2013年に出版されたアドラー心理学をベースにした本書は、当時の僕が読んで、「なんだかすごい本だけど、よく分からないな」という印象でした。

 

それから10年後、改めて読み返してみたときに、ようやく意味が分かるようになった気がしたので、少しまとめてみたいと思います。

 

まずは、今勤めている事業所の理事長さんが、この本を読んで拒絶感を持った箇所から。いわゆる「トラウマの否定」ですね。フロイトでは過去に原因があって、今の問題が生じているという、分かりやすい立場を取りますが、アドラーの場合、過去に意味はなく変えられるのは未来だけだ、という立場を取ります。トラウマを抱えている方々にとっては憤慨ものなのかもしれませんね。

 

次に課題の分離。僕が一番印象に残った考え方でした。ある出来事を、それは誰の課題なのか?と考え、他者と一定の線を引く事。そして余計な関与をしないで、必要な時にだけ援助をすると言う所です。

 

そして「共同体感覚」。これこそがアドラー心理学の到達点であり、ひいては自分を宇宙の一部と、とらえるという事なのです。でも抜粋してもよく分からないですよね。とりあえず、問題点を解決するときは、現在の属している共同体の一つ外側の共同体から見ると、良いそうです。人はどんな方も、いくつもの大きな共同体に属していますから。

 

そして、人は自分に価値があると思えたときにこそ、勇気を持てます。そのためにも、人を褒めても𠮟ってもいけなくて、ただ「ありがとう」と言えればいいのですよね。

 

自己への執着を、他者への関心に替えることも重要です。自分の事だけを見ているというのは、肝心なことを見失っている状態なのです。そして他者のことを信頼できない、他人は敵だという方は、まだ自己受容が出来ていなくて、他者信頼が不十分という、ことなのかもしれませんね。

 

ではどのように生きればいいのか?「いま、ここ」を真剣に生きると言う事。人生は山の頂上を目指す登山ではなくて、瞬間の積み重ねです。いつ死んでも良いように、今を真剣に生きるのが良いのです。

 

そして、幸福とは貢献感であると言う事。常に他者貢献という導きの星を見失わなければOKだそうです。他者貢献とは他人の犠牲になることではなくて、自分が幸せであることが前提です。

 

以上重要だと思う所を、解釈しながら抜粋してきました。

(kindleの本のマーカーは、結構便利な機能ですよ)

 

こう見ていくと、やはり当時画期的な本だったと思います。10年経って、すっかりというか、ようやくというか、世の中に考え方が浸透してきた感じがしますね。続編の『幸せになる勇気』も、機会があったら紹介したいと思います。

 

ここまで長文をお読みいただき、ありがとうございました^^