今回は、「社外での暴力行為をした社員への対処法は」 と言うことをお話してみたいと思います。
社外の出来事であっても、それが会社の対面を傷つけるような場合には、懲戒解雇は可能です。
本来、懲戒は会社秩序違反に対しておこなわれるものですが、社外の出来事でも、会社の信用・対面を傷つけたような場合には懲戒の対象になります。
社員は、労働契約の際、会社に対する誠実義務を負っています。これにより社外の行為であっても、企業秩序を乱すことがないようにすべきであり、この義務に違反した場合は懲戒の対象になるわけです。
この点について、判例では、「会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上で行なわれたものであっても、これに対して会社の規制を及ぼしうることは当然認められなければならない」(最判昭49・3・15 日本鋼管事件)
として、社外の出来事でも、会社の社会的評価が毀損されるような場合、事業活動に支障をきたすような場合など、企業秩序維持のための懲戒権を認めています。
懲戒権行使の判断基準としては、当該暴行の態様、傷害の有無、程度等から当該行為が会社の社会的評価におよぼす悪影響が相当重大であるかどうかがポイントになります。
たとえば、傷害の程度が重く、新聞等で会社名が報道されるなどして会社の社会的評価が著しく毀損されたような場合は、懲戒解雇処分の対象になると考えられます。
その程度にいたらないような場合には、傷害の程度、示談の有無、本人の反省の程度、暴行事件によって生じた事業運営の支障の程度等から懲戒処分の要否および懲戒処分の種類を検討すべきでしょう。
それでは、また!
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