この小説をご覧になって下さる皆様に

お願い!!ことよろ

下の2つのリンクをポチしてください!!


→ 人気ブログランキングへ

→ にほんブログ村 小説ブログへ

  にほんブログ村


登場する人物、団体、名称はすべて架空のものです。

この小説は

”Obsessed with you”、

”Forbidden Affection”との

連動小説となっています。

初めてごらんになる方、お読み直しなさりたい方は

→ 小説インデックス

をご覧ください






「っ・・!」



振り返った先に


九条が立っていた。




いつからそこに立っていたのだろうか・・・


俺はしばし唖然として


そこに立ち竦む彼女を


見上げていた。




しかし、すぐに我に返った俺は


自分の指先で細い煙を燻らせている煙草を


急いで消し


慌てて立ち上がった。



そして、


俺自身に疾しいことがあるわけでもないのに


俺は敷居の上に憮然と立つ彼女の腕を掴むと


まるで彼女を隠し入れるかのように


素早く準備室に引き入れ、


彼女の後ろで半開きになっているその扉をバタンと閉めた。








「九条・・お前、

こんなところで何やってるんだ?」




俺は少し厳しい口調で


彼女にそう問いただした。





すると今まで呆然としていた彼女の表情が


俺の言葉に反応したかのように


突然曇った。




いや、曇ったと言うより、


怒ったと言えばいいのか…




兎に角、形容しがたい顔で


彼女は俺を俄かに睨みつけた。




それは今朝見た彼女の笑顔からは


想像もつかない表情で


そんな顔を向けられるようなことをした覚えのない俺は


狼狽えた。






「何でですか?」




彼女は動揺する俺を尻目に


俺の最初の問いかけにも答えず、


わけのわからない質問を


まるで俺にぶつけるかのように尋ねた。




その言葉は、俺に対する文句か何かなのだろうが、


主語もなく、唐突過ぎて


何の事だか、さっぱり分からない。





彼女のそのあまりにも突拍子のない発言に


俺は一瞬、言葉を失いそうになったが



「何が?」



と言って返した。




するとその返事はすぐに返ってきた。




「なんで私のこと避けるんですか!!」



彼女にそう問われて、


俺はゴクリと唾を飲み込んだ。





そ・・・うか・・・


今朝のことか…





その問いかけに言葉が詰まってしまった。



彼女が何を言わんとしているのか


真意を掴むことはできたが、


それに対して、まさか


正直に答えるわけにはいかない。




「別に避けていないよ。


他の生徒と同じように接しているつもりだけど」




俺は仕方なくウソをついた。


いつも話す様な声音を意識し、


しかし、内心、どぎまぎとしながら。




すると、





「うそ!!」




俺が最後まで言い終わらないうちに


彼女がピシャリとそう返した。




だよな・・・


白々しすぎるよな・・・。






だけれど幾ら嘘だと責められても


まさか



「じゃ、ホントのこと言うよ。



それはね、君のことが好きだからだよ」



なんて答えるわけにもいかない。




俺は心ならずも口を噤んだままでいたが、


ウソ!と言って俺を責めた彼女は


俺が真実を話すのを期待しているようだった。



「・・・・」



しかし、いくら待ってもらっても、


俺はウソをつき続けるか


黙っているか、どちらかしかなく、


そして、どちらにしろ、俺がそうする限りは


彼女は納得できないだろう。



基、好きな女性に何度も嘘をつく事など、


出来る筈がない。










「もういいよ。わかった。


これについては今度話そう。


とにかく、君は今授業受けていないといけない時間だろう。


教室に戻りなさい。」




このまま責められ続けたら


本当の事を話さずには


いられなくなりそうだった俺は

そう言って九条を窘めると


彼女に背を向けた。




ごめん。九条。


だけど、これ以上は


本当に何も言えないんだ。





俺は頭の中でそう彼女に謝った。




しかし、彼女はそんな俺の気持ちなど


知る由もなく、


俺の背中に向かって捲し立てた。





「なんで?なんで?


なんでちゃんと答えてくれないんですかっ?


わたし、ずっと気になっていたんです。


桧山先生、挨拶もろくにしてくれないし


英語だって聞きに行っても教えてくれない・・・


わたし、先生に何かしましたか?」




彼女の感情的な声が


俺の背中に突き刺さる。



違うよ。


九条、君は何も悪くない。




俺が…俺が悪いんだ。





彼女の言葉に


そう返してしまいたいけれど、


そんな事を言っても


彼女を余計に混乱させてしまうだけで


結局本当の処を聴くことができない彼女には酷すぎる。




だから、彼女の言葉を


背中で受け止めながら


俺は喉を遡ってくる言葉を


喉の奥に押し返した。



しかし、尚も彼女は俺に向かって


俺を責め続ける。

「昨日は・・・あんなに喋れてすごくうれしかったのに・・・


馬鹿みたい。


ほかの女の子には笑顔であいさつするし、


英語だって教えてあげているのに・・・




何で私には…」





そこまで聞いて


俺は驚いて彼女を振り返った。





彼女のその言葉が涙声になったからだった。