#1230 映画『ミッシング』 | 特に役に立つわけでもないブログ

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個人的な雑記ですから。

 

 

 

 

 

久しぶりにはらわたにズンッ!と響いてくる映画でした。映画の内容は、一人娘が行方不明となってしまった夫婦や、その周りの人々を描いた話。その夫婦の妻、つまり行方不明になった娘の母親役を演じた石原さとみさんの怪演…いや、狂演と言ってもいいのかもしれない演技は、娘の身を案じながらも世間の目に翻弄されてヒステリックになっていく母親を見事に演じ切っていたのではないかと思います。あるシーンでは、前に石原さとみさんが出演した大河ドラマ『義経』でも、石原さんが演じた静御前が鎌倉幕府に子供を殺害され、狂ったように叫ぶシーンがあったのを思い出しました。石原さとみさんと同年代の俳優の中で、ここまで感情を顕わにする演技ができる役者はどのくらいるのだろうかと思うと、現在の演劇界で希少な存在なのではないかと思いました。

 

 

 

 

 

この映画では娘が行方不明になった夫婦を描くだけでなく、その周りの人々を通して人間の二面性を描いているのも秀逸なのではないかと思いました。ニュースをセンセーショナルなエンターテイメントとして報道するテレビ局や自らの正義を振りかざすSNSの住民がいれば、苦しい中でも夫婦を支援してくれようとする漁協の人や印刷所のお父さんがいて、人間とは不思議なものだと思わされます。

 

 

 

 

 

この映画の中でワタクシ的に一番刺さったシーンは、ラスト近くで同じように行方不明になった少女が無事に見つかりこの夫婦の前に現れたときに、それまで感情を表に出さず妻を見守ってきた青木崇高さんが演じた夫が一気に感情的になり泣き崩れるというシーン。男というのは自分もつらいのに、自分よりも感情的な人がそばにいると逆に冷静になってしまうというか、ワタクシにもそのようなところがあるので、無事だった少女の姿に「良かった…」と泣き崩れる夫の姿に、それまでの心労が一気に噴き出したように見えて、ちょっと泣きそうになりました。そのシーンを受けてのラストで、石原さとみさん演じる妻の表情が少し穏やかになったように見えたのも印象的でした。

 

 

 

 

 

ただし、この映画はスカッとエンディングを迎える映画ではありません。ちょっとネタバレ的ですが、モヤモヤとした感情を引きずったまま終わってしまいます。なので、そのモヤモヤとした感情のまま帰宅して、思わずネットで子供の行方不明件数を調べてみると、2021年に10歳以下の子供の行方不明者届けが出された件数は1010件(警察庁調べ)。それだけ今回の映画に描かれていたような親がいると思うと、ちょっと唖然としてしまいます。少子化だの子育て支援だのと政治家は言いますが、子供を守るためにもうちょっとしなければいけないことがあるのではないかと思わされました。

 

 

 

 

 

 

って子供のいないお前が言うな!と言われそうですが…(^^;