全に晴れたという訳には行きません。

 その理由のひとつに研究者たちが問題行動以外の発達障害について調査していなかったということが挙げられます。

 また妊娠中のカフェインの摂取が、小児が大人になった時の後年の行動に影響を与えるかという疑問について調査した研究はわずかであり、結果も一致していません。

 妊娠中にどれほどの量のカフェインを摂取してよいか、という問題はなかなか複雑です。カフェインと流産または早産のリスクが関連している可能性があることがここ何年かの間に小規模な研究数件によって示されていますが、最近の複数のより大規模な研究では、わずかなリスクの増大も示されていません。

 こういった問題は、目的の要因だけによる影響を検証することはなかなか難しいことです。
 
 例えばカフェイン(コーヒー)について考えると、コーヒーをたくさん飲む人はタバコを吸う人が多いとか、コーヒー好きの人のライフスタイルが結果に影響を与えているかもしれません。研究ではカフェイン以外の要因による作用を注意深く取り除いていかなければいけません。

 さらに、1日200mg(12オンス:300cc強のコーヒーカップ約1杯分相当)を摂取しても、おそらく妊娠にリスクはもたらさないだろうと、American College of Obstetricians and Gynecologists(ACOG)は2010年に発表しました。これは以前“適量ならカフェインと流産は無関係”と題してお話しました。

 しかし、母親のカフェイン摂取が子供の発達に何らかの形で影響を及ぼす可能性があるかという疑問は残されたままです。しかし、影響を及ぼすことをしめす報告は実はこれまでにほとんど存在しません。

 むしろ懸念の多くは動物実験に由来しています。この結果が人間にも当てはまるかは不明です。

 今回の研究では、出生前の母親のカフェイン摂取と生まれて来た子供の「問題行動」には関連性がないという結果でした。

 この研究はアムステルダムの小児3,439人が対象になっており、対象になった子供の母親が妊娠中の生活習慣などの因子に関係する詳しい質問票に記入しました。子供が5~6歳の時点で母親及び教師に対して行動障害に関する調査を行いました。

 総体的に見て、対象になった児の約5%に多動性や注意力散漫などの何らかのタイプの行動障害が認められました。しかし毎日大量のカフェインを摂取した母親から生まれた子供のリスクが高くなっているというわけではありませんでした。

 今回の研究では、母親の自己申告によるカフェインの摂取と、母親の報告による子供の行動の総体的な関係を調べたに過ぎません。
 カフェインによる小児の長期的な発達について解明すべきことはまだ数多くあるとLoomans先生は話しています。

 なんで妊娠中のカフェイン摂取についてこうも神経質なのでしょうか。実際に今まで問題になる例があったのでしょうか。

 そりゃ、摂りすぎるとカフェイン中毒といって神経症状や消化器症状、循環器症状をはじめさまざまな身体症状があらわれ、大量に摂ると死ぬこともあるそうです。

 それと、上にも書いてありますが動物実験で、1日1回、体重1kgあたりカフェイン200mg以上を飲ませていると異常が起こるとのことです。

 実験方法はまちまちですが、どの実験でも普通の人が普通に飲むカフェインの量よりはるかに大量に使われています。ネズミの体重をヒトに換算すると、1日に10g(コーヒー100杯)以上のカフェインを飲むことになります。人間では50~100gが致死量と言われていますので異常が出て当然でしょう。
 ただ、1日に100杯コーヒーを飲む妊婦さんはいないでしょうし、そもそもネズミと人間は違います。

 コーヒー好きの妊婦さんはわざわざまずいカフェインなしのデカフェなんか飲むより、おいしいコーヒーを入れてリラックスされたほうがお腹の赤ちゃんにも良いのではないでしょうか。

《おまけ》

以前、うちのHPに“妊娠中のカフェイン摂取”をアップしたら、いくつかのサイトに引用されました。
けれど、結局ハーブティーノンカフェイン製品の宣伝です。

 ちなみにノンカフェインのこのサイト、私、監修していることを今まで知りませんでした。

 おい!勝手に引用すんな!